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自分を成長させる為に作った仕組みがチームにも活きた理由。


最近自分でよく考えるのが、自分はどのように仕事をしてきたか?という事。料理人の仕事って単純作業の方が圧倒的に多いです。メニューが数ヶ月続く場合は毎日のルーティンに変化は少ない。なので小さな改善の積み重ねの中でいかに自分の成長に気付くか、というのが自身のモチベーションを保つ秘訣だった気がする。

料理人の最初の仕事は多くの場合が洗い物。

洗い物には全ての作業に通じる大切な要素が多く、段取り力やタイムマネジメント、効率化をどう図るか?など頭を使わなければうまくやれません。

実際の作業の部分(皿洗い)と思考の部分(次に何をするべきか?その為にどんな順序で作業すべきか?)に切り分けて考える必要があり、この考えかたに慣れるとマルチタスクで仕事ができるようになると思ってます。

特にキッチン内では数秒で現場の環境が変わる(ゲストの食事のスピードで提供の順番が変わったり、食材の火入れや準備の状況でめまぐるしく変わる)ので、自分が担当する仕事にかかる時間は理解する必要があります。

なので僕は昔から自分の関わる業務はタイマーで時間を測りながら作業していました。



自分の時間を知る為のタイマー


若い頃は単純に自分の手を速くしたかった。早く自分の仕事を終わらせないと次の仕事が貰えなかったのと、自分の作業にかかる時間が分からないと何時に行けばいいかわ分からなかったからだ。(始発より早く行かないとダメな日も多かったから)

一日の自分の業務にかかる時間を知る事で、自分の仕事量が分かる。そしてそれによって何時に出勤すれば良いかが分かった。これは定時とかそうゆう概念がなかったからですが、自分の事を理解していなければ一緒に働くスタッフのことなんて分からない、という持論のもとにやっていた。

最初は自分の事を知る為に始めたタイマーでしたが、やってみるうちに別の効果が生まれてきた。

それは日々の変わらない仕事の中でも微妙な自分の成長を可視化できた事だ。毎日なんとなく過ごしていると自分の小さな成長に気づきにくい。気づく事が出来ないと、だんだんと作業はマンネリ化して本当にただの作業になってしまう。

そうなると本来改善すべき小さな事象を見逃してしまいがちになる。やってもやらなくても変わらないと思う事はほとんどの場合改善すると効果があると思っている。日常に組み込まれてしまっている事ほどインパクトがあると。

そうゆう見落としがちな違いや変化に敏感に


気づく為にもタイマーで自分を知る事が大切だと思っています。




スタッフの作業時間を知る事で見えてくるチームの課題と解決策


これは特にキッチン内での話になりますが、複数人が同時に作業をして一皿を作り上げる場合、スタッフ間の連携が大切になります。数秒のズレで料理は温度が下がり美味しい状態から離れていく。

基本的に料理は盛り付けた後は美味しくなくなっていく→鮮度が下がるという認識です。ほんの少しのズレもないように、そしてお客様のもとへと瞬時に届けられるようにオペレーションが組まれています。

営業中の瞬間的な判断も勿論なのですが、それ以上に大切なのが一日の中での仕込みのスケジュール管理です。これも仕込みが少ない(一日の来客数が少ない)とそこまで意識しなくても勝手に回ります。何故ならば作業が早い人が頑張ればどうにかなるからです。

しかし規模が大きくなってくると一人の頑張りだけではカバーできない仕事量になります。

これは僕が一番忙しかったL'ASというお店での事を書いたツイートなのですが

毎晩120名が来店するフルコースのお店はそれほど多くありません。(日本にはほぼないかも)

一般的なレストランの席数は20席前後。最近できたお店だと10数席のお店も少なくありません。

その中でL'ASというお店はいまだに100名近くを毎晩集客しているすごいお店です。理由はいくつかありますが、集客できる理由と同じくらいその数のお客様を捌ききる凄さがこのお店にはありました。

毎日減る事のない仕込み、戦場のような営業中。精神がすり減る毎日だったかもしれませんが、僕はその中で現場の責任者としてスタッフの采配を任されていました。

人手が足りないので自分の勿論プレイヤーとして仕込みに入りますが、それ以上に一日の仕込みのコントロールや目標設定をして、迫り来る営業時間に必ず終わらせるようにする。

毎日必ず期限がある(営業時間)中で、日々の業務が効率的に終わるようにするには一人の努力ではなく、チームの成長が不可欠です。そしてそれは各自の作業時間をタイマーで明確化する事で改善されていきます。


得手不得手と向き不向き

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