ご質問にお答えします!『プロットの書き方が分かりません』
脚本家志望の方から、こちらのご質問をいただきました。
ご質問ありがとうございます。
念のため、質問者さん以外の方のために補足します。
脚本家が書く「プロット」とは、脚本形式で原稿を書き始める前に、ストーリー展開や登場人物のキャラクターがおおよそ把握できるようにまとめた文章です。
ドラマや映画の公式サイト等に載っている「あらすじ」のようなイメージだと思っていただければ良いと思います。
(ただし、プロットの場合は公式サイト上の「あらすじ」と違って、ストーリーの結末まで明確に記載します。)
さて、今回のご質問は、「プロの方は、プロットを書く際どのようなことを意識して書かれるのでしょうか?」とのこと。
それをご理解いただくために、まず「プロの脚本家は、どんな目的でプロットを書くのか?」をご説明したいと思います。
私たちにとってのプロットは、「脚本に着手する前の段階の覚え書」であると同時に、「自分の構想を、人にシェアするためのもの」です。
具体的には、「企画の成立を目指して、企画書上にプロットを書く」または「すでに成立している企画であっても、監督やプロデューサー等のメインスタッフに、脚本の構想を伝えるために書く」ということになります。
いずれの場合も重要なことは、「この作品が完成すれば、面白くなるはずだ!」と感じてもらうこと。
そのための必須条件は「一読しただけでスムーズに内容が理解できるぐらい、わかりやすいこと」です。
まだ脚本が存在していないうちから、「このプロットに基づいて書かれるのなら、面白い脚本ができるはず!」と読む人に思ってもらうことが重要、というわけです。
……と、ここまではプロの脚本家にとってのプロットの重要性を書いてきましたが、脚本家志望者のみなさんも、プロットを書く技術を高めると、さまざまなメリットがあります。
上記のポイントに留意してプロットを書けば、自ずと「この作品の面白さのキモはどこか?」を意識することになり、「自分のための覚え書」としての質が上がります。
また、コンクール応募時に脚本に添える「あらすじ」も、うまく書けるようになるでしょう。
さらに、コンクールに入賞したり最終選考に残ったりして、プロットライターを務めるようになった際に、良いプロットが書ける人はプロデューサーから声がかかる機会が多くなり、デビューのチャンスが増えます。
このように良いことばかりなのですが、質問者さんが通われたスクールのように、プロットの書き方を学ぶための授業は特に設けていないというところも多いでしょうし、脚本家志望の人が自力で習得しなければならない技術だと考えた方が良いでしょう。
私が具体的にどう学んだかと言えば、「試行錯誤」ということに尽きるのですが、例えば、未見の映画やドラマのあらすじを読んでいて「面白そう! 観てみたい!」と感じるものがあれば、それを真似たり分析したりすると良いのではないかと思います。
最後にひとつ実例を挙げておきます。
下記は、YouTubeで配信中の自作リモートドラマ『キャバクラ・ドットコム』第1話の冒頭部分をプロット形式で表したものです。
『キャバクラ・ドットコム』第1話はこちらからご覧いただけますので、冒頭プロット読んだうえで、映像を見ていただくと参考になるかと思います。
冒頭部分なので詳しく書いてありますが、一般的なプロットでは、この濃度で全シーンを描写する必要はないと思います。
長すぎると読む側の負担になるので、冒頭やターニングポイントなどの重要なシーンは詳しく、それ以外は筋が把握できる程度に簡潔に、とメリハリをつけて描写することが多いです。
『キャバクラ・ドットコム』は第2話も配信中ですので、よろしければご覧ください。
これからもお互いがんばりましょう!
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