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KOM-005 「一周年」について

(画像はイメージです。本文とは関係ありません)

クリスマスの夜、皆様いかがお過ごしでしょうか。色々あって昨日やるべき仕事に全然着手できず、これからやるのもなあ…とnoteに逃避してまいりました。何か書かねばとは思っていたけど、更新は来年以降になると思っていたのに…。

ことさら出版は昨年の12月24日にサイトをオープンして、(それより前にお手元に届いた方もいたかもしれませんが)スズキナオさんとbutajiさんのユニット「遠い街」のCD『膝』のパッケージに記されている発売日も「18・12・24」のはずなので、とりあえずクリスマスイブが創立記念日となります。下記特設ページにて試聴もできます。

サイトでは、スズキナオさんに「世界を割る」と「読んでは忘れて」、服部昇大さんに「美ー子ちゃんの今週の一枚」を連載していただいております。

そして夏、8月12日にはイシデ電さんの漫画単行本『猫恋人 キミにまたたび あのコに小判』を発売しました。特設ページは下記に。豪華推薦コメントと試し読みもございます。

8月12日というのにクリスマス的な意味合いはないのですが、『猫恋人』が連載していたコミックビーム本誌や、ビームコミックスの発売日が大体この辺りで、基本的に通信販売が主な本書ですが、書店様にお取り扱いいただけたなら、ビームや同月のビームコミックスと並べていただけないかなあ…と思ってこの日にしました。
でも、お盆の関係で日にちズレていた気がします…。この本、めいっぱいコミックビーム編集部の方々にお力添えいただいているので、素直に8月のビーム発売日聞けばよかったんですけどね、今思うと。

しかし、一年である。

正直、感慨はあると言えばあるし、ないと言えばない感じ。

自分で言うのもなんですが、こういうのを推測するのは比較的得意なほうだと思っていまして、商品の売上も大体予想通り。
本当に安くて申し訳ないのだけれど、毎月発生はしている原稿料などを踏まえて減るお金も予想通り。

今年、個人的に忙しくはあるものの、やってる仕事で請求まで行っているのが全然ないので口座の金額だけ見れば正直減っている1年なのですが、商品の売上自体はいい意味で予想通りで、商品単体で見ればそのうち損益分岐点は普通に超えると思います(もう超えている可能性もある)。
サイトに広告入れたりマネタイズするつもりはないので、原稿料が身の丈を超えなければそこそこの赤字で気楽に運営できるかな、という感じでおります。ちなみに広告が嫌い、とかいう高尚な思想はありません。単に面倒くさいだけです。

唯一サイト内のAmazonの商品リンクにはアフィリエイトを貼っているのですが、これも収入を得るというよりは、クリック数で内容の反響が分析できればと思ってのことですね。
とはいえ、せいぜい数か月に一度見るくらいで、ことさら出版のアクセスの母数だと、そこから先にAmazonの商品リンクをクリックする人も相当少なく、規模の反響を統計的に有意な形で計るのは全然無理です。
しかし、それでもたまに見ると面白いです。服部さんの「美ー子ちゃんの今週の一枚」で一番Amazon商品リンクがクリックされていたのは餓鬼レンジャーの『ティンカーベル ~ネバーランドの妖精たち~』で、

スズキさんの「読んでは忘れて」では、小林真樹『日本の中のインド亜大陸食紀行』でした。やはりグルメネタはこんなマイナーなサイトでも強いのか!と言いたいところですが、この本も王道のグルメ本ではまったくないわけだけれど。

っていうか、ことさら出版のサイトはWordPressでつくっているのですが(完全に素人工事なのでツッコミはご遠慮ください。自分でわかってて放置してる問題点多々あり)、WordPressってアクセス解析見れるよなと思い、アクセス数を見てみたら、「美ー子ちゃんの今週の一枚」は、

「読んでは忘れて」は、

同じくスズキさんの「世界を割る」は、

という結果に。

「世界を割る」はミュージックフリーペーパー『UNGA!』で19回連載していたので、ことさら出版ではこれが初回。つまり、スズキさんの連載は第1回が一番多い。
一方、服部さんの連載はそうではない。でもまあ、ヒプノシスマイクですからね。そりゃあ強いわ!っていう。
実際、ヒプマイのどついたれ本舗→舐達麻→Pizza Love→徳利→舐達麻(2回取り上げている)と、知名度やネットとの相性に勝る強者たちの次に第1回のMEN-GOOがランクインしています。MEN-GOOさんの下に神門とR-指定ですからね!

やはり初回は強し。
『ONE PIECE』がどれだけ売れて、どれだけ巻数を重ねても、一番売れるのは第1巻でしょうし。

あと、コラム単体では「読んでは忘れて」のほうがアクセスが多そうなんだけど、コラムトップページの比較だと「世界を割る」のほうがアクセスが多かった。
これ、たまにトップページをチェックしてくださっている方がいるからかもしれない…。ミュージックフリーペーパー『UNGA!』編集部様より、同誌連載分の原稿もいただいておりまして、順次更新予定ではある。あるのだけれど、昨冬に2話公開したっきりで…。
憶えてるんだけど本当に仕事がしんどくて後回しにしております。そうだったら面目ないです。そもそもクリスマスプレゼントだ!って数話アップできればと思っていたのですが、諦めました。

で、お金→Amazonアフィリエイト→アクセス解析と話が転がりましたが、話を戻しましょう。
当然ながらお金以外のものも一杯いただいているし、元々赤字を想定して始めているのでそこは争点ではない。そういった意味では、非常に有難い思いをさせていただきました。イシデさんの単行本をお買い上げいただいた方に、手書きのお手紙をいただいたり(イシデさん宛のファンレターですが、私に対してもメッセージがあり拝読させていただきました)。

先に断っておきますと、遠い街のCDへの反響も含めて、こういうのは本当に嬉しいです。日頃そんな人に感謝されることなんてそうないですからね。
ただ、これも「こんな凄い人たちの商品出したらそりゃあ反響はあるだろう」といやらしくも予想していて、大体予想通りという感じです。
だってねえ、特にイシデさんの本なんか、私が全然電子書籍を読まない人間なのでよくわかるのですが、紙で出たら、喜ぶ人いるに決まってるじゃんって話じゃないですか(我ながら性格悪い供述)。

でも、そんな感慨ひとしおという感じではない(元々感情の起伏が少ないほうなものですみません)というだけで、感謝や感動はそれなりにたしかな形であります。
普通の企業が出していたらもっと安くなっているCDや本を買っていただく。買取りの条件で直接取引で仕入れていただく。凄いことですよね。

これは、言い換えれば「そうなるとは思うけど、しかし大変なことだよなあ」と感じるようなことにちゃんと応えてくださる方々がいた。ということであって、それは本当に有難く尊い出来事だと思います。

人間、大体そういう予想をして生きているものです。

親は優しくしてくれる。
学校には楽しいことがいっぱいある。
大人になったら素敵な恋愛をして結婚する…とか色々。

最初のうちは、大抵はいい予想ばかりでしょう。それが、少しずつ外れていく。ずっと当たっていく人はおそらく本当に本当に少数でしょう。
そうではない多くの人は、色々と諦めることを憶えたり、悪い予想を自衛として行うようになっていく。寂しい話ですが、それも「成長」の一種ではないかとも思います。

そうやって生きてきた人間が、いい年をして未知の何か(私の場合はインディーレーベルのようなものの運営)についてマイナスではない予想をするというのは、予想という表現だとドライな感じですけど、願いであり、祈りでもある。
だから、それがほぼ予想通りに終始したということは、一種の勝利とすら言えるでしょう。願いは全て叶うものではないし、祈りは全て報われるものではないのだから。

書いててパッと出てきたワードですが、「祈り」というのはわかりやすいかもしれない。
私は世界を見るときに何か一つの人や物をベンチマークにする、ということをよくするのですが、スズキさんの著書『深夜高速バスに乗って100回ぐらい乗ってわかったこと』は売れれば売れるほど社会がよくなる本だと思っているので、死ぬほど売れてほしいです。
またスズキさん自身に対しても、この人が幸せな人生を送れないことがあるのなら、それは社会のほうが間違っていると本気で思っています。

で、「いい予想の精度」を上げるには、できるだけ、人、個をベースにするべきなのだろうと考えています。
大きいものに対する祈りは、届かなくてもある種しょうがない、っていうのが今の社会なのではないかと。だからと言って諦めるのも話が別だと個人的には思いますが。
ともあれ、人にベットするのがことさら出版の基本方針です。
(厳密にはあらゆる人、企業が人にベットしてはいるのでしょうが、実質は人々の後ろにあるもっと大きな枠組みに目が行っていることのほうが多い気がする)
そして、信じられる人の周りにいる人や、その人を好きな人も基本的には信頼性が高い。だから程度予想通りに行く可能性も少しは高まるのではないか―といった考え方をしています。

とはいえ、そうは言ってもいい年をして人を信じて報われるというのは非常に嬉しいことです。スズキさんの本が重版かかってるのも本当に本当に嬉しい。日本まだまだやれるじゃねえか!って気持ちになる。

そんなこと言ってると、それならもう少し感慨を覚えろよって思われるかもしれませんが、基本的に信じる人に裏切られることはそんなにない=裏切られそうな人に極力ベットしないで済む生き方を考えながらやってきたつもりなので、嬉しいけども「こんなもんだろ」的な気持ちもある、といったところでしょうか。

ただ、ことさら出版を初めた理由にも書いたのですが、今後どうなんだろう、というのは正直ある。

私に問題があっていい予想が外れるとか、私に人を見る目がなくて外れる、とかならまだよいのだが、みなできる限り正しく美しくあろうと振る舞っているのに(あくまで私基準でしかありませんが)、そんな人たちが報われない可能性がどんどん高まっているのではないか?という懸念があります。
だから、そうじゃないと思えることがあったら、それは本当に素晴らしいことだと思うのです。

しかしそう考えると、やはりもっと喜ぶべきなのか。繰り返しになりますが、基本的に感情が死んでるので盛り上がりが薄いんですよねえ。困ったものです。
だけれども、今年はまあ、まだどうにか大丈夫じゃないか…みたいな感覚もなんとなくありました。
でもこの先は本当にわからない。だけどストレートにあがくことは私には多分できない。なので、かすかな抵抗として願い、祈ることをしている、という感じなのだと自分では思っています。

とにもかくにも、今年はまだ終わっていないけれど、祈りがそれなりに報われた一年だったと言えるのではないかと思っています。
ことさら出版の何某かに時間や労力、お金を割いてくださった好事家の皆様に心より感謝申し上げます。
来年もそうでありますように。

…とここまで書いてから、これまで一回も参加したことないんだけど、投稿画面で「2020年代の未来予想図」というのがあるのを見かけて、せっかくなので参加して、予想というより祈りを捧げておこうかと思いました。

「考え方次第で、なんでもない日々を少しぐらいは楽しいものにすることができる」(スズキナオ『深夜高速バスに100回ぐらい乗ってわかったこと』のまえがきより)人がたくさん増える2020年代になりますように。

私の予想は結構当たるほうという設定なので、きっといい未来が待っているに違いない。そうだそうだ。

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