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ご質問にお答えします！『好きなアニメのキャラクターは？』

中川千英子(脚本家)

脚本家志望の方（多分）から、こちらのご質問をいただきました。

ご質問ありがとうございます。
挙げられている五人はいずれも、日本を代表するアニメのキャラクターですね。
この中で中川の好みのキャラクターは野原しんのすけだろう、と質問者さんは予想されているわけですよね？
私はギャグ要素の強い作品が好きなので、強いて一番を決めるならば、しんちゃんかな？という気はしますが、他のキャラクターも長年愛され続けているだけあって、魅力的だと思います。

質問者さんが「しんちゃんだろうな」と思われたのは、おそらく、これまでの私のnoteやTwitterでの発信をお読みになった上でのことなのでしょうね。
例えば、私は少し前にこんなツイートをしています。

「心身両方の躍動」という点では、サザエやのび太よりも、しんちゃんが勝っているような気がします。
でも「身体の躍動」に限っていえば、コナンが一番ですかね？

その他に、こういったことも書いていますし、


脚本術の本から、こんな引用をしたこともあります。

上のツイートの内容についていうと、サザエさんやまるちゃんは当てはまらない、と思いませんか？
というのも、「陸に上がった河童のようなキャラクターこそが主人公にふさわしい」というのは、いわゆる”王道ストーリー”（何らかの葛藤を抱える主人公が、さまざまな経験を通して変化したり成長したりしていくタイプの作品）を前提としているからです。

質問者さんが挙げられているキャラクターたちはどうか？と言えば、例えばサザエさんは”万年うっかり奥さん”ですし、のび太は”万年グータラ小学生”です。
まるちゃんも、しんちゃんも、１話ごとにいろんな出来事に出くわして、ジタバタしたり、あたふたしたりはするものの、突如人間的に成長したり変化したりはしません。
「いつまでも変わらないキャラクターであること」が魅力となるタイプの作品も存在するわけですね。
『名探偵コナン』は”謎解きモノ”で、他の四作品とジャンルは違いますが、主人公に限らず、レギュラーメンバーの言動にはそれぞれ”お約束”があり、それも見る側の楽しみになっています。

同じように「シットコム」（シチュエーションコメディー）も、「登場人物が成長したり、変化したりしない」というのが特徴です。
人気作品の場合、シリーズが長く続くなかで新たにカップルができたり、新メンバーが加わったりはしますが、基本的に視聴者は「いつものメンバーの、いつものようなドタバタ」を期待しています。
私が一番好きなシットコムは、『ビッグ・バン・セオリー』なのですが、ある人とこの作品の話をしていたとき、
「見続けているうちに、うっかり２シーズン分スキップしていたことがあるんだけど、しばらく気づかなかった」
と言っていました。
これも、「登場人物たちの相変わらずの姿」を楽しむシットコムならではの出来事だと思います。

このように、「主要登場人物のキャラクター」という切り口ひとつでも、いろんな考察ができます。
質問者さんもぜひ、「主人公の魅力とは、つまるところ何なのだろう？」「自分の好きなジャンルの作品では、どのような人物が主人公となることが多いのだろう？　それはなぜなのだろう？」等々、考察してみてはいかがでしょうか。
きっと、いろんな発見があると思います。

これからもお互いがんばりましょう！

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