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嫉妬撃退法

自慢じゃないけど、心が狭い。
特に仕事関係では、すぐに人の仕事ぶり、活躍ぶりに嫉妬して、
「グギギギギ……」
となるタイプ。

でも、「こんなことでもやもやしている時間なんて不毛だよ、自分」という気持ちもあるので、最近は「黒い感情が芽生えてきたぞ」と思ったら、ある出来事を思い出すようにしている。

ずいぶん前の飲み会でのこと。脚本家志望だという女性から、こんなことを言われた。
「中川さんはプロだから、例えば原稿書くための取材費を自分で負担する必要もないでしょうし、取材のセッティングとかもしてもらえるだろうからいいですけど、私たちは、コンクール応募作一つ書くにも、全部自力でやらないといけないから大変なんです」

確かに「今回は”お仕事モノ”ですから、その職業に就いている人への取材の場を設けましょう」とプロデューサーが取り計らってくれるようなことはある。
資料代だって(当然上限はあるけど)払ってもらえることが多い。
だけど、そうであることを「ずるい」というニュアンスで指摘されたことには納得できなくて、
「私だっていきなりプロになったわけじゃない。誰からも、書くことを望まれてるわけでもなく、協力してもらえるわけでもない、今のあなたと同じ状況で書き続けた時期があって、それを経てプロになった」
というような返事をした。
彼女から見れば、私は恵まれた環境にいるように見えて、「ずるいよね」と言いたい気分だったんだと思う。
でも、こちらからすれば「ちょっと何言ってんのかわかんないっす」((c)サンドウィッチマン富澤)みたいな話。

さてここで、話をこの投稿の冒頭に戻したい。
人さまの仕事ぶり、活躍ぶりに「グギギギギ……」となっている私は、この飲み会で出会った脚本家志望女子とまったく同じなのだ。
「こういう企画、私もやりたい!」
と感じるような作品を書いている人たちは、そこに至るまでに艱難辛苦を乗り越えているに決まっていて、たまたまそれが、私の目には見えていないというだけのこと。
……と気づいたので、近ごろは黒い心が芽生えて来たら、すかさず上記の飲み会のことを思い出し、自分に対して、
「ちょっと何言ってんのかわかんないっす」
とツッコミを入れるようにしています。

#日記 #エッセイ #コラム #嫉妬

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