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コットクラブ vol.50

少年は恐ろしい魔女に感情を乗っ取られていた。

少年のきもちとは裏腹に魔女のきもちが少年の心に覆い被さる。

少年は自分が支配されていることへの辛さと魔女に振り回されてしまっている情けない自分に憤りを持ち日々を過ごしていた。

次第に少年の目には雨雲が住み、悲壮感に溺れた。

もう全てのことが棘のように感じてしまう少年は一切の感情を捨て、しばらく空白の中で生きた。

少年のからっぽの心の中に初めてでてきた気持ちは自分自身を諦めたくないという気持ちだった。

少年は自分の気持ちに寄りかかりながら立ち上がった。

最初から魔女をやっつけるという意志は少年にはないのでただ自分が変わることで魔女をどうにかすることにした。

少年はまず今までさしていた傘を閉じた。

すると今まで気づけなかった沢山のキラキラした星の粉が降ってきた。

それを浴びた少年はまるで主人公のような気分になった。

すると自分の人生の主役を魔女にする必要はない。

そう気づいた少年の心から魔女はふわっと消えていき少年は本当の自分を見つけることができた。

#作文 #魔女 #ショートショート

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