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身の丈に合わない贅沢は身を滅ぼす【教養を深める中国古典のお便り】

皆様、こんにちは!

メンバーシップ向け特典記事の「古典のお便り」8通目になります。

こちらのシリーズでは、普段の記事では取り扱っていない古典・史書から、皆様の視野を広げる一助になるような内容をお届けしています。

今回は、前回に引き続き、司馬遷の『史記』を取り上げます。

『史記』の概要説明は前回の記事で行っていますので、確認したい方はこちらの記事をご覧ください。

というわけで、今回は『史記』の中から、身の丈に合わない贅沢は身を滅ぼす、というお話をご紹介します。


『史記』宋微子世家に学ぶ

今回取り上げるのは『史記』宋微子世家からの言葉。

彼れ象箸を為る、必ず玉桮を為らん
(読み:カれショウチャクをツクる、カナラずギョクハイをツクらん)

『史記』宋微子世家

象牙の箸の次は、必ず玉の盃を作るだろう、という意味。

殷の紂王が象牙の箸を作らせたことを耳にした箕子(きし)が、その様子を嘆いて呟いた言葉です。

つまり、身の丈に合わない贅沢は自身の身を滅ぼす、ということですね。

余談ですが、この箕子は紂王の叔父であり、後々朝鮮半島に封ぜられ、箕子朝鮮を建国したと言われています。

能力・人格ともに、とても優秀な人物です。

もしかしたら、世界史の授業でも一瞬だけ名前が出てきたかもしれませんね。

今回は、その箕子と紂王を中心にお届けします。


紂王の欲望はとどまるところを知らず

王様にとって、権威を示すために見栄えを良くすることは、ある程度仕方のないことですが、それでも限度というものがあります。

象牙も玉もとても高価な物であり、作る必然性のない物です。

しかも、当時の民衆は、殷王朝の弱体化によって苦しい生活を送っていました。

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