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ご質問にお答えします!『脚本家を目指していることを周りに打ち明けられません』

脚本家志望の方から、こちらのご質問をいただきました。

中川さんこんに...

ご質問ありがとうございます!
真剣に脚本家を目指しているからこそ「なれなかったらどうしよう」と思う気持ちも、なれる確証がないのだから人には話したくないという気持ちも、ごく自然な感情だと思います。
私も脚本を学び始めた当初は同じように感じていました。
最初に「脚本家を目指している」と打ち明けた相手は、付き合いの長い、心を許せる友人たちでしたが、それでも「笑われるんじゃないか?」とドキドキしていた記憶があります。
(結果的には笑われることなどなく、「がんばって!」と励ましてもらえました。)

「心をどういう状態に保つことが大事ですか?」
とのご質問ですが、不安に思っている今の状態を良くないことと決めつける必要はないと思います。
繰り返しになりますが、今質問者さんが抱いているのは、ごく当たり前の感情です。
気をつけるべきは、心の持ちようではなく、「脚本家を目指しているのを周りに隠していることが、勉強の妨げになっていないか?」という点だと思います。

私がシナリオ教室に通っていた頃にクラスにいた女性で、自分のご主人にさえ脚本を学んでいることを隠している人がいました。
「コンクールで入賞するとか、何か結果を出さないうちは、人からは『浮ついた夢を追いかけている』としか見えないはず。
 まして、うちの夫は真面目で仕事熱心。そういう人に『何の確証もないけど、あたしは夢を追いかけてるの』とは言い出せない」
と言っていたと記憶しています。

その気持ちはよく理解できたのですが、理解した上で、私は彼女に「ご主人には話したほうがいいよ」と勧めました。
一緒に暮らしている相手に脚本を書いていることを隠しているのでは、執筆できる時間がかなり限られてしまいますよね。
コンクール締切りの前に、「今日から1週間だけ、家事の分担サボらせて!」と頼むこともできません。

質問者さんの場合でいえば、脚本の講習に通っていることを職場の人に知ってもらっておいたほうが残業を断りやすく、執筆の時間を作りやすくなるといったことがあるのでしたら、話されたほうが良いと思います。
私は、契約社員として働きながらプロットライターをしたり小劇場系の舞台作品を書いていた頃は、「脚本家を目指しているが、まだその道で生計を立てられないので、ここで働かせてもらっています」と会社で公言していました。
入社後すぐに話したわけではなく、ある程度仕事に慣れ、「会社にとって、”雇い続けておいたほうがいい存在”と認めてもらえているじゃないかな?」と思えるようになった時期に、プロットライター等を始めることになったので、「今なら、脚本家を目指していることを話したほうが自分にとってプラスになる」と判断したわけです。
実際、話をしてからは、脚本のほうの打ち合わせに出るための早退や休みの申請がしやすくなりました。

まとめると、「話しておいたほうが、脚本家を目指していく上でプラスになる相手にだけ話す」ということをお勧めしたいです。
それ以外の人に無理に話す必要はないですし、話せない自分を責める必要もない、というのが私の考えです。

以下は、冗談半分で読んでいただけたらと思いますが、質問者さんが講習に行っている時間について「何しているの?」と人から訊かれたら、嘘の返事をして、それがどこまで通用するか試してもいいかもしれません。
「ブラジリアン柔術を習ってるんです」のような、あまり一般的とは言えない習い事をしているふりでもして、「なんで習おうと思ったの?」「どんな練習するの?」と訊かれたら、それらしく答えていくのです。
脚本家を目指している質問者さんにとって、「信憑性がある、面白い嘘を吐く能力」は確実に強みになります。
それを鍛える訓練になりますし、やってみると単純に楽しいです。
私はシナリオ教室に通っていた頃、自分より後から入って来た人に「お仕事は?」と訊かれ、「スタンダップコメディアンなんです」と嘘を吐き、しばらく本気にされていた経験があります。

これからもお互いがんばりましょう!

ご質問のある方はこちらからどうぞ。
※シナリオコンクールの規定、審査基準に関してはお答えできませんので、その点はご了承ください。


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