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ご質問にお答えします!『脚本以外にも学びたいことがあります』

脚本家志望の方から、こちらのご質問をいただきました。

こんにちは。_...

ご質問ありがとうございます!

唐突ですが、私は去年の秋から独学で中国語の普通話(いわゆる標準語)を勉強しています。
家庭の事情で頻繁に東京と香港を行き来する生活をしてはいますが、香港での日常生活は”テキトーEnglish”で乗り切れていますし、そもそも香港の人が話すのは広東語なので、私が普通話を学ぶ必然性はありません。
それでも普通話ができれば、いつか何かの役に立つかもしれませんし、勉強していて楽しいです。
ですので私の日常には「脚本を書いている時間」もあれば、「中国語を勉強している時間」もあります。
だからと言って、これを「二足の草鞋」と呼ぶ人はいないはずです。

逆に、私が自分の人生で、間違いなく「二足の草鞋を履いていた」と感じるのは、IT企業の契約社員としてフルタイムで働きながら脚本家予備軍としてプロットライターをしていた時期です。
会社の仕事も、プロットライターも、「期限を守れなかったりミスをしたりすれば人に迷惑がかかり、損害が生じる」という前提があるので、常に緊張感があり、心にも時間にも余裕がありませんでした。
(当時のことはこちらの投稿にも書いてあります。)

いただいたご質問を最初に読んだとき、率直に言って、私はしっくり来ないものを感じました。
なぜだろう?と考えてみたのですが、「二足の草鞋どころか、三足も四足も……」の部分に違和感があったのだと思います。

私が二足の草鞋を履いていた頃には、三足目、四足目を履きたい気持ちは湧いてきませんでした。
決して「私はそれだけ真剣だったんだ! 脚本以外にもやりたいことがあるなんて、考えが甘い!」と言いたいわけではありません。
上述の通り、心にも時間にも余裕がなく、「それどころじゃなかった」ということなのです。

その前提で考えると、質問者さんは「プロデューサーからの依頼に応じてプロットライター等もしている脚本家予備軍」ではなく、「シナリオスクールに通う等しながら脚本を学んでいて、可能な限りコンクールにも応募している」という状況なのだろうと推察します。
そして、「ギター」や「英語」も学びたいけれど、これらは職業にしたいとまでは思っていない。
だから「脚本」「英語」「ギター」の中で優先順位をつけるなら「脚本」が最優先ということにはなる。
とは言え、現状としては「脚本」も「英語」も「ギター」も、「責任が発生する状態」で取り組んでいるわけではない。
つまり現時点では、質問者さんにとって「脚本を書くこと」は、「(職業にできたらいいなぁという気持ちはあれども)会社の仕事以外の楽しいことのうちの一つ」なのだろうと思います。

もし上の推察が正しい場合、私の感覚で言うと、質問者さんは「二足の草鞋を履いている」ことにはなりません。
さらに言えば、本当に二足の草鞋を履く日が来たら(=プロットライターであっても、人から依頼を受けて責任をもって原稿を書く日が来たら)、「英語も勉強したい」「ギターも弾きたい」という思いは自然と消えてなくなると思います。
繰り返しになりますが「それどころじゃなくなる」からです。
ですので、「三つとも楽しめるうちに楽しんでおこう!」と考えるのも一つの道です。

ただ、「プロの脚本家になる確率を少しでも上げたい」と思われるのでしたら、限られたリソースを英語やギターにも分散するのではなく、脚本に集中することをお勧めしたいです。
具体的には、スクールの課題やコンクール応募作に、「仕事と同等の責任が発生しているかのように真剣に取り組む」ということです。

多くの脚本家志望者が、
「今週は課題が書けなかったけど、ま、しょうがないか」
「今月末締切りのコンクールは見送って、その次のに応募しよう」
と、ついつい思ってしまうのは、脚本を書くことが仕事ではないからです。
先延ばしにしようが手を抜こうが、特に人に迷惑はかかりませんし、誰かに強く叱責されるようなこともないでしょう。
この意識を変えて、「仕事も同然」という姿勢で脚本に取り組むことができたとしたら、プロになれる確率は上がります。

ただし、そこまでやったからと言って「必ず脚本家になれる」というわけではありません。
「確率が上がるだけ」です。
その前提で、
・ギターや英語も楽しみながら、脚本も学ぶ
・仕事であるかのような真剣さを持って脚本に取り組む
のどちらか、質問者さんの好みに合う方を選んでいただくのが良いと思います。

これからもお互いがんばりましょう!

ご質問のある方はこちらからどうぞ。
※シナリオコンクールの規定、審査基準に関してはお答えできませんので、その点はご了承ください。


脚本、小説の有料オンラインコンサルも行っていますので、よろしければ。


これまでに脚本家志望のみなさんからいただいたご質問への回答は、こちらのマガジンにまとめてあります。

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