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淇園サロンから広がる、変わり者の輪

 『皆川淇園とその仲間たち』 第10回

今回は、淇園と同時代に生きた丹波福知山藩の第8代藩主、朽木昌綱(くつきまさつな/1750ー1802)を紹介します。淇園も相当な変わり者だったはずですが、この朽木昌綱もなかなかの人だったようです。

 13歳頃より和漢の古銭の収集をはじめ、その後はヨーロッパ紙幣にまで手を広げたという、いわゆるコインや紙幣のコレクターでした。その情熱は相当なもので、38歳の時には17~18世紀のヨーロッパ紙幣をイラスト入りで詳細に図説した「西洋銭譜」を著します。また、20歳ごろからは世界地理の研究にも没頭し、杉田玄白や大槻玄沢、司馬江漢らと共に、蘭学者の前野良沢のもとでオランダ語や世界地理の勉強にいそしみました。義兄である松平不味の弟子でもあり、文人としても名を馳せていたようです。

 淇園や昌綱のように、江戸時代の文人サロンは強烈な個性を持った人々が集っていたのかと想像するとなんだか覗いてみたいような気がします。

                           (勝治 真美)

                       【2014.11.15 嵯峨野文化通信 第211号】

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