夜明けのすべてを読んで
何気なく手に取った「夜明けのすべて」
パニック障害とPMSで苦しむ人の交流と夜明けの話だ。
更年期障害で苦しんだ10年以上の日々が重なって、ヨツユみたいに涙が出た。
「もう無理」って何度も何度も思ったけど、生きてこれてよかったなぁ。
「ありがとう」なんてとても思えない毎日だったけど、思えるようになるまで生きてこれて良かった。
5年生存率20%という言葉は今のほうが重く響く。
もし、あの頃の私に声を掛ける事が出来るなら。
「治せなくていいよ」って言うだろう。
「〝トレーナー〟だけど治せなくてもいいよ」って言う。
治せなくても色んなことができるから。
いろんなものを失って
いろんなことができなくなって
昔みたいに底抜けに明るい私はいなくなった。
穴埋めするように自分を作り変えて
「今の自分の方が良い」って強調した。
そんな12年が懐かしい。
そう思えるとこまで来た。
今の自分も昔の自分もそれなりに気に入ってる。
優劣をつけないとこまで来た。
病気なんかなるもんじゃないけど
更年期障害がなかったらこころよみ(自己分析のための技術)は作れなかったし、小説だって書けなかった。
知識は有効だけど怖いものでもある。
正しいとか正しくないとか、良いとか悪いとかじゃなくて、優しく染み込んで自分で咀嚼できる発信をしたいと思って小説を書きはじめた。
私が学んできたこと、これからも学び続けることはいつまで経っても「途中」でしかない。わたしの体を使って研究したことを、優しい形で届けたい。
「夜明けのすべて」を読んで、改めてそう思った。
自分を使って研究すること。
書くこと。
新しい技術を作ること。
ずっと頭の中にあった細い糸が、今やっと織りあいつつある。
病気になって良いことなんか一つもない。
だけど特別なことでもない。
命あるところに当たり前にあるものだと思う。
病気にならないように自分で出来ることはしているけれど、いつかまたなるかもしれない。
どんと来いだ。
体の病気でも心の病気でも何でも来い。
その都度、新しいなにか作りだしてやる。
そう思えるのは
癌になってからのあらゆることを乗り越えたとはとても言えないけど
どんと来い
そう思えるのは、限られたわずかな一面だけでも乗り越えたと言えるんじゃないか。
そういうことにしておこう。
ご機嫌になった私はアイスを食べることにした。