自分のことを話すのは苦手だ
わたしは「人の話を聴く」のが、わりと好きだ。
そのとき、何を思ったの?
どんな感じがしたの?
うんうん、それで?
わたしは、それいいと思ったな
へー、それって面白いね
などなど相槌を打ちながら、目の前の人が話すのを聴いている。
できれば気持ちよく話せるように。
もし目の前の人の心の中に、暗い気持ちが溢れたとしても、それをそのまま出してもいいように。
受けいれることができなくても、「そうなんだね」と受けとめていく。
* * *
わたしは自分のことを話すのが、わりと苦手だ。
何を話したらいいのかわからない。
こんな話をして、変な人と思われない?
嫌われない?
わたしの話、面白くないんじゃない?
やっぱりつまらない?
と、相手の視線を確認しながらドキドキして話す。
相手が嫌な気持ちにならないように、願いながら。
* * *
だから、相手の反応をリアルタイムで感じなくてもいい「書く」ということは、わたしには合っているのかもしれない。
ただただ、感じたこと思ったことを、白いスペースに吐き出していく。
画面が文字で埋まっていくのを、少し心地よく感じながら、「これは自分の本当の気持ちだよね」と確認しながら。
今もそうやって、呼吸とともに少しずつ出していくのだ。
* * *
そして
「わたしがわたしの話を聴けたら、どんな感じなんだろう」
と、たまに思う。
目の前のわたしが話を聴いてくれたら、わたしは話しやすいのだろうか。
聴いてもらえているという感覚を得るのだろうか。
決してできないことを考えながら、雨が降っても少しも涼しくならなかった空気を感じている。
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