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口撃してくる人は相手にせず、礼節を持って対応してくれる人と会話しよう(『荀子』勧学篇)
今回取り上げるのは『荀子』勧学篇からの言葉。
争気ある者とは、与に弁ずる勿れ
(読み:ソウキあるモノとは、トモにベンずるナカれ)
やたらと人と争いたがる人とは、一緒に語り合ってはいけない、という意味。
ここでいう「争い」とは口論のことです。
つまり、揚げ足を取ったり、皮肉を言ってばかりの人とは、共に語り合ってはならない、ということですね。
皆様は、ユダヤ教にある以下の教えをご存知でしょうか?
「10人の人がいたら、そのうちの1人はどんなことがあってもあなたを嫌って批判する。10人のうちの2人は、互いに全てを受け入れ合える親友になれる。残りの7人は、どちらでもない人々だ」
精神科医の樺沢紫苑さんは、この教えを「好意の1対2対7の法則」と呼んでいます。
どんなコミュニティでも、周囲の人々のうちの1割くらいは自分を嫌っているので、何をしたとしても批判して口撃してくる、ということです。
世の中には色々な方がいらっしゃるので、性格の合う合わないは仕方がないですが、謂れのない批判や誹謗中傷は辛いですよね。
最近では、ネットやSNSだけではなく、カスタマーサポートの窓口に対する理不尽なクレームも問題となっているそうです。
いわゆる「カスハラ」と呼ばれるものですね。
「カスタマーハラスメント(カスハラ)」とは、顧客が企業に対して理不尽なクレーム・言動をすることをいいます。具体的には、事実無根の要求や法的な根拠のない要求、暴力的・侮辱的な方法による要求などがカスハラに当たります。
ひどい罵詈雑言を浴びて心を壊してしまう方もいらっしゃるようで、企業側でも「カスハラ」への迅速な対応が求められています。
実際、ここ数ヶ月で各企業も本格的な対応に乗り出し始めており、JR東日本や西日本の発表も話題になりました。
他人に負の感情をぶつけて勝ち誇るような方は、いつの時代にもいらっしゃいます。
荀子が生きていた時代にも、礼儀やマナーを無視するような人が存在していたのでしょう。
そういった困った人への対応法について、以下のように述べています。
ちょっと長いので、要点だけご紹介しますね。
くだらない話には耳を貸さなくてよい
揚げ足を取ったり、皮肉を言ってばかりの人とは、共に語り合ってはならない
道理をわきまえない礼儀知らずは相手にするな
結構バッサリと言い切っていますよね。
荀子も思想家集団の代表として弟子を持ち、色々な国で討論をしてきた身ですから、その過程で色々な人に出会って、様々な苦労をしてきたのでしょう。
「好意の1対2対7の法則」でいうところの「こちらを嫌っている1人」が討論の相手だと、特に大変です。
相手は最初からまともに話し合う気がありませんし、「こちらの意見に反対すること」を目標にしているので、何を言っても反対されます。
なぜなら、人には確証バイアスというものがあるからです。
確証バイアスとは、自分が見たい・聞きたいと思った情報しか受け入れない現象のこと。
つまり、相手がこちらを嫌っている以上、我々が何を言っても相手には通じない可能性が高いのです。
この場合、話し合いは不毛な結果に終わることでしょう。
心身も疲労しますし、なにより時間の無駄です。
ですので、荀子が言うとおり、礼儀やマナーを無視するような人とは関わらないのが無難です。
一方で、荀子は以下のような性質の方々との会話をおすすめしています
態度が恭しく、礼儀をわきまえている人
言葉遣いや話し方が穏やかな人
話しているときの表情が穏やかな人
どれも納得の性質だと思います。
私も、仕事でときどき外部の方とやりとりをすることがありますが、先方が上記のような方であればとても話しやすいです。
会話はスムーズに進みますし、こちらも自然と相手に敬意を持って対応したくなります。
やはり、いつの時代も人間同士のコミュニケーションには礼節が大切なんですね。
争気ある者とは、与に弁ずる勿れ
(読み:ソウキあるモノとは、トモにベンずるナカれ)
揚げ足を取ったり、皮肉を言ってばかりの人とは、共に語り合ってはならない、という言葉をご紹介しました。
現代でも、相手に敬意を持って対応する気持ちが大切です。
ただし、それは相手が礼節を守ってくれる場合だけで十分だと思います。
こちらを理不尽に口撃してくるような人とは距離を置きましょう。
コミュニケーションは相互にやり取りをするもの。
片方だけが敬意を払っても、無駄に心身を疲弊させるだけです。
問題がある場合は、早めに周囲の人に相談して、自分の心が壊れないようにしていきたいですね。
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