23 スカイ・ロ―ド
「一か月だって……?」
機体のコントロールシステムのテスト運用を、たった一か月間しかしていない。
ジルの中に不安が増していく。大型のラジコンに乗せられるようなものだ。操縦者が下手くそなら、ラジコンは壁にぶつかり、失速して落ちる。
そうだ、このシステムは風の流れをデータで計算しているだろうが、実際に空にいるように感じられるわけじゃない。
UAVなら墜落して終わりだが、ジルが乗っているFCOSが墜落したら死ぬだけだ。
「たったそれだけしかやってないのに、有人で飛ばすなんて本気かよ……」
馬鹿正直に言ってしまう。するとフィードラーが一瞬顔色を変えたが、苦笑に変える。それをジルは見逃していた。
そしてカイザーが冷静にその様子を見ていた事にも、ジルは気付いていなかった。
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