グランメゾン東京の楽しみ方。
最近始まった木村拓哉さん主演の日曜ドラマ『グランメゾン東京』
ツイッター上では賛否あるらしいですが、僕はめちゃくちゃ面白いと思っています!多分実際にレストランで働いていたし、ドラマに出てくる料理の感じが素晴らしいからだと思う。
どの料理を誰が細かく監修しているかまではわからないけれど、お皿ごとに監修しているシェフのアイデンティティーを感じている。
完全に個人的な思い入れのあるレストランドラマ(まだ二回しか見てないけれど)なので、個人的な楽しい見方というか解説を勝手にしたいと思う。
出てくる料理が面白い
料理に関しては回を増すごとに変化してくと思っています。フランスから帰ってきたばかりの尾花さんはまだ日本に慣れていないし三つ星で働いていたので、割とクラシック寄りな表現のまま。
ここから日本に合わせた料理の調整や仲間との連携で料理が今のガストロノミーにわせて変わっていくんだろうなと。
一話ではビストロっぽいクスクスが出てきて、二話ではナスのプレッセ。
尾花さん側の料理監修がカンテサンスの岸田シェフらしいので、ナスのプレッセからは、岸田さんが働いていたアストランスのスペシャリテのフォアグラ料理のオマージュがうかがえる。
アストランスではマッシュルームで重ねたのが定番で、カンテサンスでもいくつかのバージョンが出ていたと思う。(確かではない)自分が働いたレストランの思い入れのある料理、思い入れのあるシェフの料理は、自分が初めてシェフになった時に形にする事が多くあります。
これは師匠からのオマージュで、本当の意味での自分の料理が出来るまでの支えとなってくれます。そうゆうオマージュを重ねる事で本来の自分らしい料理が見えてくるのです。
食材の扱い方に関しても、ナスのシーンがそれを表現している。
素材にあった調理法
あくまで僕の感覚ですが、素材ごとに最適な調理法(ここでの最適は自分が一番美味しいと思う調理法)を見つけます。
生で沢山の種類のナスを食べるシーンはとにかくナスを食べて味の好み(食感や瑞々しさ、香り、苦味やえぐみ)を探っています。
その後調理法別(この時はボイル、ソテー、フライかな?)に味を確認。もちろん生で扱うか加熱するかでも味の良し悪しは変わりますが、生での味がその後の調理法にも大きな影響を与えるからこそ生での味見はすごく大切です。
個人的にはナスは特徴のとろける食感を出すために揚げる調理法が良いと思っています。油脂を与えながら加熱する事でナスの香りと食感を引き出す。料理によって調理法を変えますが、その食材が一番美味しくなる調理法で仕立てられる料理を選ぶ方が僕は美味しい料理を作れると思っています。
なのでナスのプレッセにはボイルは合わないという結論になったと思います。これは単純にナスのポテンシャルを引き出せないと感じたのか、プレッセには合わないと感じたのかは定かではありませんが。
現時点での尾花を描いている?
引き続きナスのプレッセの話ですが、作中の白レバーのテリーヌは黄色い油脂がテリーヌに入り込んでいました。これはクラシックなやり方だと入りやすいです。(死ぬほど丁寧にやれば入りませんが)
僕はフランス帰りの尾花の感覚で料理を作っているからのこの油脂の感じを残しているのかななんて。考えすぎかもしれませんが、それくらい考察してますw
ただモレが出てくるあたりなどは尾花が世界の料理に対してアンテナを張っている(普通といえば普通なのですが)あたりがフランスだけではなく、世界の料理を見ていることも伺えます。
そしてフランス時代は他人の言うことを聞かなかった尾花が仲間のアドバイスを聞いて料理を変えていくところにも更なる料理の変化を感じるので、いったいどんな風に料理が変わっていくのかは今から楽しみです。
ドラマの内容ももちろんなんですけど、こうゆう料理の細かな描写を見ていくのが本当に面白い。
レストランにはお金がかかる
忘れちゃいけないのがお金の話です。二話でも5000万の融資の話が出ていましたが、あれはリアルです。本当にお金がかかる。一筋縄では行きません。
だからこそ自分の店ではなくいろいろな働き方が描かれているのだと思います。
相沢さんの働き方のようなシェフが増えたら僕は良いなと思います。選択肢は無限です。レストランで働いている人が一番だとは思いません。(尾花はそうゆう表現してましたが)
人それぞれの環境にあった働き方をするべきだと思いますし、二話で相沢が握手をしなくてよかったなと個人的に思いました。そうじゃないとレストランが一番だと刷り込まれてしましそうなので。
それぞれの環境に合わせた料理人の働き方をこれからも描いてほしい次第。
レストランの応援は食べにいく以外ない
今回のドラマでレストランに何かしらの興味を持つ人が増えるかもしれない。今まで興味のなかった世界でも、ドラマがきっかけで行ってみたくなる人はいるはず。
食べもせずに高級レストランなんてと言わずに、ぜひ若い人に食べに行ってほしい。一回の食事が人生を変える事は往々にしてある。
そして食べるという行為以上に沢山の学びがあるのもレストランだと考えています。シェフの考えであったり、お店に流れる空気や時間を楽しむ事で新たな気付きもある。
非日常だからこそ感じられる何かを感じてみてはいかがだろうか?
レストランは本当に大変な仕事です。日々何かに追われているし常に新しいお店も出てくる。そんな中お客様に出来るのは、好きなお店に食べに行ってもらう事です。それによってお店にも人にも活気が生まれ、更に良いお店へと育って行きます。
お店を守るのはお客様しかできない事だと思います。
料理人の働き方はどうなるのか?
働き方改革が叫ばれる中でのこのドラマはどんな結末を迎えるのでしょうか?
単に三つ星を獲得するだけのサクセスストーリーにはなって欲しくないと思いつつ、どんな風にシェフが命を削って働いているかも伝わってほしい。
綺麗なところだけではなく、本音の葛藤を描いてほしい。
このドラマをとして料理人の多様性や料理人の素晴らしさや、料理人の課題、問題などをさらけ出してほしい。
一つの事を突き詰める素晴らしさだけではなく、料理を通して何を伝えるかをどの様な手段で届けるかなども伝えられたら、僕は良いのではないかと勝手に期待しています。
特にオチはないですが、なんか久々に個人的に面白いと思うドラマなので、興味を持つ人が増えたら嬉しいです。
皆様の優しさに救われてます泣