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ご質問にお答えします!『作劇の基礎に忠実でない作品はコンクールに向かない?』

脚本家志望の方から、こちらのご質問をいただきました。

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ご質問ありがとうございます。

ひと口に「シナリオコンクール」と言っても、テレビ局が実施していたり、特定の団体が行っていたり、映画祭の一環として行われていたりと、さまざまです。
それを考えれば、「あらゆるコンクールに共通する審査基準は存在しない」ということになり、一般論で語ることはできません。
そもそも、ひとりの脚本家に過ぎず、コンクール主催者でもない私から、審査の基準をお答えすることは不可能です。
そのため、コンクールの審査基準に関するご質問に対しては、これまでも原則として「お答えできません」とお返事しています。

以下は、その前提でお読みください。
あくまでも、中川の推測に基づく「個人的な見解」に過ぎません。

シナリオコンクールというものは、中学・高校の定期テストや、大学入試等とは実施の目的が違うはずです。
中学・高校の定期テストは、学校側が「この生徒は、授業で教わったことを正しく理解できているのか?」を把握すべく行うもの。
作劇を学ぶことも、ある種の”勉強”なので、学んでいる人はついシナリオコンクールを、学校のテストのように捉えてしまう場合もあるのだろうと思います。

「シナリオコンクールを、学校のテストのように捉えてしまう」というのは、「ちゃんと勉強した通りに書いてるのに、なんでコンクールで評価されないんだ!」と不満を持つ人がいたり、「コンクールなんてどうせ、シナリオスクールで教わった通りに書いたような行儀のいい作品しか評価されないんでしょ?」と思い込む人が現れたりする、という意味です。
ですが上述の通り、シナリオコンクールと学校の定期テストは、まったくの別ものだと私は考えます。

シナリオコンクールの審査員たちが知りたいのは、「この応募者は、作劇の本に書かれているような基礎を正しく身につけている人なのか?」ではないはずです。
主催者側が求めているのは、「基礎がこなせるぐらいは当然として、今後、良い脚本を数多く生みだし、ドラマ界、映画界に貢献してくれそうな人」なのではないでしょうか。

この点を踏まえれば、「コンクールで受賞できるのは、基礎に忠実な作品のみ」という推論は成り立たなくなります。
「圧倒的に面白ければ、何でもありでしょうね」というのが、私の見解です。

ご質問への回答は以上です。
以下は、私からの”余計なおせっかい的アドバイス”です。

質問者さんがこのような疑問を抱かれたのは、「自分の作品がコンクールで良い結果を残せないのは、”面白いけれど、コンクール向きじゃない作品”だからなのでは?」と思われたためではないでしょうか?
(見当違いだったら、すみません。ここから先は読み飛ばしてください。)

コンクールは一般に、最終選考あたりまで残らなければ個別の講評はもらえませんし、「落とされた理由」は推測することしかできません。
仮に自信作であれば、「どうして?」と強く思われるでしょうし、あれこれ考えるうちに「自分が書いたものは、面白いけれどコンクール向きではないのでは?」という仮説を立てられてたとしても、不思議はないと思います。

ですが、仮に質問者さんが「葛藤や枷はあまりないけれど、奇抜さやスピード感が際立つ、圧倒的に面白い作品」を応募したのであれば、きちんと評価されたのではないだろうかと、私は思います。
理由は上述の通り。
主催者が見つけたいのは「基礎に忠実な作品が書ける人」ではなく「面白い作品が書ける人」のはずだからです。

仮に、今回のご質問のきっかけが私の推測通りだとして、今後どう対処されるかは、質問者さん次第です。
「いや、誰がなんと言おうと、自分の作品は王道ストーリーではないものの、面白いのだ! コンクールには向いていないだけなのだ!」と信じるならば、コンクール以外の方法でプロの脚本家になる道を模索されてはどうでしょうか?
「確かに、自分が思っていたほど”奇抜で面白い作品”ではなかったのかもしれない」と思われるのでしたら、再度「葛藤や枷などの基礎」も含めて学び直し、ご自分の作品を見つめ直されるのが良いのではないかと思います。

こちらの投稿も参考になるかもしれませんので、よろしければ。

これからもお互いがんばりましょう!

ご質問のある方はこちらからどうぞ。
※シナリオコンクールの規定、審査基準に関してはお答えできませんので、その点はご了承ください。


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これまでに脚本家志望のみなさんからいただいたご質問への回答は、こちらのマガジンにまとめてあります。

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