ご質問にお答えします!『フラッシュ/インサート/回想の違いは?』
脚本家志望の方から、こちらのご質問をいただきました。
ご質問ありがとうございます。
挙げられている三つの用語の使い方は、書き手によって違う部分があると思うので、「ルール」をお答えするのではなく、「私個人はどう使い分けているか」をお答えします。
「回想」と「フラッシュ」は、単純に長さの違いで使い分けています。
両方とも、「過去の出来事」を映像にするわけですが、その映像がある程度の長さを持つなら「回想」、「サッと脳裏をよぎる」という程度の短さなら「フラッシュ」と私は書きます。
「インサート」という語については、私は自分の作品で使ったことがないです。
(だからと言って「使ってはいけない」と言いたいわけではありません。くどいですが、「私の場合」をお答えしています。)
語感から類推すると、「特定のイメージを喚起、強調するために、何らかの事物を短時間見せること」だと思います。
例えば、「A子がB男をじっと見ているというカットの合間に、B男の前に置かれたコーヒーカップの絵を挟むことで、A子がそのコーヒーに毒を入れてBを殺そうとしていることを示唆する」みたいな場合ですかね。
この場合、A子は過去を思い返しているわけじゃないので、「回想」と書くのも「フラッシュ」と書くのもしっくりこないです。
ですが、「インサート」という語を使わなくても、
……とでもト書きを書いておけば事足りるので、「インサート」は使ったことがないんだと思います。
このように、脚本における「書式のお作法」的なことには曖昧な部分もあります。
例えば「セリフの2行目以降は字下げする」は「一般的なルール」ですが、あらゆるジャンルの作品のあらゆるシーンに対応したルールが、事細かに存在するわけではありません。
とは言え、書き慣れていない人には、どこまでが「一般的なルール」で、どこからが「厳密なルールのない曖昧な部分」なのかが分かりずらいかもしれませんね。
その線引きも難しいところではあるんですが、「脚本の書き方」的な本を数冊読んでみて、書かれていることがバラバラに感じて判別がつかないような場合には、「厳密なルールのない曖昧な部分」と考えても良いのではないでしょうか?
プロの脚本をたくさん読むと、書式のお作法的なことは、人によって差異があることが分かると思います。
これは、誰が正しくて、誰が間違っているということではなく、「スタイルが違う」ということです。
こちらの投稿も参考になるかと思いますので、よろしければ。
これからもお互いがんばりましょう!
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