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29 スカイ・ロード
ジル・リュシドールがカイアナイト開発設計局に来てから、そろそろ一か月になろうとしていた。
カイザーとのやり取りは、慣れてくると養成所時代と変わらない。練習機の後ろに教官がいるかいないかの違いだ。
そう思えば、最初に感じた気味の悪さも、不安もなくなった。第一、有人飛行と無人飛行の両方の切り替えが可能で、最悪これ以上は無理だと判断したなら、ジル自身が切り替えてしまえばいいと思ったあたりから、気持ちに余裕ができた。
ただ、カイザー・オロフ・エルセン中佐とは気が合わない。
小姑か? と言いたくなるほど、小言が多い。イライラしながら訓練しているため、カイザーが何を言ってもイラつく。
デスサーカスと呼ばれた過去の栄光があるからか、いちいち偉そうな態度も気に障るが、オラーシオをはじめとしたテストパイロットたちも、カイザーには必要以上に敬意を表していた。それが更に気に食わない。
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