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「働く」って、楽しくラクに好きなことだけやるってことだよね|その9


「働く」って、楽しくラクに好きなことだけやるってことだよね|その8|瑛己子|note

高橋永順さんのフラワーアレンジ本に触発された私は、さっそくフラワーデザインを習うことにした。

それまで華道をすこしかじった程度で、アートが好きというわけでもないので、趣味程度に出来たらという思いだった。

私が選んだのは、フラワーデザインスクール。関西では有名なフラワーデザイナーの方が運営していて、ブーケやブートニア、籠や花器を使ったアレンジを教えてくれるというカリキュラムだった。

体験に行ったとき「楽しくなくはない」という感じだったので、さっそく入学。ワイヤーや花鋏、フローラルテープは購入し、オアシスや花器、花は都度レンタルだったり購入だったり。

最初に作ったのは、カーネーションとカスミソウを使ったラウンドアレンジだったような気がする。先生に指導されながら作った初めての作品は、よいとはいえず、どこかいびつで、この時点でセンスがないのか?という疑問が残ったけど、それはスルーした。

そこから結局3年くらい続けて、ある程度のブーケやブートニア、アレンジはできるようになった。もともと花が好きだったので、花を触るのはたのしかった。一番好きだったのは、色合わせ。メインの花の色を決めて、差し色を決めて・・・・・・などと考えているときは本当に楽しかった。

そしていつのまにか、私はフラワーアレンジを仕事にできないかなと考えるようになった。なったのだけど、どこか違和感を覚え、腑に落ちない。花はすごく好きなのに、仕事にと考えると、ブレーキがかかるのだ。

あるとき、先生のすすめで、あるフラワーアーティストのショーを観に行くことになった。それに加え、ショーの前に、世界的に有名なデザイナーの作品が美術館に来ているからそれをクラス全員で見に行ったのだけど。

世界的に有名だけあって、作品やデザインはどれも素晴らしいものだった・・・・・・らしい。「トリハダが立つ」「色使いが秀逸」「あのデザインはアレンジに活かせる」と、クラスのみんなが感想を言い合うなか、私は黙っているしかなかった。

だって、何も感じなかったから。

そのデザイナーが使っている色はくすみ系が多かったので、それがなんでカラフルな花たちにリンクするのかがまずわからないし、そもそも、そのデザイナーのデザインに対して何も感じなかったのだ。

「良い」「素敵」とかだけじゃない。「好きじゃない」とか「苦手」すら感じなかった。「ふーん・・・・・・」と思って、終わった。感想がないのだ。

ちょうどこのころ、とある芸術系映画が流行っていて、それに感動するという人がかなりいたのだけど、実は私はその作品内容がまったく理解できずに終わってしまった。映画館でみんな感動しているのに、私はどこに感動ポイントがあるのか、まったくわからない。なんだか退屈だな、という感想だけが残った。

ここでようやく私は疑い始めた。

もしかして私って、アートに必要な感性とかアンテナが欠落している・・・・・・?

結論から言うと、この嫌な予感は「あたり」だった。このあと私は、アートやデザインの才能やセンスがまるでないことを目の当たりにするのだけど。

それはまた別の機会に。今日もありがとうございました。


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