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ミュージカル「RENT」

ミュージカル というものが苦手だ。
気恥しいのだ。
話せばいいのでは?というものをメロディーに乗せて演じる。
わたしが演じるわけではないのに、なぜか勝手に恥ずかしくなってしまう。

そんなわたしだが、1998年に「RENT」というミュージカルを観て、すっかりハマってしまった。
(といっても、他のミュージカルはいまだに恥ずかしい…)


最初は好きなアーティストが目白押しだったからという理由でチケットを2日連続で取った。

宇都宮隆、山本耕史、KONTA、坪倉唯子…
大好きなアーティストばかりだった。


なんの前情報もなく観に行った1日目、なんだかよくわかないけど観客がものすごく楽しそうにしていたことだけがわかった。

ほんの少しだけストーリーがわかった2日目、千秋楽ということもあって会場は大盛り上がり。
そして昨日聞いたばかりの音楽と歌は、なぜかわたしの身体にしみ込んでいて、終演後には「なにこれ?面白いんじゃない?」となっていた。

日本版のキャストによるCDも購入し(このときの自分を今でも褒めたい(笑))、映画も観て、映画版のDVDも買うことになった。
今はあまり観ていないけれど、それでも1年に1回くらいはこの映画を観ている。


RENTで描かれている世界は、当時のわたしにとっては馴染みがなく、そして心惹かれるというものではなかった。

『レント』は、音楽的には「X 世代」や「MTV 世代」のロックミュージックと伝統的なブロードウェイ ミュージカルとの融合を意図したものであり、またプロットとしては、現代都市社会のさまざまな若者の生き方を基調としている。エスニック マイノリティ(少数民族)、セクシャル マイノリティー(性的少数者)、麻薬中毒や HIV/AIDSなどといった、それまでの主流派ミュージカルでは敬遠されていた人々や題材を幅広く取り上げている点でも画期的な作品である。

(Wikipediaより)

なのになぜか舞台を観たのち、強烈に心惹かれたのは、そのメロディーと演じている人たちの熱量だったのだと思う。


そして後で知ることになる、伝説的ともいえるこのミュージカルが世に出るまでのストーリー。

7年間の苦労と試行錯誤の末、ジョナサン・ラーソンは彼の初の本格的ミュージカルである『レント』をオフブロードウェイのプレビュー公演にこぎつけた。1996年1月24日の晩、ラーソンは体調不良で気分がすぐれないのをおしてタクシーで劇場にかけつけ、最後のドレスリハーサルを見届けたあと、劇場でニューヨークタイムス紙の劇評記者の取材に応じる。その約1時間後、日付が変わった翌1月25日未明、夢にまで見た『レント』の開幕を同日夕刻にひかえたその日に、自宅に戻ったラーソンはキッチンで倒れ、35年の短い生涯を終えた。胸部大動脈瘤破裂。直前の2週間に2度も倒れて救急病棟に駆け込んでいたのにもかかわらず、医者はインフルエンザや過労と誤診、この命に関わる重大疾患を完全に見落としていた。
作者の急逝という悲報を受けて、1月25日のプレビュー初日は急遽、キャスト全員が舞台上に横一列に座ったまま台詞や歌を読み上げ歌い上げるという、リーディング(本読み)形式による追悼公演に変更となった。しかし中盤の“La Vie Boheme”にさしかかると、内なる興奮を抑えきれないキャストは一斉に踊りはじめ、そのまま大詰めまで演じきった。最後のカーテンコールで、観客の一人が “Thank you Jonathan Larson”(「ありがとう、ジョナサン・ラーソン」)の一言を口にすると、舞台や客席の誰もがこの言葉を口にして、劇場は万雷の拍手喝采につつまれた。この “Thank you Jonathan Larson” の一句は、今日でも世界各地で上演される『レント』のカーテンコールで舞台上にスライドで投影される伝統になっている。映画版でもエンドクレジットの最後にこの一句が挿入されている。

(Wikipediaより)


このストーリーを読むたびに、いまだにグッとくる。
そして頭の中には、ここに出ている「La Vie Boheme」、そして「Seasons of Love」が流れてくる。


レントヘッド(RENT-head)という言葉がある。
ミュージカル『RENT』にはまった熱狂的なファンを指す言葉なのだが、わたしもきっとその一人なのだと思う。


ひたむきで、未来も過去もなく、今という日を精一杯生きる。
それにどうしても心をクッと掴まれてしまうのだ。
そして重ねに重ねられたそれぞれのメロディー。
堪らない。


この「RENT」、今年2020年に東京で上演される。
花村想太くんがMarkを演じるし、かなり期待大だけれど、今回は行けない。
残念だ。


この冬は、1998年版のCDを聴き、映画DVD(ブロードウェイの主要オリジナルキャスト8名のうち6名が同じ役で出演している)を観ることにしよう。

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