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ご質問にお答えします!『インプットは控えめにした方が良い?』

脚本家志望の方から、こちらのご質問をいただきました。

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ご質問ありがとうございます!

ドラマにハマり過ぎて、自分の作品が書けなくなることもあるとのこと。
ご質問の内容だけを頼りに、なぜそういうことが起きるのか類推するのは難しいのですが、私がシナリオ教室に通い始めた頃の経験として、あまりに感動的な作品を観ると、打ちのめされてしまい、
「世の中にはこんなにすごい作品がもう存在しているのに、この先、私ごときが何を書けばいいの?」
と感じたことはあります。
もしかすると、質問者さんもそれに近い状態なのかもしれませんね。

ともあれ、インプットを控える必要はまったくないと私は思います。
今、質問者さんが抱えている問題は、「観客の視点しか持っていないこと」であり、必要なのはインプットを控えることではなく、「客観的な、作り手の視点を持つこと」だと考えるからです。

もう少し具体的にお話ししましょう。
私がシナリオ教室に通っていた頃、よく先生からこんなことを言われました。
「君たちもプロになったら、映画やドラマを観て泣くようなことはなくなるよ。作り手の視点で観ていれば、『次のシーンはこう来るかな?』『ほう、そういうセリフを入れてくるんだ』という具合に、観ているあいだ中、分析ばかりし続けることになるから」

では、今プロとして脚本を書いている私が、映画やドラマを観て泣かないのかといえば、かなり頻繁に泣きます(笑)。
おそらく先生は、
「観客としての自分よりも、作り手としての自分の存在が大きくなるから、泣くようなことはなくなる」
とおっしゃったのだと思うのですが、今の私のなかには「観客としての自分」と「作り手としての自分」が共存している感覚です。
作品を鑑賞している間(特に没入しているとき)は「観客としての自分」で、観終わった後(あるいは2度目以降の鑑賞のとき)に「作り手としての自分」が現れて分析を始める、というイメージです。

ですので、質問者さんにも私が実践しているように、作品のインプット後に頭と心を切り替えて、冷静に分析をする時間をつくることをお勧めします。
分析タイムに考えるべきは、例えば以下のようなことです。
・作品に没入し始めたきっかけのシーンはどこなのか? なぜそのシーンで心を捉えられたのか?
・登場人物のどんな部分に強く感情移入したのか? その感情移入は、登場人物のどんな言動から起きたのか?
・これまでに観た他の作品との類似点は? 似ているならば、どちらの作品も同じように感動したのか? 一方にしか感動しなかったならば、相違点はどこなのか?
等々……を冷静に分析していきます。
最初の鑑賞時は「心」だけを働かせ、その後「頭」だけで分析をするわけです。
ひたすら感動に酔いしれているだけでは、このような分析はできません。
さらに言えば、ひたすら感動に酔いしれているだけでは、何百本、何千本の作品を観ても作り手にはなれない、と私は思います。
「ドラマを観るのが大好きな人」と「ドラマを作る人」の違いは、ここにあるのではないでしょうか。

この方法でのインプットを続けながら、自分の作品も書き続けていく(←とても重要)と、自ずと「インプットから得た知見を、自分の作品にどう活かせるのか?」という視点も持てるはずです。


これからもお互いがんばりましょう!

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