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ご質問にお答えします!『脚本を書く前にアウトラインを作りますか?』

脚本家志望の方から、こちらのご質問をいただきました。

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ご質問ありがとうございます。

【質問者さん以外のみなさんのための補足】

まず、質問者さん以外のみなさんのために補足をします。
脚本は、小説とは違う独特の書式で、セリフとト書きを使ってストーリーを描いていきます。
質問者さんは、私が原稿を書く際に「最初から脚本形式で書き始めるのか? それとも先にアウトライン(一般にプロットと呼びます)を書くのか?」と尋ねられています。


【中川の執筆方法】

私の書き方をお答えしますと、いきなり脚本形式で書き始めることはありません。
プロットとハコ書き(構成)を固めてから脚本に着手します。
「アウトラインを書く場合のメリット、デメリットを教えてほしいです」とのことですが、私にとってはデメリットは何もありません。
メリットしかないので、この方法を選んでいます。

【プロット、ハコ書きを書くことのメリット】

具体的にどんなメリットがあるかといえば、「アイデアが生まれやすくなる」ということです。
質問者さんの執筆歴がどのぐらいなのかわかりませんが、ある程度書いたことがあるならば、脚本を書く際は考慮すべきポイントが数多くあることがおわかりになるはずです。
・メインプロットの展開
・サブプロットの展開
・メインプロットとサブプロットの交差のさせ方
・各キャラクターの掘り下げ
・セリフの吟味
・過不足のないト書き
 等々……さらにプロの脚本家が仕事として書く場合には「予算内に収まるか」「撮影スケジュール上の問題はないか」といった要素も加わります。

プロットもハコ書きも作らずに、いきなり脚本形式で執筆をするとなれば、これらすべてのポイントに同時に配慮しながら書き進めて行かなければなりません。
例えて言うなら「右手、左手、右足、左足で、それぞれバラバラの動きをしながら目的地まで長距離を歩いて行ってください」と言われているようなもので、負荷が大きすぎて、それぞれのポイントに集中できず、配慮の行き届かない脚本になってしまう、というのが私の考えです。

これに対して「プロット→ハコ書き」という過程を経ていれば、まずはストーリーライン、構成に集中することができます。
そこを固めた上でキャラクターを掘り下げて、キャラクターにふさわしいセリフを吟味して……と段階を踏んでいった方が、私にはずっと書きやすいです。
(ちなみに私は、一作品書き上げるまでの間に、「キャラクターの掘り下げのみを行う段階」というのも設けます。)

このように1ステップずつ進んでいく事で、段階毎に考慮すべきポイントのひとつひとつに頭のリソースを集中できます。
すると、各段階で良いアイデアが生まれやすくなります。

仮に質問者さんがまだあまり脚本を書いたことがないのだとすると、「先にプロットを書くと、それに縛られて発想が広がらなくなるのでは?」ということを心配されるかもしれません。
ですが私の経験上、そのようなことはありません。
段階を踏んで書き進めるうちに、当初のプロットにはなかったアイデアが浮かぶこともありますし、それが良いアイデアであれば、その都度取り入れていけばよいだけなので、発想が閉じるといったことはありません。

これからもお互いがんばりましょう!

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