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ご質問にお答えします!『作品内で中心人物が入れ替わってしまいます』

脚本家志望の方から、こちらのご質問をいただきました。

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ご質問ありがとうございます。

ひとつの作品の途中で、中心人物が入れ替わってしまうとのこと。
ということは、質問者さんは「プロットを書く」「ハコ書きを作る」といった段階を経ずに脚本を書かれているのでないでしょうか?

私はいつも「プロット→ハコ書き→脚本」という段階を経て書き進めます。
とは言え、プロの中にも「プロットは書かない」という人もいるかもしれませんし、「絶対に書きましょう」と強制するつもりはありません。
ただ、プロットを書くことからスタートし、ラストシーンまでの展開が見えている状態で脚本を書きはじめれば、質問者さんが悩まれている問題は解決するだろうと思います。

「初心者の段階です」とのことですので、もし「プロットの書き方が分からない」ということでしたら、こちらの投稿が参考になるかもしれません。

仮にプロットを書かないとしても、ログラインだけでも練り上げてから脚本に取りかかるとブレにくくなると思います。
ログラインとは、「一体どんな作品なのか?」を一行で簡潔に言い表したものです。
例えば『ローマの休日』であれば、
「ヨーロッパの公国の王女が、滞在中のローマの宮殿を抜け出して、一介の新聞記者と恋に落ちる」
という感じです。

脚本を書きはじめる前にログラインを練り上げることの重要性は、こちらの本に詳しく書かれているので、よければ読んでみてください。

ログラインだけでも書いておけば、「脚本を書き進めるうちに中心人物が変わってしまう」といった、”ブレ”は避けられると思います。
ブレそうになった時は、ログラインを読み直せば軌道修正ができるからです。
例えば、王女と新聞記者の恋を描こうとしていたはずなのに、つい、「新聞記者の仕事上の苦悩」をストーリーの中心に据えたくなった場合、ログラインを読み直せば「これはそういう作品じゃない」と思い出せるわけです。

いただいたメッセージから類推すると、質問者さんは筆のおもむくまま、気持ちのままに原稿を書き進められているのではないでしょうか。
初心者の段階の人がそのように書いていると、どうしても「その時々に、自分が書きたいこと」が優先されてしまい、結果として”一本筋の通った作品”にはなりにくいように思います。

「書きたいことを優先して、何がいけないの?」と思われるかもしれませんが、初心者の人の「書きたいこと」は、単に「書きやすいこと」である場合があって、そこが危険だと私は思います。
その場でパッと思いついたことや、自分が書きやすいことを書き連ねていくのは、書き手にとっては心地良いのですが、そうやって書かれた作品が、読む人を満足させるかどうかどうかは、別の問題です。

山田太一さんは「書いていて行き詰ってしまうところ、悩んでしまう部分こそ、面白くなり得る」という趣旨のことをおっしゃっていた記憶があります。
ログラインやプロットを作ってから脚本を書きはじめるのは、ある意味、「書き手が自分に枷を与えること」ですが、その枷を乗り越えようと知恵を絞ることが、作品の質を高めることに繋がるのではないかと私は思います。

これからもお互いがんばりましょう!

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