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ご質問にお答えします!『脚本家が事務所に所属するメリット/デメリットは?』


脚本家志望の方からのこちらのご質問にお答えします!

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ご質問ありがとうございます!
質問者さん以外の方のために軽くご説明しますと、一部の脚本家(私も含む)は、マネジメント契約を結んで事務所に所属しています。
事務所所属といっても、その会社の社員ということではなく、ギャラ交渉や契約関連のクライアントとのやりとり、トラブル発生時の対応等を事務所に行ってもらいます。

【デメリット:個人的にはまったく感じていません】

私の個人的な意見としては、デメリットは何もありません。
仮に、事務所所属の脚本家でデメリットを感じている人がいるとすれば、
「(原稿料の一部で支払う)マネジメント料が発生する」ということを挙げるのかもしれませんが、マネジメント料は、さまざまな業務を代行してもらうことへの正当な対価ですので、私はデメリットだとは考えません。

契約内容(具体的にどんな業務を代行してもらうのか? マネジメント料の割合は?等)は事務所によって違いますので、質問者さんが事務所への所属を検討されているのであれば、契約内容が自分にとって納得の行くものであることをよく確認の上で契約締結されることをお勧めします。

【メリット:最大のものは「安心感」】

脚本家を続けていく上で事務所に所属した方がいい、と私が考えるようになったのには、大きなきっかけがありました。

会社勤めをやめ、脚本家専業となって間もない頃のことです。
脚本家や脚本家志望の人向けのメーリングリスト上で「フリーのプロデューサー」と名乗る人物が、原稿料2万円の条件で、原作モノ企画のプロットライターを募集していました。
当時「脚本家」と名乗ってはいるものの、実際の仕事はプロットライターが中心だった私は、この案件に応募し、プロット執筆を請け負いました。
ところが納品後になって、この”フリーのプロデューサー”がおかしなことを言いはじめたのです。
「この原作の映画化に向けて、すでに動いているプロデューサーが自分以外にいた。その人物と共同プロデュースをするという道もあるのだが、自分はその相手が大嫌いで、とてもじゃないが一緒に仕事をする気にはなれない。
そういうわけで、この企画を動かすこと自体を止めることにした」
と言い、
「手持ちの金がなく、原稿料は払えない」
と言うのです。
要するに「自分が投げ出した企画のために、わざわざプロット代を払うのは馬鹿らしい」ということだったのでしょう。
この人は、「2万円のプロット代が払えない」と言った舌の根も乾かぬうちに、
「僕は予算規模の大きな企画をいくつも動かしているような(つまり、それだけ大物の)プロデューサー。
他にも見込みのある企画はいくらでもあり、そちらの打ち合わせをしたいから近いうちにぜひ会おう」
と繰り返すという支離滅裂ぶりで、最初は度々プロット代の支払いを求めていた私も、
「まともじゃないのでは……?」
と恐怖心を覚えて連絡を取ることを止め、お金を受け取らないまま泣き寝入りという結末になってしまいました。

ここまでおかしなプロデューサーはごく少数だと思います(というか、そう信じたいです)が、中にはこういう人もいるというのが現実です。
この苦い経験から私は、
「個人で活動していることによってこういうリスクがあるならば、事務所に所属した方がいい」
と考えて、所属に向けて動き始めました。
また同時に、
「当分は脚本執筆ではなく、プロットライターとして対価を得ることで生計を立てていくことになるだろうから、事務所所属が叶うまでの間も、自分できちんと請求が行えるようにならなくては!」
と考え、その具体的な方法を模索し始めました。
その結果、見つけたノウハウがこちらの投稿にまとめてあります。

現在は、トラブル発生時の対応もギャラ交渉も、事務所に代行してもらえるので、これらに伴うストレスや不安に悩まされることはありません。
ひと言でいうと「安心を買っている」という感覚です。

これからもお互いがんばりましょう!

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これまでに脚本家志望のみなさんからいただいたご質問への回答は、こちらのマガジンにまとめてあります。

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