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「あぁ、ごめんごめん。間違って聞こえるように言ったわ。あたし猫は好きよ。触りたいの。でも猫が触らせてくれないのよね。触る前に逃げられちゃうの」 おかしそうに笑って言うセシルを見て、チャドとロニーはそろって納得するように頷いた。 「あー、いるいる、そういう奴」 ロニーはそう言うと匙ですくったアンニンドゥーフーを食べた。チャドも納得するように頷く。 「たまにいますよね。どんな人懐こい猫にでも逃げられる人って」 チャドとロニーは地下都市生まれの地下都市育ちで、猫はあちこちにい
この物語は「Four Cities」シリーズの続編です。 1.「運命の女」 2.「剣鬼」 3.「タナバタ」 4.「セシリアと猫」NEW! セシリアは注文していたデザートを運んできた少年、チャドのエプロンの変化に目ざとく気付いた。小さなものが光ったのだ。黒いエプロンにきらりと光るそれは、とても小さい。爪くらいの大きさだった。 「お待たせしました」 愛想笑いをしても元が人懐こい性格だからか、途端に嬉しそうに見えてしまう。まだ十代半ば程のそばかすだらけの顔立ちだが、その笑顔の