「ホットのレモンティーを追加で」
前回のnote:「はい、普通に美味しい焼き芋ですね。」
GRADの直前に書いた、樋口円香の感謝祭noteです。
これを読む前に読むことをおすすめします。
2021/04/20追加 樋口円香GRADの内容を含みます
◯椅子の背もたれに
GRAD編 シーズン4の話です。
番組で失敗してしまった円香と話そうと、カフェで待ち合わせます。
プロデューサーは円香にどう声を掛けてやるべきか悩みます。
一番伝えるべきことは?
プロデューサーは無難な雑談をして場を和ませようとしますが、バッサリと遮られてしまいます。
謝罪から入る円香。
結果的には成功だと、フォローするプロデューサー。
進め方は失敗だったと、
彼女のチャンスを潰したと、自責する円香。
場を少しでも柔らかくしようと、食べながらにしようと料理に手をつけるプロデューサー。
「食べながら適当に聞き流してもらいたい」と前置きして、口を開く17歳の女の子。
苦労はそれほどしていない。
努力も必要な分しかしていない。
だから、軽くて、重さを持たない。
黙っていれば、あのアイドルの子のチャンスを潰すこともなかった。
目の前のアイドルが、言葉を紡いでいる。
それをプロデューサーが「食べながら適当に聞き流す」わけにはいきません。
「俺の独り言だと思って聞き流してもらえたら」と、迷いながらも口を開く成人男性。
これで正しいのか自信はないけど、彼は彼なりに、独り言を尽くします。
お互いにお互いが言葉に誠実すぎるから、必死に言葉を紡ぐし、それの不完全さを理解しているから、「聞き流してくれ」と前置きを置くのです。
しかし、樋口円香は聞き流すべき目の前の成人男性の独り言を、プロデューサーが私に向けた言葉だと受け取りました。
言葉に誠実な分、誠実に言葉を紡ごうとする大変さ、真摯さを理解しているのです。
目の前の成人男性がどれだけ慎重に言葉を紡いでいるか、嫌というほど理解しているのです。
そんな男性が考えに考えて、発言した独り言を受け取らない選択はないのです。
先程の樋口円香の発言は目の前にいる成人男性を、プロデューサーだと肯定する発言です。
今ここにいる17歳の女の子、樋口円香をアイドルだと肯定する発言です。
プロデューサーは、ここでの食事代を払うと持ちかけます。
前にも断られた口止め料としてです。
でも、今の樋口円香に断る理由はありません。
そこにいるのはプロデューサーで、ここにいる樋口円香はアイドルなのだから。
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