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自己紹介note

「田村浩二=チーズケーキの人」

最近、そう認識されることが多くなった。これは僕が作る「ミスターチーズケーキ」が世の中に受け入れられたこととイコールで、とてもうれしく思う。3年前、いや1年前ですら、自分がそんな存在になるなんてまったく想像していなかった。

一方で「チーズケーキの人」のイメージが強いために、
え? 木でできたケーキをつくってる?
干物の商品を開発したの?
なんでテック領域に関心があるの?
と疑問を投げかけられることも多い。

……で、なにをしている人なの?」と。

そう言いたくなる気持ちはわかる。元フレンチレストランのシェフと言いながら、肉じゃがの本を出版し、子どもたちにお菓子づくりを教え、SNSで料理のコツや魅力を発信する——。とっちらかっている(ように見える)と自分でも思う。

「お前は何者か」という問いにはとりあえず「料理人です」と答えるものの、自分の想いやビジョンがうまく伝えられないことをいつも歯がゆく感じていた。だから、ふだん自分の考えを発信しているここnoteの場を借りて、あらためて言葉を尽くして自己紹介してみようと思い立った。

動きの激しい自分のこと、どんどん更新していくかもしれないけれど(笑)、いま現在の姿をお伝えしていきたいと思う。

■これまでのキャリア

僕は、職業で言えば「料理人」だ。しかも元々は、いわば「シェフの王道」をひた走っていた料理人だった。簡単にキャリアを振り返ると……。

18歳 新宿調理師専門学校に入学
20歳 卒業後、乃木坂「Restaurant FEU」でキャリアスタート
21歳 六本木「Edition Koji Shimomura」の立ち上げに参画
26歳 表参道「L’AS」で3年間シェフを務める
29歳 渡仏。フランス南部マントン「Mirazur」パリ「Restaurant ES 」で修業
31歳 日本へ帰国。ミシュラン星付き、白金台「TIRPSE」シェフ就任
32歳 ゴエミヨジャポン2018「期待の若手シェフ賞」受賞

……いかにもゴリゴリマッチョな料理人の経歴に見えると思う。順風満帆、という言い方もできるだろう。

なぜこんな経歴の料理人が、「チーズケーキの人」になったのか。「シェフの王道」どころか、既存の「料理人」の枠組みをまるで無視したキャリアを歩んでいるのか。それを説明するためには、まず「なぜレストランを辞めたか」の話をしなければならないと思う。


■レストランを退いた理由

真剣にプロを目指す高校球児として野球に向けていた情熱を料理に全振りした僕は、20代、ハードに働きまくった。その結果、32歳で栄誉ある賞をいただくことができたのは先にも書いたとおり。

しかしこの受賞こそが、ぼくの転機となる。もちろん賞自体はありがたく、誇らしかった。その一方で、自分も自分の料理もなにも変わらないのに、周りの評価だけが大きく変化したことに戸惑いが隠せなかったのだ。

いかに個性を出すか? どうすれば評価されるか? そんな思いで料理をつくる自分にもモヤモヤが消えない。同時に長時間労働があたりまえの飲食業界、独立開業しか道がないシェフの仕事に対しても思うところが大きくなっていった。

自分の進む道に迷いが生じていたそのとき、ふと思い出したのが、母が毎年自分の誕生日につくってくれたチーズケーキだった。

あのシンプルで、みんなが大好きで、笑顔のもとになるチーズケーキを、レストランに来ないような人にも食べてほしい——。 シェフの仕事の合間、チーズケーキづくりに打ち込むようになった。

そして試行錯誤の末、最高においしいと思えるものを生み出すことができた。早速「ミスターチーズケーキ」と名付け、インスタグラムのストーリーで販売。するとたちまち評判となり、自分でもおどろくほどの熱狂が生まれた。「おいしい!」「人生最高」「ありがとう」。全国からそんな声が届くたびに幸せを噛みしめる。

この経験を通じて、自分が料理人として大切にしたいのはコアな料理ファン「だけ」ではなく、子どもからお年寄りまですべての人の笑顔だと実感。その笑顔を未来まで守っていくためになにができるか考え抜いた結果、レストランのシェフを辞めることを決めた。


■大切にしている3つの軸

そこからはたくさんのお声がけをいただき、また自分の関心がある分野の仕事をつくっていった。

「Food Expander」の肩書きを掲げ「食」を拡張したいと考えていたものの、仕事の方向性としてはじめから明確な指針があったわけではない。けれど独立してしばらく経ったいま振り返ると、僕の仕事は「おいしい料理で人を笑顔にする」をベースに大きく3つにまとめることができるんじゃないかと気づいた。

今後もきっとこの軸に沿った活動をするだろうし、大切にしている価値観や目指しているものをシェアしたほうがぼくが「何者」なのか伝わる気がする。ということで、ここからはその「3つの軸」についてお話ししていきたい。

①食の未来を守り、発展させる

僕は、このままでは「遠い未来」ではなく10年後、20年後に途絶えてしまう食文化がたくさんあると強い危機感を持っている。そんな未来を料理の力で変えることが、ひとつの指針だ。

「食の未来」というと話がデカく見えると思うけれど、その中でいま現在、ぼくの中にいくつかのキーワードがある。
・生産者
・サステナブル
・フードテック

ひとつずつ見ていきたい。

・生産者
ライフワークと言えるかもしれない。シェフ時代は、週に1日の休みを使い日本全国の生産者を回っていた。

野菜、肉、しょうゆや味噌。「職人」たちはみなすばらしい技を持っている。しかし彼らの多くが高齢者で、しかも跡継ぎがいない。興奮するほどうまい野菜を作っているのに、利益を出せていない農家もあった。

生産者がいなくなったら、このおいしい食材がレストランからはもちろん、食卓から消えてしまう。消えてから後悔しても遅い——。シェフ時代に感じたこの課題感を、いまも持ち続けている。

だから僕は生産者や食材の魅力やストーリーを、プロダクトをとおして伝えている。レストランでは「対30人」のプレゼンになるが、プロダクトとして世に出せば何千、何万の人に知ってもらうことができるのでとてもやりがいがある。

たとえば国産バラやオリーブオイルのアイスクリームは、すばらしい生産者を応援したい、好きになってほしいという思いが詰まっている。

また、「アタラシイヒモノ」(洋風味付け干物)は、干物屋さんの伝統技術を伝えることが目的のプロジェクトだ。

・サステナブル
生産者よりもう少し規模の大きな地球や環境の話で、自然そのもの、農業や漁業などの営みそのものを持続可能にしたいと考えている。

ぼくは海の近くで育ったこともあり、以前から持続可能な漁業の在り方を模索する「サステナブルシーフード」の活動をしていた。その流れで、通常捨てられてしまう雑魚を使った干物を「アタラシイヒモノ」のラインナップに追加した。使い道のない間伐材を使った「木のパウンドケーキ」をつくったのも、サステナブルの文脈上にある。

地球をないがしろにして、いつまでも食をたのしむことはできない。そのことを、おいしい料理をとおして(説教くさくならないよう)ひとりでも多くの人に伝えることが、ぼくの使命だ。

・フードテック
食にまつわるあらゆる問題(生産性、食料不足、労働環境etc...)を解決する技術で、ぼくの問題意識とピッタリくるものが多い。3Dプリンタといった先進技術を思い浮かべる人も多いけれど、インターネットもテクノロジーだし、わかりやすいところだとロボットによる調理などさまざまな「テック」がある。

フードテックはまだまだこれからの分野なので、優れたエンジニアはいても「食のプロ」がいないケースが多い。食のプロがいなければ、どんなに画期的なコンセプトでも、ほんとうに食の世界を変えるサービスにはできないはずだ。やっぱり、「おいしい」は強く人を動かすから。

僕の武器である味覚や食の知識×テクノロジーで、未来を変えられるんじゃないかと期待している。じつはチーズケーキもテック領域と組んで、より大きな広がりを実現させるつもり。これからさらに掘っていきたい分野だ。

***

生産者、サステナブル、フードテック。これらは少なくとも、いまの自分のキーワードだ。このほかにも食の未来を守り、発展させるチャンスがあれば、どんどん介入していきたいと思っている。


②食卓の未来を豊かにする

2つ目の軸はシンプルに「料理ってすごいよ!」と発信し、日本の食卓を豊かにすること。「料理人口の増加」というと押しつけっぽいけれど、まずは料理に興味を持ってもらいたい。

人生100年時代、健康でいたければ料理を無視することはできない。どれだけ気をつけても外食は味が濃いし、添加物も多くなってしまいがち。自分でつくる料理なら、栄養バランスも食材選びも体調にあわせたレシピも思うがままだ。

それに、料理は科学なのでセオリーがある。それに則ればかならず成果が出るため自尊感情が刺激され、心を整えるのにも役立つ。しかも料理に集中することで頭がクリアになるので、ぼくは「料理は禅だ」と本気で考えている。忙しいビジネスパーソンを救うのは料理だ!

ただし、料理は「たのしいから、やる」という人を増やさないと意味がない。「たのしい」は、成功体験だ。だから、料理はちょっとしたコツと知識で笑っちゃうほどおいしくなることを伝えるために『人生最高!の肉じゃが』というレシピ本を書いた。

「シェフが肉じゃが?」と首をひねられまくったけれど、肩肘張ったレストランではなく、家庭の食卓こそ最高の笑顔を生み出すと信じている。いわゆるふつうの食事だけでなく介護食や離乳食だって、まだまだ豊かにする余地があるだろう。

家庭料理をもっとおいしく、そしてたのしく。そのために何ができるか、試行錯誤していきたい。


③料理人の未来を広げる

いままでの料理人のイメージを持っている人には「なんだあいつは、節操がない」と思われているかもしれない。

だけど料理人の経験やスキル、知識は、ほんとうにあらゆる場所で求められていると感じる。僕が好き勝手にあらゆる方面で、あらゆるチームを組み、あらゆる活動をすることで、料理人の定義やキャリアの選択肢、働き方を全方位的に拡張していけたらうれしい

レストランにいる料理人は、朝から晩まではたらくのが業界のあたりまえだ。でも、自分が30歳を過ぎてリアルに家庭を持つことを考えたとき、その働き方が幸せだと思えなかった。妻と食卓を囲みたいし、子どもとも遊びたい。犬を飼う余裕だってほしい。

それに、シェフが長時間労働から脱するためには自分の店を持つしかないと考えられているけれど、みんながみんな店を持ってハッピーになるわけではないと僕は思う(腕は立つけれどマネジメントが不得意な人もいるわけで)。

料理人の経験やスキル、知識を活かせる場所は、レストランの中だけじゃない。選択肢は、無限にある。その中で自分がもっともハッピーかつヘルシーに打ち込める道を探せばいいし、それができることを証明したい。このnoteだって「働き方」のひとつだ。

ちなみに僕はいま8時間労働・週休2日と決めていて(かつての半分以下の長さ!)、その中でどうすればやりたいことができるか頭をフル回転させている。

自分だけでなく、周りの人やチームメンバーにヘルシーに働いてもらう仕組み作りにも力を入れている。つくり手が、健全かつ健康であること。食に携わる以上、これをあたりまえに実現していきたい。


■自己紹介を終えて

いまの自分を余すところなく伝えたいと思ったら、思いのほか長くなってしまった。けれど、ただの「チーズケーキの人」ではないとわかっていただけたのではないかと思う(自分でも一度しっかりまとめたかったので、いい機会になった)。

ただ、これが更新されない自分であっちゃダメだと思っている。過去の経験にこだわることなくあたらしい世界に飛び込み、スキルも、思想も、働き方も、臆さずアップデートしていきたい。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。最後にあえて大きいことを言うけれど……僕は、未来を変える料理人でありたいと思っています。みなさん、どうか応援してください!

(text 田中裕子



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