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戦術的ラグビー観戦入門

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「ルールは覚えたけど、やっぱりラグビーはよくわからない...」という方から指導者の方まで対象を幅広くラグビーの戦術について解説していきます!
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記事一覧

モールってなに?すごいの?

こちらのマガジンではお久しぶりの投稿となってしまいました。 トップリーグでは最後のトーナメントが始まったということもあり、ラグビーを目にする機会が増えたのではないでしょうか? リーグ戦を何試合か見て、ラグビーがどんなスポーツかなんとなくわかったよーというかたも多いと思います(そう信じたいです) 広いスペースを猛スピードで走っていくプレーは比較的わかりやすいなと思っていても、大柄なひとたちがゴール前でごちゃごちゃしている時って何をしているのか分かりづらくないですか? し

コロナ禍ルール適用後の戦術を考察

突然のことでびっくりしましたが、新型コロナウイルスの影響で試験的ルールが提案されましたね。 驚きすぎてザーッと一気に考えをツイートしてしまいました。 このルールは各国が国内リーグにおいて導入するかどうかを選択することが出来るようですが、今日はこの試験的ルールが導入された場合の戦術について考えていきたいと思います。 ↓試験的ルールの詳細はこちらからダウンロードできます↓ https://playerwelfare.worldrugby.org/?documentid=22

ラグビーにパスは必要なのか

ラグビーにおいてパスは一番多く練習されるものだと思います。 しかし、パススキルは本当に必要なのでしょうか? ゲームで必要なスキルとはラグビーのゲームをシンプルにして考えてみると結論としてパスは必要ないと言うことがわかります。 ゲームの流れを追いながら必要なスキルを精査しましょう。 キックオフ→ドロップキックは必要 それをとった選手がそのままキャリーしてトライ コンバージョン キックオフでリスタート 以下繰り返し。 究極の話をすると100mキャリーできる選手がいるならばパ

なぜラグビーの構造を理解しなければならないのか

ラグビーには二つの制約があります。 ルールと物理的制約 これら2つからなる枠組みをラグビーの構造と表現しますが、構造というものは戦略、戦術よりも上位のものです。 戦略、戦術は時代によって、チームによってコロコロと変わります。 トレンドもありますし、これを追いかけてもキリがありません。 しかし、構造を理解していればどんな戦略を提示されたところで、肝をすぐに抑えることが出来ます。 肝を抑えていれば、対戦相手の攻略も容易になり、良いと思った戦術を導入することもスムーズに効果的

K.Oレシーブについてコラム書きました!

この記事を読む前に↑の記事を読んでみてください! 今回Rugby IQのnoteにコラムとしてキックオフレシーブについての話を書かせてもらいました(めちゃくちゃ古田さんと岸岡さんに直してもらいました笑) この記事の中で僕が一番主張したかったことは、自陣はチャンスだということです。 一般的に自陣ではエリアマネジメントを考えることが多いと思います。ただこれは若干ネガティブな思考からくるリスクマネジメントであるとも感じます。 もちろん、相手のラインアウトを奪える確率が高いなどの攻

「抜けたら外」の再考察

みなさんこんにちは。 今回は少しミクロな話をしていきたいと思います。 テーマはラグビー経験者なら誰でも一度は言われるであろう、 「抜けたら外!外にパスしろ!」 と言うこのセリフです。 本当に外に行くことが正解なのか?なぜ内側はダメなのか?と言う部分について考えていきます。 抜けたら外に行く理由タイトルにしておいてなんですが、この項目はサラーっといきます笑 ラインブレイクをした後にDFに来るのは相手のキック処理にあたっていたBK3とSH、バッキングアップのDFです。

戦略はラインアウトで7割分かる

タイトルで大きく出ましたが、最近僕は本当にこう思っています。 流石に7割かどうかは調査していませんが大体わかります。 ラインアウトからチームの戦略を考える時には相手のナンバーとそこからの3フェイズを見ることが大事です。 この記事ではラインアウトでいかに獲得するかではなく、獲得した後の狙いは何かという点にフォーカスしながら書いていきます。 ◇ALL men◇ALL menラインアウトをチョイスする理由: ・BKに55mの幅でATさせたい ・相手FWのDFスタート位置を1

キックオフレシーブの教科書

<記事のポイント> ◎キックオフを取った後は、BDの位置によっては大きくゲインするチャンスがある。 ◎キックオフレシーブでアタックをするかキックを蹴るかは、「アタックが成功する確率」と「アタックをするリスク」/「キックを蹴るメリット」を天秤にかけて判断する。 ◎どのようなキックを蹴るかは、「ボール再獲得のシナリオと期待値」によって判断する。 近年、キックオフレシーブからすぐにキックを選択するチームがとても多く感じます。しかし、構造的に考えてみるとキックオフレシーブからボール

スクラム論

先日こちらの記事を書いてみたところ、思いの外反響がありとても驚きました。 それほどにFWに関する情報が世間には不足しているのかなと感じ、Twitterで改めて確認してみたところそのような傾向がありそうでしたので、今回はスクラムについてガシガシ書いていきたいと思います。 この記事を通して伝えたいメッセージ僕は毎回記事のまとめが微妙になりがちなので、先に明確にしておきたいと思います。 ・スクラムは体重の勝負では無い ・FW目線のアウトプットが増えてほしい この二

BKもFWのプレーを学ぶべき

久しぶりの投稿になります。 今回はFWのプレー(主にラインアウトとスクラム)について簡単に解説しながら、BKもこれらのプレーについて学ぶべきだと思う理由を述べたいと思います。 セットプレーを理解する意義ラグビーは他の競技と違い、スクラムやラインアウトという、ボールを争奪することのできる、セットプレーというものを持っています。 これはラグビーと他のスポーツの大きな違いではないでしょうか? 反則を犯した側にもボールを取り返すチャンスがあるのです。 このラグビーの大きな特徴

ラグビーの数合わせ的側面

久しぶりにマガジンに追加する記事です。 今回はラグビーの基本構造について書いていきたいと思います。 ラグビーは陣取り合戦では、キックを用いた縦のスペースのマネジメントについて解説しました。 今回は、パスを用いたアタックのベースとなる横のスペースの使い方について解説します。 今回の記事はプレーヤーの方々にとってはあまり新鮮味のあるものでは無いかもしれませんが、観戦時に一層意識するきっかけとなればと思っています。 また、今回のW杯で増えたであろう、にわかファンの方々に、もっと

ラグビーは陣取りゲーム

という風にラグビー界ではよく言われています。 昔からある考え方だとは思うのですが、現在のラグビーを見ていても、ラグビーの簡単な説明はこの言葉に尽きるなあ...と感じます。 ラグビーの戦術を理解するにあたって一番とっかかりやすい部分だと思うので、今回は陣地の取り合いについて記事を書こうと思います。 現在のラグビーでは自陣のゴールラインに近いところでプレーすることを避けるチームがほとんどです。これは、感覚的にもわかるかと思いますが、ミスした時の失点のリスクが高いからです。

細かいルールなんて覚えなくていい!

「ルールを覚えようとしてみたけど、実際よく分からない」 という方は多いのではないでしょうか? ここで挫折する方も多いと思います。 でも安心してください。 ラグビーをプレーしている人でもでもルールを完全に把握している人は多くありません(笑) 何故それでもプレーできるのか? それは、ルールの基となるコンセプトを理解しているからです ・倒れたらプレーしてはいけない ・ボールより前にいてはいけない ・危ないことはしてはいけない この3点だけ抑えておけば、試合を見ていても十分

戦術的ラグビー観戦のすゝめ

この写真は日本代表vsイタリア代表を神戸で生観戦した時のものです。 日本では2019年ラグビーW杯に向けてこのような綺麗なスタジアムが急ピッチで作られています しかし、W杯を自国開催するというのに日本人のラグビーリテラシーはとても低いのではないかと思います。 これは私たちが不勉強だということではなく、日本ラグビー界全体が戦術という面にフォーカスしていないことが原因です。 確かに、ラグビーは素晴らしいランやタックルなどの迫力のある個人スキルという部分が見どころの一つではあ