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ご質問にお答えします!『プロットライターになる方法』等

脚本家志望の方から、こちらのご質問がありました。

プロットライターとは

まず、脚本家志望の方々以外の皆さんのために「プロットライター」とは何かをご説明しておきます。

ドラマにせよ、映画にせよ、企画が立ち上がった後、すぐに脚本家がシナリオに着手するとは限りません。
多くの場合はまず、シナリオの前に「プロット」が作成されます。
「プロット」は、ストーリーの展開やキャラクターがある程度まで把握できるように書かれた「あらすじ」のようなもので、脚本家がプロットを書く場合もあれば、脚本家とは別に、プロットを書く役割だけを任される人がいる場合もあります。
この「プロットを書く役割だけを任された人」がプロットライターです。

プロットライターは、”脚本家予備軍”と呼ぶべき状況の人(例えば、シナリオコンクールで入賞する等、何らかの客観的な評価は受けているが、まだプロデビューはしていない人)が担うことが多いです。
この場合はプロットライターを務めることが、プロデューサーとの繋がりを作ることにもなり、プロットライターとして評価されれば、脚本家デビューに繋がる場合もあります。

ご質問1)プロットライターになるには?

質問者さんがお読みになったのは、こちらの投稿ですね。

私がプロットライターを任されるようになったきっかけは、制作会社が行っていたワークショップ的なものに参加したことです。
ここでの課題は主に、その会社が実際に制作しようとしている企画へのアイデア出しや、企画書、プロットの作成でした。
ワークショップ参加者が企画書やプロットを提出すると、プロデューサーからフィードバックをもらえるのですが、そこで良い評価を得られると、さらに内容をブラッシュアップしてテレビ局等に提出する、という流れになっていました。

私はこの「テレビ局等への提出」の段階に何度か進むうちにプロットライターを任されるようになり、ワークショップの課題とは別に、プロデューサーから直接プロット執筆依頼をされることも増えていきました。

この制作会社は現在はワークショップを行っていませんが、他にも同様のことを行っている会社があるのではないかと思います。
ご興味があれば、情報収集されてみてはいかがでしょうか。

ご質問2)コンクール入賞、自主制作以外の「客観的な評価を得る方法」は?

私の頭では今のところ、「コンクール入賞」「自主制作作品が評価される」以外の方法は思いつきません。
だからと言って、この二つ以外に何もないと言い切ることもできません。

マシュマロ経由で脚本家志望の皆さんからいただくご質問は、大きく分けて二種類あります。
一種類目は、作劇のルールやセオリー、コツの類。
二種類目は、今回の質問者さんからのご質問のような、作劇以外の「脚本家になるための行動の仕方」の類です。

一種類目は、時代の移り変わりによる影響が少なく、「普遍的」と言って良いと思います。
これに対して二種類目は、その時々に移り変わる部分が多いはずです。

私が脚本家志望者だったのは、平成の後半のことです。
令和6年現在の脚本家志望者である質問者さんが熟考されれば、私には思いつかない「客観的な評価を受ける方法」が見つかる可能性もあります。
「中川から回答を得られなかった」という理由で思考停止することなく、引き続き、いろんな手立てを考え、実践もしてみてください。

ご質問3)1時間のシナリオを1~2か月かけて書くのと、プロットや企画書を1~2か月に何本も書くのと、どちらが上達するか?

そもそも、「シナリオを書くこと」と、「企画書を書くこと」とでは、成長する部分が違います。
一言で「筆力」とまとめてしまうこともできるのでしょうが、シナリオの技術はシナリオを書くことでしか伸びませんし、企画書を書く技術は企画書を書く経験を重ねることでしか伸びません。(もちろん一部リンクする部分もありますが。)

「プロットを書くこと」は、「シナリオを書くこと」のステップの一つですが、だからと言って、プロットだけをたくさん書き続けていれば自然にシナリオも書けるようなるわけではありません。
つまり、「ご質問にあるような比較はできない」ということです。

質問者さんは、現在通われているシナリオスクールで、プロットからシナリオ執筆の段階に進むまでに6か月かかったとのこと。
焦るお気持ちも分かるのですが、それは意味がある6か月なのではないかと私は思います。
おそらくスクールによって方針はさまざまで、「とにかく短編をたくさん書かせる」というスクールもあれば、「中編以上のシナリオを前提とし、シナリオ段階に進むにふさわしいプロットができるまで、じっくりブラッシュアップさせる」という方針のところもあるのでしょう。
質問者さんのスクールは後者なのでしょうね。

もし質問者さんが「数をこなすことにも意味があるのでは?」とお思いならば、スクールの課題とは別に、ご自身の判断で別作品も同時に書き進めてみてはいかがでしょうか?
必要と思われるのであれば、企画書の執筆も並行して行われると良いと思います。

スクールは、決められた枠組みの中で、最大限効果的な指導を行おうとしてくれているのではないかと思います。
そして同時に、その枠組みから質問者さんが出てはいけないという決まりはどこにもないはずです。

ご質問①への回答で、私が脚本家志望者時代に、制作会社のワークショップに参加したことをお伝えしました。
これは、その時期の自分にとって有益だと自分で判断して行ったことです。
当時はシナリオ教室にも通っていましたが、そこで誰かに勧められたりしたわけでもなく、自分で「プロデューサーとの繋がりを作る方法を見つけよう」と考え、自力で情報にたどり着いて参加しました。

何が言いたいのかと言えば、「脚本家を本気で目指しているのであれば、主体性を持ち、今の自分にとって必要なことを自分で判断することが重要」ということです。
少々お説教じみてきてしまいましたが、主体的に考え、行動する癖をつけることは、シナリオ書く技術にも繋がると私は思っています。
どんな作品も、ひたすら作劇のルールとセオリーを守っている”だけ”では、人の心に響くものにはならないからです。
ルールとセオリーを学んだ上で、そこには収まりきらない部分については、「ノウハウはないけれど、試行錯誤しながら前に進む」ということを1作品ごとにしなければなりません。
脚本家とは、そういう職業だと私は思っています。


これからもお互いがんばりましょう!


脚本、小説の有料オンラインコンサルも行っていますので、よろしければ。

ご質問のある方はこちらからどうぞ。
※シナリオコンクールの規定、審査基準に関してはお答えできませんので、その点はご了承ください。



これまでに脚本家志望のみなさんからいただいたご質問への回答は、こちらのマガジンにまとめてあります。

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