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ご質問にお答えします!『執筆中の作品内の出来事と似た事件が現実に起きました』

脚本家志望の方から、こちらのご質問をいただきました。

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ご質問ありがとうございます。

「コンクール応募の作品としては控えた方が良いのでしょうか?」とのことですが、シナリオコンクールの審査基準については、私からは何もお答えできません。
私はプロの脚本家ではありますが、コンクール主催者側の人間ではありませんし、数多くあるシナリオコンクールのすべてに共通する審査基準があるとも思えないからです。

ですので、今回は「コンクール応募作として適切かどうか?」ではなく、「私が今の質問者さんと同じ状況になったら、脚本家としてどのように考えるか?」をお答えします。


自分が作品内で描こうとしていた架空の事件とよく似た事件が現実に起こったからと言って、「そのアイデアは、必ず捨てなくてはいけない」というルールはないはずです。
実際、特定の人物、特定の事件を想起させるような題材を扱っているドラマ、映画は数多く存在しています。

但し、読者・観客はそれぞれに「現実に起きた方の事件」への印象があり、中には強い感情や明確な意見を持っている人もいるはずで、それらは「フィクションの作品」を鑑賞する際にも、必ず何らかの影響を及ぼします。
書き手が意図的に現実の事件を想起させる出来事を描いているなら、”現実からうける影響”は織り込み済みでしょうが、意図せず現実とストーリーが似てしまった場合には、新たに考慮をする必要があるでしょう。

”現実から受ける影響”には、さまざまなことが考えられます。
例えば、”現実から受ける影響”が、作品に対してネガティブに働く場合もあるでしょう。
その場合、どう対処するかは書き手の考え方次第です。

ストーリー展開や人物の描写などを変えることでネガティブな影響を回避し、本来自分が表現したかったことを過不足なく描ける自信があるならば、そうするのも良いでしょう。
ですが、「どう知恵を絞っても、ネガティブな影響は回避できず、自分が伝えたかったメッセージがねじ曲がって読者・観客に伝わってしまうだろう」というケースもあるかもしれません。

場合によっては、「フィクションの作品が、現実に起きた事件に関わる人たちを傷つけかねない」という可能性もあります。
それと同時に、”現実からの影響”が作品に必ずマイナスに働くとも言い切れません。
むしろ伝えたかったメッセージが強化されるということもあり得ます。

私が質問者さんと同じ状況になったならば、この辺りのことを熟慮の上、自分がどうすべきかを決めます。
その結果、「執筆を止める」という答えを選ぶ可能性もありますが、質問者さんのケースでは「どんな出来事を描こうとしていたのか?」「実際に起きたのはどんな事件なのか?」「実際の事件は、社会でどう受け止められ、どんな影響を及ぼしたのか?」等が分からないため、一概に「こうすべきです」とお答えすることはできません。

具体的にどう対処するかは質問者さんのお考え次第ですが、じっくりと考慮、配慮をした上で答えを出すことが重要だと思います。

これからもお互いがんばりましょう!

ご質問のある方はこちらからどうぞ。
※シナリオコンクールの規定、審査基準に関してはお答えできませんので、その点はご了承ください。


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