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なぜ、ひとり旅に出るのか

僕は人と接することがあまり上手じゃないし、運動神経や芸術のセンスもない。その他諸々苦手なものが多い。とにかく不器用な人間だと思っている。

人と比べてはいけないとはわかっていても劣等感を抱えることが多かった。

そんな中で僕を救ってくれたのが一人旅だった。

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大学3年の夏に、学生旅行で中国の内モンゴルに行く企画に参加した。学校の掲示板で見かけた企画だった。

その旅行は、船で上海までいくというので、神戸港出港だった。節約のため、東京から神戸まで18きっぷを使って行ってみることにした。

モンゴル旅行自体は団体旅行であったが、その時神戸に向かうのが初めての一人旅と呼べるものだった。東海道線を鈍行ではるばる乗り継いで、神戸のカプセルホテルに泊まったのだ。

モンゴル旅行の話はとても濃ゆいものだったが、今回の焦点ではないので割愛する。

後日、余った18きっぷを使い切るためにまた旅をした。中央線経由で名古屋に出て、三重へ。松阪牛のすき焼き鍋を食べ、津の漫画喫茶に泊まった。

翌朝早起きして伊勢神宮に行き、伊賀の忍者博物館に行って、奈良や京都のお寺を回って、彦根城に登って帰ってきたような気がする。

その時の僕なりに色々詰め込んだ旅だった。自分の判断でいろんな経験ができたことが楽しかった。それを機に旅に目覚め、日本全国いろいろなところに行った。

人付き合いも、スポーツも、仕事も、みんなスキルが求められる。スキルのない人間は蚊帳の外だ。

小学校の時、放課後の集まりでサッカーがあった。僕はボールに触れず走り回るだけだった。面白くなく、自分の存在意義を見出せず、抜けて帰ったことを思い出す。

旅は自分で行きたいと思うところに行くだけで満足感が得られる。スキルは必要としない。不器用な人間としては疎外感や劣等感を感じることがなく楽しめ、色々なしがらみから解放された気がした。

心動かされるような風景を何となく求めて、そして何となく出会って感動して、そしてまた何となく次の新しい風景を求めて。この「何となく」の繰り返しが旅だと思っている。

一人旅の場合、この「何となく」がとても直感的になるのが僕には心地良かった。

それから10年以上経ち、いまだに一人旅を続けている。前述の「何となく」の繰り返しがまだ続いて興味が尽きることはない。

不器用な僕を受け入れてくれてありがとう。そう思う。

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