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ご質問にお答えします!『一日に書く原稿の量は?』

脚本家志望の方から、こちらのご質問をいただきました。

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ご質問ありがとうございます!
今回は、これまでにいただいたなかで一番お答えするのが難しいご質問かもしれません。
というのも、「一日あたりの執筆量」をどのように割り出すかによって、回答が大きく変わってくるからです。

ご質問のなかの「一日に書く原稿の量」というのは、プロットやハコ書きではなく、シナリオ形式の原稿を指しているのだと思います。
私の場合、シナリオ形式の原稿に限って言えば、調子が良ければ4、5日で約2時間の映画シナリオの初稿を書きます。
一日あたり、映像20~30分程度の量を書くという計算になります。
こう聞くと「速い!」と思われるかもしれませんね。
ですが、これにはからくりがあるのです。

私はシナリオに着手する直前に必ず細かくハコを書きます。
どんなにスケジュールがタイトな場合でも「急がば回れ」の精神で、シーンごとに小バコまで書きます。
「見えたな」というシーンは、ハコの時点でセリフもト書きも細かく書いていくので、ハコ書きが「横書きのシナリオ」に近いものになる場合もあります。
作品ごとに資料読み等のリサーチにも時間を使いますし、プロットもハコ書きも、打ち合わせを挟みながら改稿を繰り返します。
体感に基づいて言うと、シナリオ初稿の執筆に着手するまでの「リサーチ→プロット→ハコ書き」で、その作品に費やす工数全体の半分以上を使うイメージです。
つまり、「映像2時間分の原稿を4~5日で書く」というのは、入念な準備があった上でのことなのです。

初稿シナリオが決定稿になるということはあり得ず、その後もさらに改稿を繰り返すわけですから、仮に「リサーチに着手したときからシナリオが決定稿になるまでの日数でページ数を割る」ということをすれば、一日あたり、ほんの数ページにしかならない(場合によっては1ページ分にも満たない)のだろうと思います。
「このご質問はお答えするのが難しい」書いたのは、こういう事情があるためです。

ただ、これがプロの脚本家のスタンダードなのかといえば、なかには「プロットはメモ書き程度のものしか書かない。ハコ書きもしない」という人もいるようなので、「人による」ということになるかと思います。

これからもお互いがんばりましょう!

ご質問のある方はこちらからどうぞ。
※シナリオコンクールの規定、審査基準に関してはお答えできませんので、その点はご了承ください。


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#脚本 #シナリオ #エンタメ #質問 #マシュマロ
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