漫画「チェンソーマン第2部1話」感想

小鳥猊下

質問:えー、小鳥猊下いつも全ての事象を重く煩わしい肉に閉じこめられた哀しいボクらの言葉で解体し尽くしてくれるのにチェーンソーマン2がまだってやばくなーい?

回答:また君か。降臨より20年が経過し、もはや君くらいしか気安くはからんでこないので、相手をしよう。サイバラ女史に言及した記事あたりから、noteの閲覧数とスキがグッと増えて気をよくしていたのだが、「ヒトvsハチ」を境としてどちらも激減した。フォロワー数も減った、というか元にもどった。たぶん、ある表現が一部の読者を傷つけたのだろうと想像するが、自分の感情を的確に表現できる文章を、書かないという選択肢はずっと持ちあわせていない。インターネットで発信するというのは、様々な誤解や曲解を道連れにするということで、過去には面識も交流も無い人物から、一方的にメールで絶縁を宣言されたことがあった。私の文章を長く読んでいる向きは、まるで自分だけに親しく語りかけてくる友人だと思うようになるのかもしれない。しかしながら、私の主観を言えば、だれからの反応も無いという一点において、独房や駅のベンチで床に向かってするキチガイのつぶやきと何ら変わることはない。なので、こんな通りすがりの軽口さえ、1ヶ月ぶりにおとずれた干天の慈雨、極乾の砂漠をひとりかちゆく者へのよく冷えた水と感じられる。要望に応えよう。

 チェンソーマン第2部1話を読む。「タコピーの原罪」と「さよなら絵梨」を下敷きに、「ゲットバック」と「フツーに聞いてくれ」を深刻に受け取った読者の後頭部を、ゲラゲラ笑いながら蹴りとばしてくるような中身で、本当に人を食った書き手だなあと、改めて感心しました。作品"のみ"を使って、読み手とリアルタイムに交信できるというのは極めて稀有な資質であり、盤外戦の過剰なゴム人間の作者あたりに、ぜひ見習ってほしいものです。今回の話は、栗本薫の小説道場だったら「あいかわらずキミのセンスはブッとんでるねえ! 田中脊髄剣には、へんへー思わず爆笑してしまった。ただ、先生と生徒の不倫関係という、考えれば考えるほど重いテーマを、物語のギミックとして表面だけスーッと流してしまうのは、こう言ってはなんだがキミの悪癖だと思う。この話を描くとき、父であり夫である田中先生の苦悩や、姉であり娘である優等生の悲哀に、ほんの少しでも思い至ることができたのかどうか。いいかい、それを描けと言ってるんじゃないよ、一瞬でもそこへ意識を向けたかを聞いているんだ。耳の痛い指摘をするでしょう、ねえ? 永井豪ちゃんあたりなら、こんなもの豪放に笑いとばしてしまうんだろうけど、タツキは見かけよりずっと繊細(これ言われるの、イヤでしょう?)で、ひどく軽薄なようでいてドシリアスだから、表面上は平気なふりをしながら、心の奥ではものすごく気にすると思うね。貴方がここで停滞せず、さらにひと皮むけるのに必要な視点だと思うので、よかったら考えを聞かせて下さい」とか評されそう。そして、他ならぬ"戦争の"悪魔を1話へ持ってくるあたり、彼がこの時代にいったい何を考え、何を語ろうとしているのか、心の底から楽しみでなりません。今回は乞われたので印象を話しましたが、基本的には第2部完結まで黙ろうと思っています。

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