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ご質問にお答えします!『脚本家と熱狂の関係について』

今回も、脚本家志望の方からのご質問にお答えします。

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ご質問、ありがとうございます!
私も毎日熱狂して書き続けているわけではないですよ。
質問者さんはすでに脚本を書いていらっしゃるということなので、お気づきかと思いますが、作品を一つ書きあげるまでの大半の時間は”地道にコツコツ系”のことに費やされます。
細々した調べものだったり、大量の資料読みだったり、夜ごと繰り返す構成の見直しだったり……。
ですが、その合間にふと「熱狂」としか呼びようのない時間が訪れることがあります。
例えば、絡まっていた糸がスッとほどけるように、いくつもの脚本上の問題を一度に解決する方法を思いついたとき。
登場人物と自分が、完全に一体化したような感覚を味わえたとき。
こんな瞬間はごくまれにしかやって来ませんが、まれだからこそ喜びも大きく、
「今、絶対アドレナリンがドバドバ出てるはず!」
という感覚になります。

そして、この熱狂の瞬間が作品を完成させ、観る人に楽しんでもらうための原動力になるのだとも思います。
面白さや感動が伝わる過程は、熱伝導のようなものだと私は捉えています。
脚本家が一人孤独に執筆しているときに生まれた熱を原稿を通してスタッフ、キャストに伝えることができれば、それが、映像作品や舞台作品として完成するまでの数多の困難を乗り越えるための原動力になる。
そうして完成した作品を通して、今度は観てくれる人たちに熱が伝われば、「面白い!」「感動した!」「また観たい!」という言葉になって返ってくる。
つまりすべての始まりは、自分にごくたまに訪れる熱狂の瞬間にあるのではないかと思うわけです。

質問者さんは「熱狂するほど没頭して書くといった事があまりなく」とお書きになっています。
この「あまりない」が頻度の問題ならば、気にする必要はないです。
前述の通り、熱狂はごくまれにしかやって来ません。
ですが、「あまりない」が頻度ではなく「程度」「度合い」を指しているならば、一考した方が良いと思います。
現時点で、脚本を書くことに熱狂し、没頭する喜びを実感していないからといって、「向いていない」と決めつける必要はありませんが、「熱狂できない自分」を見過ごしながら書き続けていくというのも辛いでしょうし、原因を見つけられれば、それに越したことはないですよね。

仮に質問者さんが「程度の問題」として「あまり熱狂できない」のならば、「そういう題材に出会っていない」ということもあるかもしれません。
例えば「コンクールに通りそうなもの」や、「スクールでほめられそうなもの」のような縛りを一切合財捨てて、
「もとはといえば、こういうものが書きたかったんだよ! だから脚本を書き始めたんだ!」
と思えるものを書いてみるのもいいかもしれませんね。
(憶測であれこれ書いていますので、まるで見当違いだったらすみません。)

もう一つ補足をすると、「自分は脚本家に向いてないんじゃないか?」という不安とは、おそらく脚本家になるまでずっと向き合い続けることになると思います。
「脚本家になること」でしか、この不安は消し去れないんじゃないかなぁ……。
私もいまだに「どうなの、自分?」と思うときがありますが、
「いやいや、実際に脚本家になってるから向いてるんだよ」
と自分に言い聞かせることができます。
なるまでは、みんな多かれ少なかれ不安なはずなので、深刻にとらえ過ぎず、適度に気分転換もして、「自分が思う、向いていると思うポイント」の方にもフォーカスしてみてはどうでしょうか?


これからもお互いがんばりましょう!

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