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ご質問にお答えします!『人に評価されるシナリオの書き方がわかりません』

脚本家志望の方から、こちらのご質問をいただきました。

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いただいたご質問と、この投稿のタイトルとが一致していないのは、私が、あえてご質問を読み替えたからです。
まずは、読み替えをした経緯をご説明します。


ご質問を読み替えた経緯

私はこのnoteマガジン内の投稿と、ツイッターのプロフィール欄で、ご質問を受け付けている旨をお知らせしており、どちらにも「シナリオコンクールの応募規定、審査基準関連はお答えできない」と但し書きをしています。
ひと口にコンクールと言っても、さまざまな団体が、さまざまなコンセプトで運営しており、一般論で語ることはできませんし、各コンクールの主催者が定めている規定や基準を私が代弁することは不可能です。

ですので、いただいたご質問「(シナリオコンクールの)最終選考に残るシナリオの書き方がわかりません」へのお返事は、「私からはお答えできません」ということになります。
だた、「但し書きがあるにもかかわらず、なぜ質問者さんはこの質問をされたのだろう?」という点が気になりました。
私の推測に過ぎませんが、以下1)~3)のいずれかに当てはまるのではないでしょうか?

1)但し書きに気づいてはいたが、それでも訊ねたいと思うほど切羽詰まっている。
2)但し書きを見落としてしまうほど、切羽詰まっている。
3)特に切羽詰まっているわけではないが、単純に但し書きを見落とした。

1)か2)の確率が高い、というのが私の予想です。
質問者さんはコンクール応募を何度か(あるいは何度も)繰り返しているけれど思うような結果が出ず、切迫感が募っているのでは?と(勝手に)思っているわけです。
もしそうならば、話をコンクールに限定せず、「人に評価される作品、面白いと言われる作品の書き方がわからない」とご質問を読み替えて、私なりのアドバイスをお伝えしたいと思いました。

もしも「3)切羽詰まっていないが、見落とした」の場合は、コンクール応募時にも募集要項の見落としをしている可能性があります。
気をつけましょう。


注意した方が良いと思うポイント1:問いの立て方、目標設定を厳密にする

まずお伝えしたいのは、「問いの立て方、目標設定をもっと厳密にした方が良い」ということです。

多くの人々を楽しませ、名作と呼ばれている映画やドラマは数多くありますが、作品ごとにジャンルやコンセプトが違います。
例えば『仁義なき戦い』も『ローマの休日』も、名作の誉れ高い作品ですが、面白さの質、種類が違いますよね。

質問者さんも「どんなジャンルの、どんなコンセプトの作品でもいいから、とにかく人に評価されたい!」と思っているわけではないはずです。
にもかかわらず、ご質問からは「何でもいいから評価されたい」と思っているかのような印象を受けます。
率直に言って、「問いの立て方、目標設定が大雑把すぎる」と感じます。

「自分は一体、どんな作品を目指しているのか?」
「目指す通りのものが書けないのは、何が欠けているからなのか?」
「欠けている部分を伸ばすには、どのように学べばよいのか?」
……といった具合に、もっと厳密に、詳細に考察をすべきですし、そのように考えていけば自ずと、ご質問の内容が具体的なものになるはずです。


注意した方が良いと思うポイント2:人のアクションは、何かへのリアクションであることを意識する

私たちの日々のアクション(行動や発言)は原則として、何かに対するリアクションとして引き起こされます。
「部屋が寒いという状況へのリアクションとして、エアコンをつける」
「人から笑顔で話しかけられたことへのリアクションとして、こちらもにこやかに答える」
といった具合です。

当たり前のことを言われているように感じるかもしれませんが、「人のアクションは、何かへのリアクション」という原則を意識することは、脚本家を目指す人にとって、とても重要だと私は思います。
具体的には、普段から自分や周囲の人の言動をよく観察して、「ある人のアクションが、他の人のどんなリアクションを引き起こしたか?」に注意を払うことをおすすめしたいです。
そこから得たことを、質問者さんがご自分の作品に反映することができれば、登場人物間のやり取りにリアリティが生まれ、説得力のある作品になるはずです。

私のこの投稿も、質問者さんからのご質問に対するリアクションです。
自分で言ってしまいますが、私は脚本家志望の人に対してとても親切なので、こうしてあれこれとお伝えしているわけですが、これは「非常に珍しいリアクション」と言って良いと思います。
「最終選考に残るシナリオの書き方がわかりません」というご質問に対しては、「コンクールの審査基準は私にもわかりません」とひと言返して済ませるというのが平均的なリアクションではないでしょうか?
でもこれは、質問者さんが求めるリアクションではありませんよね?
「アクションとリアクションの関係」にもっと敏感な人ならば、望むリアクション(今回でいえば、意味のあるアドバイス)が得られそうなアクションを起こす、つまりは、今回の質問者さんとはまったく違う質問の仕方を選ぶだろうと私は思います。

念のためつけ加えますが、私はマナー講師ではありませんので、「もっとお行儀よく質問しましょう」みたいなことが言いたいわけではありません。
「アクションとリアクションの関係」を日頃からよく観察し、深く考察することが、今後質問者さんが脚本家を目指す上でプラスになるだろうと考えて、このようなことをお伝えしました。

これからもお互いがんばりましょう!

ご質問のある方はこちらからどうぞ。
※シナリオコンクールの規定、審査基準に関してはお答えできませんので、その点はご了承ください。


脚本、小説の有料オンラインコンサルも行っていますので、よろしければ。


これまでに脚本家志望のみなさんからいただいたご質問への回答は、こちらのマガジンにまとめてあります。

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#脚本 #シナリオ #エンタメ #質問 #マシュマロ
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