日頃からの心の備えがいざというとき役に立つ(『春秋左氏伝』昭公四年)
今回取り上げるのは『春秋左氏伝』昭公四年からの言葉。
要害の地形や軍馬の数を当てにしていては、国家は決して安泰ではない、という意味。
恵まれた環境や物資の多さを頼りにしていては、いざそれらが無くなったときに動揺してしまいます。
これは個人も組織も同じです。
つまり、何事も常日頃からの心の備えが大事、ということですね。
最近、企業のセキュリティ被害が特に多いように感じています。
どの企業も何かしらのセキュリティ対策を施しているとは思うのですが、ハッカーはそれらを易々と突破して身代金を要求したり、ダークウェブ(ネット上の裏社会)に個人情報をばら撒いたりしているようです。
私は普段Webエンジニアとして働いていますが、私のところのサービスにも小規模な攻撃が仕掛けられたことがありました。
幸い、攻撃側が早々に諦めたことで実害はなかったのですが、社内に緊張が走ったことを鮮明に覚えています。
特に、最近ではKADOKAWAに対する攻撃も話題になりましたね。
攻撃の被害を受けてニコニコ動画を含む一連のサービスを一から作り直すことになった、と耳にしたときは、「これほどの規模のサービスだと、エンジニアの皆様はしばらく寝れないのではないか」と心配になったものです。
しかし、ニコニコ動画をはじめ、複数のサービスは徐々に再開されはじめています。
当初の予定を上回るスピードで再開にこぎつけたのは、何よりもエンジニアの皆様の頑張りによるものでしょう。
胃に穴が開きそうになりながら、昼夜を問わずご対応いただいたに違いありません。
本当にお疲れ様でした。
さて、こうしたセキュリティ攻撃は、基本的に攻撃側が有利です。
なぜなら、常に先手を取れるからですね。
防衛側は、攻撃を受けてはじめて対応を開始するしかありません。
これは攻撃側にとって大きなアドバンテージです。
セキュリティ関連の各種ツールもありますが、これらはすでに判明している攻撃方法に対応するためのものなので、新規の攻撃には弱いことが多いです。
新しい攻撃方法や脆弱性が見つかるたびに各会社も対応を行うのですが、ハッカーたちも今度はそれらを回避しようと防御の薄い場所を探すので、イタチごっこになりがちなのが辛いところ。
攻撃側が諦めてくれれば良いのですが、そうでなければ、いつかはセキュリティが突破されるか、攻撃に耐えかねてサーバーがダウンすることになってしまいます。
古代の戦争も同じです。
どれほど堅固な城に篭り、潤沢な物資があったとしても、援軍がないままでは、いつか城は陥落してしまいます。
籠城は、援軍の見込みがあって初めて機能する作戦なのです。
そのため、防衛側にとっては、常日頃からいざという時の心の備えをしておくことが重要になります。
問題が発生したときの初動や指揮系統はどうするか?
どの時点で外部の助けを依頼するか?
援軍が到着するまでどのように持ちこたえる予定か?
そもそも既存のセキュリティや物資に不足はないか?
これは個人にも言えることだと思います。
先日の地震や昨日の台風を受けて、スーパーなどでは水や非常用グッズが品薄になっていました。
災害の危険を感じて、人々の防災意識が高まり、慌てて物資を補充にきたのでしょう。
かくいう私もその一人です……。
多少の防災グッズや非常食は常備していたのですが、よく見ると乾電池が足りなかったり、賞味期限が切れかかったりしていたのです。
まさに「険と馬」ならぬ、「防災グッズと非常食」を頼みにした状態。
日頃から危険に備える意識を持っていれば、定期的に備蓄状況をチェックすることができ、慌てて行動することもなかったのですが、完全に油断していました。
反省です。
今回の件を受けて、改めて日頃から防災意識を高く持とうと決意しました。
非常食については、ローリングストック法を取り入れようと思います。
消費と購入を繰り返すことで備蓄品の鮮度を保ることができ、いざというときの備えにもなるので、一石二鳥ですね。
暑い日も続きますし、まだまだ地震や台風の恐れもありますので、皆様も非常時の備えを大事になさってくださいませ。
今回は、何事も常日頃からの心の備えが大事、という言葉をご紹介しました。
個人も企業も、いざという時の対応が問われる時代になっています。
問題が発生した際に動揺して動けなくなるのが一番怖いので、いざという時に冷静に対応ができるよう、日頃から心の備えをしていきたいですね。
それでは今回はここまで。
また次の記事でお会いしましょう👋
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