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ご質問にお答えします!『書けなくなった時はどうする?』

脚本家志望の方から、こちらのご質問をいただきました。

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ご質問ありがとうございます。


【書けなくなった要因は?】

「先日まではスラスラ書けていたのに、急にアイデアが出なくなった」とのこと。
ここから類推すると、質問者さんが書けなくなったのは、ご自身の中に”ツッコミ人格”が生まれたからではないかと思います。

”ツッコミ人格”というのは、私が勝手に使っている言葉なので、まずはその意味をご説明します。
ある程度脚本を書き続けていると、多くの人は、自分の原稿に対して頻繁に「ベタすぎ」「人気作品の○○とそっくり」「ありきたりで面白くない」等々のツッコミを入れたくなってくるのではないでしょうか?
私にはその状態が、「書き進めようとする自分の中に、別人格が生まれて次々にツッコミを入れてきている」という風に感じられます。
そこで、多くの書き手が抱えているであろう、この「別人格」のことを”ツッコミ人格”と呼んでいます。

とにかく「楽しく書くこと」を最優先するならば、ツッコミ人格の存在を無視したり、無理やり自分の中から消してしまっても良いように思います。
ですが、質問者さんのようにプロの脚本家を目指している人には、ツッコミ人格と向き合っていくことをお勧めしたいです。
というのも、現在プロとして活動している私も、日々ツッコミ人格との対話を繰り返しており、それが作品を書き進める上でプラスになっていると感じるからです。

【書けない状態から抜け出すには?】

とは言え、ツッコミ人格があまりに肥大化すると、「手も足も出ない」という状態になるはずです。
そんな時はどうすれば良いか?
私のお勧めの対処法は、「一旦、ツッコミ人格との対話を休止して、”自分以外の人”と対話すること」です。

要するに、誰か身近な人に相手をしてもらって「こういう感じの物が書きたい」「でも、こういう部分で行き詰っている」「このアイデアは気に入ってるんだが、こういう穴があることも自覚している」等々、思うところをつらつらと話してみるということですね。
「書きたい自分」と「それにツッコミを入れる自分」とのやり取りに行き詰ったら、今度は「他者との対話」をすることで、頭を切り替えるということです。
最近は、悩んだときにこういう対処をすることを「壁打ち」と表現する人も多いですね。

話す相手は、脚本を書いている人でなくても全く問題ないです。
ご家族でも、親しいお友達でも、誰でも良いので、とにかく相手を見つけて、思うところを聞いてもらいましょう。
私が長く通っていた脚本教室の先生は、
「話し相手が見つからなかったら、野良猫を連れてきて、ニャーニャー言っているのを相手にしゃべってもいいぐらいだ」
と言っていました。
つまり、相手から良いアドバイスをもらうことが目的ではなく、自分が何を考え、何に行き詰っているかを言語化すること自体に意味があるということです。
「モヤモヤとした悩み」が、言語化することによって「明確な課題」として整理され、解決策が見えやすくなるのだろうと思います。

また、相手に作劇に関する知識がなくても、何らかのリアクションはあるはずです。
例えば質問者さんがストーリーの初期設定を話した時点で相手がまったく理解できないという顔をしていたり、部分的に思いついたアイデアをについて話してみたら相手が笑ったり……といった反応が、質問者さんの発想を促してくれるだろうと思います。
他者との対話をするうちに、新たなアイデアが浮かぶ等して、「書きたい!」という気持ちを取りもどせたら、改めて原稿に向かい、ツッコミ人格とも対話しながら書き進めていきましょう。

その後、また行き詰ったら「他者との対話」に戻り、そこから刺激を得て、書きたい気持ちを取りもどして……という具合に、「内なるツッコミ人格との対話」と「他者との対話」の間を何度も行き来しながら書き進めていくと良いと思います。


【書きたいこと自体が何も浮かばなくなったら?】

さて、ここまでは「書きたい題材や、大枠のアイデア程度はあるのだが、いざ原稿に向かうと書けない状態」をイメージしてお返事してきました。
ですが、質問者さんは「全くと言っていいほど、アイデアが出ません」と書かれているので、もしかすると「書きたい題材も、大枠のアイデアも、まるっきり何も思い浮かばない」という状態なのかもしれません。

正直なところ、私は脚本を書き始めて以来、その状態になったことはないので、こちらのケースについては実体験に基づいたアドバイスはできません。
ただ、「自分に対して新しい刺激を与えること」が効果的なのではないか?とは思います。

具体的には、「行ったことのない場所に行く」「知らない人と話す」「普段は読まないジャンルの本を読んだり、映画を見たりする」等々、自分の生活のルーティンから外れた行動を取ってみるということです。
題材やアイデアを探そう!と意識して行動するよりも、リラックスして未知の体験を楽しんだ方が、ふいに書きたいものに出会える確率が高いのではないかな?と思います。

これからもお互いがんばりましょう!

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