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ご質問にお答えします!『作家が主人公の作品はつまらなくなるとネットで読みました』

脚本家志望の方から、こちらのご質問をいただきました。

ご質問、ありがとうございます。
「主人公が作家物(アーティストタイプ)はつまらなくなるからやめとけ、とネットなどに書かれていて」とのこと。
いただいたご質問だけでは、誰が、何を根拠にこのように述べていたのか分からないので、お答えするのが非常に難しいですが、何とか頑張ってみます。

結論から言うと、「ネットなど」に何と書かれていようとも、まずは、「作家を主人公としたストーリーを書こう」と決めたご自身の意思を優先させることを、私からはお勧めしたいです。
「作家が主人公だとつまらなくなる」ということが、仮に事実なのだとしても、質問者さんが今、「ネットなどに書かれていたこと」だけを基に、主人公の設定を変えたり、書きかけた習作をボツにしたりしてしまうのは危険だと感じます。
一度、それをやってしまうと、今後もネットで「主人公の設定が〇〇だと駄目」「××を舞台とした作品は面白くならない」といった言説を見かける度に振り回されてしまうのでは?と思うからです。

ネットを使って作劇に関する発信をしている人は、数多くいます。
質問者さんご自身がそれらの言説の根拠をしっかり把握し、納得した上で活用するのでなければ、プラスにはならないと思います。

「主人公が作家物(アーティストタイプ)はつまらなくなるからやめとけ」が誰の言説なのかは分かりませんが、恐らくその根拠は、「小説家が原稿を書くといったシーンは動きが少なく、”絵”になりにくいから」なのではないかと推測しています。
そうだとすれば、一定の説得力があるとは思います。
「人が原稿を書いている」というシーンに、「”絵”としての躍動感」を持たせることが難しいのは、事実だからです。
ですが、「だからと言って、作家が主人公のストーリーはつまらなくなると断言することまではできない」というのが私の考えです。

例えば漫画『バクマン。』の主人公は、二人組の漫画家(それぞれが原作と作画を担当)ですよね。
「原作者が原稿を書くシーン」も、「作画担当が原稿を描くシーン」も、基本的には机に向かって座ったきりで、「”絵”としての動き」は少ないです。
ですが、この作品はヒットしていますし、アニメ化、映画化もされています。
「何の工夫もしなければ、原稿を書く(あるいは描く)シーンは、”絵”として冗長になりがち」ということが事実だとしても、「だからと言って、漫画家が主人公の作品が絶対につまらなくなるわけではない」ということです。

たまたま私の頭に最初に浮かんだのが『バクマン。』だっただけで、「主人公が作家(アーティストタイプ)だとつまらなくなる」という言説を覆す作品は、数多くあるはずです。
ですから私は、「主人公が作家(アーティストタイプ)だとつまらなくなる」と断言することも、その言説を簡単に受け入れることも危険だと感じ、質問者さんには「まずは、当初の方針で作品を書き続けること」をお勧めしているわけです。

当初の方針で書き続けた結果、質問者さんは「やはり主人公が作家(アーティストタイプ)だとつまらなくなる(または、つまらなくなりがち)」と実感される可能性もあります。
たとえそうなったとしても、その経験は決して無駄ではなく、大きな意味があります。
執筆経験を通して、「なぜつまらなくなりがちなのか?」「それを回避するにはどんな工夫が必要なのか?」と言ったところまで、思考が深まるからです。
そういった経験を積み重ねていくことで、質問者さんの筆力は着実に上がっていくはずです。

これからもお互いがんばりましょう!

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