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育休14週目の感想

回復!

食欲オバケになる

大人になって初めての高熱から復活を遂げたわたしは、夫とベビーと一緒に飛行機に乗って二泊三日の旅に出た。先月のピーチと違って今回はJALだったので、ベビーはかわいい飛行機のマスコットをお土産にいただきずっと舐め散らかしていた(ちょうど手にフィットするサイズ感で、だいぶ気に入った模様)。

二日目の夜、ラーメン屋に入る。
夫もわたしも腹ペコだったので、ラーメン・餃子セットとラーメン・炒飯セットを頼み、さらに単品の唐揚げも追加した。注文を取ってくれた店員さんが「唐揚げ、結構ボリュームありますけど大丈夫ですか?」と心配そうに聞く。唐揚げの虜の夫は「大丈夫です!」と威勢がいい。店員さんは「食べきれなかったらお持ち帰りもできますので…」と言い置いてその場を去った。

ずいぶん心配してくれたが、それだけボリューミーということだろうか。ちょっとそわそわしながら周囲を見ていたら、ラーメン・唐揚げセットのお客さんのもとにでっかい唐揚げが届けられた。拳ぐらいある唐揚げが二個。おお…。
でも、我々は腹ペコだ。余裕で食べられるだろう。

そんなふうに構えていたら、ラーメンより先に唐揚げ(単品)が来た。あの拳サイズの唐揚げが、大皿にてんこ盛り。六個はあったかな。まじか。

ここはラーメン屋である。
どういう人がこのレベルの唐揚げ(単品)を注文するのだろうか。食べ盛りの中高生? 大食い記録を追求する大学生?
少なくとも、観光に来たベビー連れカップル(別途ラーメンセットも注文済み)でないことは確かだろう。夫と顔を合わせ、しばし呆然とする。唐揚げ大好き芸人の夫をも黙らせるこのボリューム、すごい。

でも腹が減っている。遅れてやってきたラーメンセットと合わせてモリモリ食べる。どでか唐揚げを前に戦意喪失した夫の箸の進みはいつもより遅い。
わたしが二つ目の唐揚げに手を伸ばすと、夫は「いけるの?」と目を丸くして聞いた。「いけるいける」とかぶりつくわたしを見て、夫は若干引いているようだった。
なんならもう一個いけそうだったけど、明日の朝ごはんに持ち越しことにして持ち帰り用に残りを包んでもらった。

夫は何度も「すごいね」と言ったけど、全然へっちゃらだった。産後すぐの頃も猛烈にお腹が空いたが、ここへきてまた食欲が爆発している。母乳出してるからね、と言いつつ、自分がどこへ向かっているのかちょっぴり心配になる。

Your baby is beautiful.

くだんのラーメン屋で我々が思いがけずフードファイト(というほどでもなかったが)している間、隣のテーブル席では外国人観光客のグループが適量の食事をしていた。
帰り際、そのうちの一人がわたしの方に身を乗り出してきて、”Excuse me.”と声をかけてきた。振り向いたわたしと目が合うと、その人は笑顔を浮かべてこう言ったのだ。

Your baby is beautiful. Congraturations!

わたしは呆気に取られて、お礼を言うのに一拍遅れてしまった。何か気の利いた言葉を返したかったけど、”Thank you.”と言って微笑み返すしかできなかったのは、もらった言葉がわたしのなかに染み込んでいくのに時間を要したからだ。

かわいいね、って言ってもらうことはこの5か月間で本当にたくさんあった。わたし自身もベビーに何度もそう伝えてきた。
だけど、beautifulっていうのはなかった。考えたことがなかった。すごく、すてきな表現だと思った。

これは出産前から常々考えていたことなのだけど、「かわいい」というのは基本的に対象を見下した評価だ。自分より弱い、自分に楯突かない、自分を脅かさない存在を愛でてその立場に留めおくための言葉だ。だから安易には使うまいと思っているが、ベビーに対しては漏れ出してしまう。それはベビーがベビーである限りにおいて、わたしとベビーの間に権力関係が確かに横たわっているゆえである。
翻ってbeautifulは、それとは違う。そこには対象への敬意がある。その人はわたしのベビーを無力な愛玩対象としてではなく一人の人格として眼差して、感動を伝えてくれた。それがとても嬉しくて、去り行く背中に向かってもう一度心の中でありがとうと言った。


書ききれなかった話題たち

・目を擦る仕草かわいすぎ(花粉症じゃないといいが…)
・恐怖のBCG
・マネジャーになるべきか否か
・花粉ゴーグルを手に入れた!
・抱っこ紐観光で自撮りに慣れる
・離乳食、はじまる

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