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ご質問にお答えします!『作品を書き始める入り口は?』

脚本家志望の方から、こちらのご質問をいただきました。

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ご質問ありがとうございます。

作品ごとに、私なりの「観る人に感じてもらいたいこと」「伝えたいメッセージ」はありますが、常にそれが新しい作品を書く入口になっているかと言えば、答えはNoです。
執筆のとっかかりはもう少しカジュアルというか、「この題材で書いてみたいなぁ」「この事象を扱うと面白い作品が書けそうだなぁ」と、”ピンとくる”というぐらいの感覚ですね。
ですので、「ピンとくるネタ」を集めることは習慣になっています。

書くことで生計を立てていますので、基本的に「依頼ありき」で書きますが、質問者さんが書かれているように「書きたいことを絞り出して書く」というイメージではないです。
まず脚本家に依頼が来る時点で、確定している事項というのが必ずあります。
例えばドラマなら、放送局、放送枠は必ず決まっています。
映画の場合でも「〇〇さん主演という前提で」という依頼もありますし、扱う題材が決まっていたり、小説やマンガを原作とする前提での依頼もあるわけです。
これらの条件下で、「書きたいなぁ」「面白いものが書けそうだなぁ」と、ピンと来るネタを探していくわけですが、原作がある場合とない場合とでは考察の仕方が違います。

【原作モノの場合】
仮に原作があれば、まずはそれを読みこんで、「原作者さんが作品に込めたメッセージはこういうことなのでは?」「映像作品にするにあたっては、この部分にフォーカスを当てたい」といったことを検討していきます。
SNS等で原作ファンのみなさんの感想を読み、「原作のどういった部分がファンを惹きつけているのか?」を考察したりもします。
これらの過程の中で自然に、外してはいけないポイントや、映像作品だからこそ表現できるメッセージ等が浮かびあがってきます。


【オリジナル作品の場合】
オリジナル作品ならば、確定している条件と、日頃から集めているネタをマッチングさせたり、条件に合いそうなネタを新たに探したりして、「行けそうだな」と思えるものを見つけます。
「行けそうかどうか」は、ネタについてリサーチをして判断します。
関連書籍を読みこんだり、可能なかぎりの取材をしたりするうちに、大まかなストーリーや伝えたいメッセージが浮かびあがってきたら、「行けそうだ」と判断するわけです。

一つ具体例を挙げてご説明しましょう。
YouTube「ドリプラチャンネル」で配信中のリモートドラマ『キャバクラ・ドットコム』の場合、依頼の時点で確定していたのは以下の三つの条件でした。
条件1)撮影は、Zoomを使用した「完全リモート」で行う。(コロナ禍による緊急事態宣言中でしたので、これが必須条件でした。)
条件2)単発ドラマでも連続モノでも良いが、1話あたりの尺は10分程度まで。
条件3)完成した作品は、YouTubeで配信する。

「条件1)完全リモート撮影」に当てはまりそうなネタを考えるうちに、「ピンとくるネタ」として記憶に留めていた「オンラインキャバクラ」のことを思い出しました。
オンラインキャバクラは、実在するWebサービスです。
緊急事態宣言下、営業自粛中のキャバクラの代わりに、「Zoom越しにキャバクラ嬢が接客をしてくれる」というオンラインのお店が次々に生まれたのです。

リモートドラマを書くにあたって私は、「リモートでも表現できるストーリー」ではなく、「リモートだからこそ表現できるストーリーにしたい」と考えており、Zoom上で営業してるオンラインキャバクラならば「リモートだからこそ」のドラマになるだろうと考えました。
上述の通り、「確定している条件と、日頃から集めているネタをマッチング」したわけです。

さらに、「行けそうかどうか」(面白いストーリーが作れそうかどうか)の判断のために、諸々のリサーチもしました。
客の立場でオンラインキャバクラの体験もしています。
私が男性なら、”普通のお客さん”のふりで接客してもらっても良かったと思いますが、女性客である時点で「なぜわざわざ?」と不思議に思われるでしょうから、取材目的であることを伝えて、オンラインでの接客とコロナ禍前の通常のお店での接客の違いなどについて教えてもらいました。

あれこれとリサーチを続ける中で、短時間の「初回お試しコース」がある店が多いこともわかり、「初回お試しの間のストーリー」を描けば、「条件2)1話当たりの尺は10分程度まで」もクリアできると分かりました。
そうこうするうちに、第1話のストーリーや、作品に込めたいメッセージも見えてきましたので、「このネタで行ける」と判断しました。

因みにこの作品はオムニバスストーリーになっています。
「条件3)YouTubeでの配信」を考慮すると、すべてのYouTubeユーザーに、制作サイドの思い通りの順序、タイミングで視聴してもらえるとは限らない(例えばユーザーによっては、第1話より先に2話がYouTubeの「おすすめ」欄に表示されるかもしれない)と思い、どんな順序で見ても楽しめるようにと、オムニバスストーリーとしました。

よろしければ、ご覧になってみてください。

第1話

第2話


これからもお互いがんばりましょう!

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脚本、小説の有料オンラインコンサルも行っていますので、よろしければ。


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