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天使たちの天外戦線(終章、合わせ鏡)

ビランチ「戻ったわ。」

ネニア「じゃあ早速だけど——。」

イプノ「ちょっと待ってくれ。」

ネニア「ん?何かな?」

グラント「話をする前にまず彼らを落ち着いたところまで移動させてあげたいの。」

ビランチ「・・・分かったわ。じゃあ三人ともお願い出来る?」

プロイビー「ええ。」

イプノ「じゃあ外すね。ビランチ。」

ビランチ「・・・ええ。」


~~~~~


天使1「・・・グラントさん。イプノさん。プロイビーさん。もう大丈夫です。ここで・・・。」

グラント「何言ってるのよ。こんな状態なのに大丈夫なわけないじゃない。」

プロイビー「そうよ。私たちが暫くついてるわ。」

天使1「・・・ありがとうございます。」

イプノ「・・・僕もついていてあげたいけど早急に確認したいことがある。少し外していいかい?」

プロイビー「別に強制じゃないから良いわよ。」

グラント「何の用事なの?」

イプノ「・・・私用だ。」


~~~~~


フェア「・・・あらイプノ。珍しいですね。こんなところに一人で来るなんて。」

イプノ「ちょっと確認したいことがあってね。」

フェア「何ですか?」

イプノ「・・・読心神力さ。」

フェア「読心神力?」

イプノ「ああ。最近相手の行動を見ると勝手に気持ちが分かるようになってきてるんだよね。」

フェア「・・・そうなんですか。」

イプノ「〝・・・これは!〟」

フェア「〝・・・?〟」

イプノ「〝・・・やっぱり本だけじゃ分からないか〟・・・用は済んだ。失礼するよ。」

フェア「ええ。」


~~~~~


ネニア「さて残った問題を解決しよう。(ビランチ。この問題が解決したら私はまた離れるよ。)」

ビランチ「(・・・分かったわ。)そうね。」

セイ「ではまず何から解決しますか?」

ビランチ「・・・天使たちの処遇から解決しましょう。シュルケル。ヴェール。あなたたちに聞きたいんだけど彼らを見て何か分かったことはあるかしら?」

ヴェール「そうね・・・まず彼らは治らないわ。」

オルゴ「治らない?どういうことだ?」

シュルケル「そのままの意味だ。彼らの損傷は神力の治癒では治すことが出来ない。」

ヴェール「暫く神力を注いでみたけどまるで変化が無かった。恐らく普通の損傷の仕方じゃないのは確か。」

ドラーク「・・・で、どうする?ビランチ。」

ビランチ「・・・・・・正直言ってどうしようもないわね。」

セイ「〝・・・ですよね。〟」

ネニア「・・・そうだね。じゃあ次だ。あの黒い靄は何で発生したのか。」

ビランチ「それも・・・分からないわね。」

ネニア「・・・ビランチ。星の生成ってどうやって出来るようになったのかな?」

ビランチ「それは・・・これよ。」

ネニア「これは・・・。」

オルゴ「星の生成手順の説明書だ。」

フォルテ「二枚しかないけどね。」

ネニア「・・・ところどころ読めないところがあるね。」

セイ「まぁそれは・・・かなり昔の物みたいですからね。」

ネニア「・・・もしかしてさ、これ元々は本だったんじゃない?」

ビランチ「多分そう。けど何度か探したんだけどそれ以外に目ぼしいものは見つけられなかったのよ。」

シュルケル「それは・・・何を基準に探せばいいのか分からないからじゃないのか?」

ビランチ「どういうこと?」

シュルケル「ビランチたちは恐らく星の生成について目星を付け頑張って探したのだろう。しかしこれを見る限り黒い靄改め黒い霧に関する情報はまた別の目星が必要だと感じる。」

フォルテ「そうなのかい?」

ヴェール「私もそう思う。この黒い霧に関しては何故発生したのか解明するにしてもそれが何なのか調べるにしても私やシュルケルのような治癒の神力を持つ者特有の視点が必要になると思う。」

ビランチ「〝・・・〟そしたらシュルケル。ヴェール。あなたたちに宝物庫での黒い霧関連の書物調査を任せてもいい?」

シュルケル「構わない。」

ヴェール「じゃ早速行くわね。」

ビランチ「ええ。」

ドラーク「・・・そしたら後はどうする?」

ビランチ「彼女たちの報告を待ちながら休みましょ。いざという時動けるように。」

ドラーク「了解。」

ネニア「ビランチ。」

ビランチ「・・・分かったわ。」

オルゴ「ネニア。離れるのか?」

ネニア「うん。これ以上は私がでしゃばるべきじゃない。」

ドラーク「〝・・・ネニア。〟」

セイ「〝・・・天使長を断った負い目からですかね。〟」

オルゴ「そうか・・・。」


~~~~~


イプノ「・・・どうだい?様子は。」

プロイビー「特に変わりはないわ。時々意味不明な言葉を話すけど。」

グラント「・・・プロイビー。これも蝕まれた影響なの?」

プロイビー「恐らくね。意識の反応とその発語が連動してるから・・・思うように言葉を発することが出来てないんだと思う。」

イプノ「〝・・・。〟」

天使1「・・・済みません。」

イプノ「何で謝るのさ。君たちは悪くないだろ?」

天使1「ですが・・・。」

グラント「謝るなら私たちの方よ。あなたたちをこんな目に合わせてしまったんだから・・・。」

天使1「・・・しかし。」

プロイビー「自分を責めないで。」

イプノ「そうさ。まさかこんなことになるなんて誰も予想してなかったんだ。」

天使1「・・・ありがとうございます。」

ロッサ「・・・おいイプノ。」

イプノ「ロッサ。」

ロッサ「これは・・・何があったんだ?」

イプノ「原因不明の災いを体に受けたのさ。」

天使1「・・・ロッサさん。」

ロッサ「こっちは・・・話せないのか?」

プロイビー「そう。」

ロッサ「・・・。」

天使1「・・・え⁉」

グラント「え?そっちの腕動くようになったの⁉」

天使1「い、いえ汗。何故か勝手に・・・!」

ロッサ「・・・決して動かない訳じゃないんだな。」

イプノ「ロッサ・・・君。」

ロッサ「・・・済まない。不謹慎だった。」

プロイビー「・・・何とかしたかったんでしょ?」

天使1「!」

ロッサ「・・・まぁそうだ。」

天使1「〝ロッサさん・・・。〟」

イプノ「・・・プロイビー。僕はもう一度ビランチの所に行ってみるよ。」

プロイビー「進捗を確認しに行くのね?」

イプノ「ああ。」

グラント「それ私も行く。」

イプノ「・・・プロイビー。」

ロッサ「イプノ。何があったか分からないが彼らの為ならば俺は時間を割ける。是非行ってくれ。」

プロイビー「だってよ。二人とも行って平気よ。」

グラント「ありがと。ロッサ。」

ロッサ「ああ。」


~~~~~


シュルケル「さて探すか。」

ヴェール「ええ。じゃまずは“黒い霧”を目星にしましょう。」

シュルケル「ああ。」

ヴェール「・・・これじゃないわね。」

シュルケル「・・・これでもないな。」

ヴェール「・・・これは!」

シュルケル「どうした?」

ヴェール「ちょっと見てくれる?」

シュルケル「何々・・・この黒い霧は決して触れてはいけない。ましてや吸ってもいけない。もし仮に触れてしまえば体の自由が利かなくなり吸い込んでしまえば知恵を脅かすからである。そしてこの黒い霧は崩壊の際だけでなく生成まもなくしてからも発生することがある。」

ヴェール「・・・これで謎が解けたわね。何故星の中にあったのか。天使たちがああなったのか。」

シュルケル「ああ。恐らくあの天使たちは生成まもなくに星の中に入ったのだろう。」

ヴェール「そして彼は直接触れてはいないと言っていたけどきっと意図せず触れている。」

シュルケル「お前も気づいたか?」

ヴェール「ええ。何故なら災いは目に見えるものが全てじゃない。時には目視出来ないものもある。」

シュルケル「彼らに黒い霧に対抗する力があればこんなことにはならなかったのだろうがな。」

ヴェール「そうね・・・他にはないかしら?」

シュルケル「さっき神炎神力の説明書を見つけた。見てみろ。」

ヴェール「・・・神炎神力はあらゆる災いから身を守る神力である。この神炎は燃やせないものが無い。成程。黒い霧に対応するにはこの神力が有効になるわけね。」

シュルケル「ああ。セイは最近神炎を発現したと聞く。ビランチが星の封印に彼を連れて行ったのはこれが理由だろう。」

ヴェール「じゃあそれも持っていきましょう。」

シュルケル「・・・他はどうだ?」

ヴェール「他には・・・あ、なにこれ?」

シュルケル「ん?黒い霧とは・・・か。」

ヴェール「読んでみるわね?黒い霧とは。この黒い霧とはあらゆるものを蝕み永久に災いをもたらし続ける瘴気である。この瘴気は別名“災厄”と呼ばれ災厄は天使でさえも対抗手段を持ち合わせていない未知の災いである。この災厄を身に受けたら最後。天使は消滅への一途を辿る。治癒は不可能。度々星の生成時に生まれる。」

シュルケル「・・・。」

ヴェール「・・・どうする?」

シュルケル「・・・持っていこう。酷だがこのまま何も分からなければ更に犠牲者が出るだけだからな。」

ヴェール「・・・そうね。」


~~~~~


シュルケル「戻ったぞ。」

オルゴ「どうだった?」

ヴェール「かなりのことが分かったわよ。まず黒い霧が何故星の中で発生したのか。」

グラント「何で発生したの?」

シュルケル「それはこれを読んだ方が早い。」

イプノ「何々・・・黒い霧とは。この黒い霧とはあらゆるものを蝕み永久に災いをもたらし続ける瘴気である。この瘴気は別名“災厄”と呼ばれ災厄は天使でさえも対抗手段を持ち合わせていない未知の災いである。この災厄を身に受けたら最後。天使は消滅への一途を辿る。治癒は不可能。度々星の生成時に生まれる。」

オルゴ「・・・これで何故黒い霧が星の中で発生したのか?この黒い霧とは何なのか?といったことがほぼ全て分かったな。」

フォルテ「そうだね・・・その紙によると黒い霧改め災厄は星の生成時に度々現れるようだ。」

セイ「それにその災厄はどうやらかなり昔からあるようですね。」

ビランチ「・・・ええ。」

イプノ「しかも対抗手段はないときた。」

ドラーク「・・・これからどうするの?」

ビランチ「星の生成でしょ?」

ドラーク「ええ。」

ビランチ「一旦中止するわよ。」

ドラーク「一旦中止?」

ビランチ「ええ。この様子だと災厄だったり星に関する資料はまだまだ出てくると思うの。だからその資料をちゃんと集めてもう少し全容がつかめるようになるまでは中止にするわ。」

シュルケル「分かった。ならこの資料も置いておく。」

セイ「これは・・・黒い霧の資料ですか?」

オルゴ「それに神炎神力の説明書か。」

ヴェール「ええ。その資料によると災厄は度々の他に星の生成まもなくしてから発生することがあると書いてあるわ。」

シュルケル「そしてその神炎神力の説明書には神炎は燃やせないものが無いと書いてある。恐らく災厄に有効な神力ということなのだろう。」

セイ「〝・・・なんとなく使ってましたがやはり有効だったんですね。〟」

シュルケル「それと最後に私たちからの見立てを一つ。」

ドラーク「見立て?」

ヴェール「ええ。あくまで想像なんだけど災厄は目視では確認出来ない程小さな物質が関係していると思われるわ。」

グラント「何でそう言えるの?」

ヴェール「確か片腕が動かなくなった彼は言っていたわよね?黒い靄には直接触れてはいないと。」

グラント「そうね。」

シュルケル「しかし彼は脅かされた。何故だ?」

フォルテ「・・・実は触れていたってことかい?」

ヴェール「ええ。その通りよ。彼は触れていないと言った。けど脅かされた。この状況から見るに触れていることすら分からないものが彼を脅かしたと考えるべき。」

ビランチ「・・・確かにそう考えると治癒が不可能なのも筋が通るわね。」

シュルケル「ああ。流動系の神力は触れているという認識が無ければ発動は難しい。仮に発動は出来てもその効果は十分に発揮されない。」

ヴェール「実際彼女に治癒を施した時何処に神力を注いでいいのか私たちは分からなかった。」

イプノ「意識を集中させる場所がはっきりしなければ穴が出来てしまうからね。」

ヴェール「ええ。」

シュルケル「とりあえず。調査報告は以上だ。」

ビランチ「分かったわ。シュルケル。ヴェール。色々ありがとね。」

シュルケル「お安い御用だ。」

ヴェール「じゃ行くわね。」

ビランチ「ええ。」

フォルテ「で、僕たちはこれからどうすればいいんだい?」

ビランチ「暫く解散していいわよ。 ・・・ごめんね。みんな。苦労を掛けて・・・。」

セイ「それはあなたも同じでしょう。」

グラント「そうよ!」

ビランチ「・・・まぁ・・・そうだけど・・・。」

ドラーク「・・・じゃ外していいなら行くわ。ビランチ。」

ビランチ「ええ。」

オルゴ「また何かあれば呼んでくれ。」

ビランチ「ええ。」

セイ「じゃあ私も行きます。」

ビランチ「ええ。」

フォルテ「ビランチ。君はどうするのさ?」

ビランチ「私は少し休んだら宝物庫に行くわ。」

フォルテ「それは資料集めの為かい?」

ビランチ「そうよ。貴方達はどうする?」

フォルテ「僕はパスする。」

イプノ「〝・・・〟僕は行くよ。」

ビランチ「グラントは?」

グラント「私も行く!じっとなんて出来ないわ!」

ビランチ「そう。じゃあよろしくね。二人とも。」

グラント「うん!」


~~~~~


ロッサ「・・・なぁ今どんな感じなんだ?」

プロイビー「・・・どう見える?」

ロッサ「・・・言えないな。」

プロイビー「・・・そういう事よ。」

天使1「・・・。」

ネニア「プロイビー。」

プロイビー「・・・ネニア!」

ネニア「何だ。ロッサもいるのか。」

ロッサ「偶々通りかかってな。」

ネニア「そうなんだ。」

プロイビー「それであれからどうなったの?」

ネニア「私も途中で抜けたから詳しくは分からないけどビランチからの意識通信で大筋は伝わってる。とりあえず星の生成は一旦中止になった。」

プロイビー「・・・彼らは治るの?」

ネニア「・・・治らない。」

プロイビー「何故?」

ネニア「シュルケルとヴェールが出した結論だ。彼女たちはビランチの遣いで宝物庫に行って黒い霧に関する資料を集めたらしい。その結果そこの天使たちを脅かした黒い霧は災厄と言うんだ。その災厄は星が消滅する際だけではなく星の生成時に度々現れるらしい。」

天使1「・・・だから星の中にあったんですね・・・。」

ネニア「そうだ。そしてその災厄は集めた資料によると治癒は不可能で脅かされたら最後。永久に災いを与え続けるものらしい。」

天使1「そしたら・・・。」

ネニア「うん。あんたの片腕はもう動かせないしそこの彼はもうまともに話すことが出来ない。」

ロッサ「・・・。」

天使1「・・・て下さい。(小さい声)」

ネニア「ん?」

天使1「こいつを消して下さい!」

プロイビー「!」

ネニア「それは・・・聞けないかな。」

天使1「何故です!」

ネニア「まだ彼の意見を聞いてない。」

天使1「意見と言っても・・・。」

ネニア「聞けるはずだ。プロイビー。あんたの全知で彼がどうしたいか探ってほしい。」

プロイビー「・・・それで彼が救われるならやってみるわ。」

ネニア「お願い。」

プロイビー「・・・・・・。」

天使1「・・・どうですか?」

プロイビー「・・・消してほしいって。」

ネニア「・・・分かった。じゃあ消すよ。」

プロイビー「・・・お願いします。有り難う御座いますって・・・。」

ロッサ「・・・。」

ネニア「・・・じゃあ消す前に。絶対にまた会おうね。」

天使3「・・・。」

シュパッ!

天使1「・・・。」

プロイビー「・・・彼。最後に・・・。」

ネニア「・・・ああ。笑ってたね。」

ロッサ「・・・。」


~~~~~


ビランチ「さて探しましょうかね。」

グラント「でも探すといっても何を目星に探す?」

イプノ「・・・僕は神力の説明書を片っ端に見てみるよ。」

グラント「え、何で?」

イプノ「ほらシュルケルたちが神炎神力の説明書を持ってきただろ?一見関係なさそうでも何か有益なことが載ってるかもしれない。」

ビランチ「そうね。じゃあ神力関係は任せていい?」

イプノ「了解だ。」

グラント「じゃあ私たちは何関連で探す?」

ビランチ「・・・星の生成関連で探しましょ。結局最終目的は星の生成だから。」

グラント「分かった!」

イプノ「〝・・・これは前見て役に立たなかった読心か・・・ん?これは・・・邪視?何々・・・読心を発現してから一定期間経つと邪視と呼ばれる対象の意識物の内面を書き換える効果のある神力を有することがある。〟」

グラント「んー。何か良く分かんないものばっかりね。」

ビランチ「グラント。何か見つけたの?」

グラント「星の種類って紙を見つけたわ。」

ビランチ「どれどれ・・・星には神力のみが無の空間に存在し続けるものと神力によりあらゆる物質が一点に凝固したものがある〝・・・成程。そしたら私が最終的に作らなければいけないのは後者のやつね。〟」

グラント「どう?分かる?」

ビランチ「・・・何となくね。」

グラント「嘘!」

ビランチ「とりあえずそれは持っていくわ。」

グラント「了解♪」

ビランチ「イプノは何か見つかった?」

イプノ「・・・ああ。興味深いものを見つけたよ。」

ビランチ「どれ?」

イプノ「これさ。」

ビランチ「これは・・・。」

イプノ「神眼。」

グラント「説明はなんて書いてあるの?」

イプノ「神眼とはあらゆる欺きを見透かす眼のことである。この神眼は瞳に神力を込めることにより発現することがある。この神眼の最大の特徴は災厄を完璧に視認することが出来る点である。」

グラント「・・・凄いわね。」

ビランチ「でも・・・。」

イプノ「ああ。この天界で神眼を持っている天使を僕は知らない。」

ビランチ「そうよね。」

イプノ「だから役に立つのか・・・。」

グラント「でもないよりはあった方が良いんじゃない?」

イプノ「・・・まぁそうなのかな?」

グラント「そうよ!ビランチ!これも持っていきましょ!」

ビランチ「そ、そうね汗。」

グラント「じゃこの調子でどんどん探しましょ!」

イプノ「そ、そうだね笑。」


~~~~~


レナ「・・・そうか。」

アッズ「大変なことになったな。」

オルゴ「ああ。実際ビランチはこのまま進めるのは危険と判断し星の生成を一旦中止にした。」

デーチ「賢明な判断だな。」

トゥオ「そうだね。」

レナ「で、オルゴは何でそんなボロボロなんだ?」

オルゴ「中止になるまで色々あってな。」

レナ「色々って何だ?」

オルゴ「・・・星の調査の際に災厄に脅かされかけたんだ。」

ヴェン「え、大丈夫だったんですか?」

オルゴ「ああ。運良く神炎が発現して助かった。」

デーチ「え、オルゴ神炎が発現したのか?」

オルゴ「ああ。」

アッズ「その神炎でどうやって災厄から助かったんだ?」

オルゴ「単純だ。燃やしたんだよ。災厄を。」

トゥオ「神炎って災厄を燃やせるの?」

オルゴ「みたいだ。説明書によると燃やせないものが無いと書いてあった。」

レナ「へぇ・・・偶には見てみるもんだな。説明書も。」

ペスト「レナさん知らなかったんですか?」

レナ「まあな。」

アッズ「最初から持ってる神力なんて一々意識しねぇからな。」

ピオージャ「まぁ・・・そうか。」

アッズ「お前だって神水の効果なんて知らねぇだろ?」

ピオージャ「・・・確かに笑。」

オルゴ「で、ここで一つ俺から提案があるんだが良いか?」

レナ「何だ?」

オルゴ「ここにいて神炎を覚えてないヴェン、ペスト、ピオージャに神炎を覚えてもらわないか?」

ピオージャ「え、何でっすか?」

ペスト「・・・自衛の為ってことか?」

オルゴ「その通りだ。今回ビランチは星の生成を一旦中止にすると言った。これがどういう事か分かるか?」

デーチ「いずれまた再開させるってことだな。」

オルゴ「ああ。ということは災厄とは何れ邂逅する可能性があるということ。」

レナ「・・・不安の種は摘んでおかねぇとな。」

オルゴ「そういう事だ。どうだ?」

ピオージャ「俺は覚えられんなら覚えたいっす!」

オルゴ「ペストとヴェンはどうだ?」

ペスト「ピオージャが覚えんなら覚えたいっす!〝レナさんやデーチが使う神力をもし本当に覚えられんならここで何とかものにしたい!それにこいつに抜け駆けされんのはごめんだぜ!〟」

ヴェン「お二方がやるのであれば私もやらせてもらいたいです。貴重な経験ですので。」

オルゴ「お前たちはどうだ?教えるのに協力してくれるか?」

レナ「・・・まぁ程々にな。」

アッズ「しょうがねぇ。一肌脱いでやるぜ!」

トゥオ「僕が教えるなんて烏滸がましいけど・・・務まるなら。」

オルゴ「決まりだな。」

ピオージャ「じゃ早速やるんすか?」

デーチ「あ、ちょっと待ってくれ。」

レナ「何だ?何かあんのか?」

デーチ「もうすぐ来ると思うんだ・・・だから。」

アッズ「誰が?」

ウーノ「デーチに呼ばれてきたぞ。」

ペスト「ウーノ!」

ウーノ「神炎を教えてほしいんだって?」

オルゴ「ああ。彼らに神炎を手解きしてほしい。」

ウーノ「成程。了解だ。」

トゥオ「じゃウーノも来たみたいだし。」

ピオージャ「早速始めっか!」


~~~~~


ノーヴェ「で?結局どうなったんだって?」

グラント「中止よ!中止!」

ノーヴェ「違ぇよ!資料探し!」

グラント「少し休んだら継続するって!」

ノーヴェ「それで暇だから手合わせしろって?身勝手は相変わらずだな!」

グラント「だって本気でやれる天使なんてそうそういないんだもん!それにむしゃくしゃしてんの!」

ノーヴェ「ったく・・・。」

グラント「それにノーヴェなら神力の系統も近いから良いでしょ?」

ノーヴェ「別に近くねぇよ。お前の神力と俺の神風は現象が近いだけだ。」

グラント「だから手合わせにはもってこいなのよ!」

ノーヴェ「〝・・・こいつ!ありったけ放ちやがって・・・だったら!〟」

グラント「!」

ノーヴェ「どうだ・・・って、え⁉」

グラント「・・・や、やった!出来た!出来ちゃった!」

ノーヴェ「お前・・・神力以外の力使えたのか?」

グラント「使えなかったわ!」

ノーヴェ「え、でもそれって・・・。」

グラント「空間移動よ!やった!これで私も出来るようになったわ!」

ノーヴェ「〝おいおい・・・今発現したのかよ汗。〟」

グラント「じゃあノーヴェ!これからはもっと本気で行くからね?」

ノーヴェ「ったく・・・こりゃ遊んでる場合じゃねぇな!」


~~~~~


ウーノ「そうそうそんな感じだ。」

オルゴ「・・・やっぱお前たち二人は武器に付与した方が出しやすいか?」

ペスト「出しやすいっていうより付与じゃないと出せないっすね。」

ピオージャ「俺も神水の要領でしか出せないっすね・・・。」

レナ「まぁでもいいんじゃねぇか?出せるんだし。」

トゥオ「そうだね。神炎が出せればとりあえずは災厄には対抗出来るわけだし。」

オルゴ「・・・そうだな。ってヴェン。お前は・・・ちょっと出し過ぎじゃないか?」

ヴェン「そうですか?」

デーチ「〝・・・炎が龍みたいになってる。〟」

アッズ「俺たちでもこの量は中々だぜ。」

ヴェン「自分で言うのもなんですが、様になってませんか?」

デーチ「・・・。」

ウーノ「それより消せるのか?それは。」

ヴェン「ちょっと待ってくださいね・・・。」

レナ「おいそうじゃねぇ。」

オルゴ「ヴェン。逆に大きくなってるぞ?」

ヴェン「でもこれでも抑えてはいるんですが・・・。」

オルゴ「ピオージャ。神水だ。ヴェンの炎を消せ。」

ピオージャ「了解っす。」

アッズ「・・・何で更に大きくなってんだよ⁉」

ヴェン「済みません汗。神水で消えると思って緩めてしまいました汗。」

トゥオ「これは思ったよりやばいんじゃ・・・!」

ペスト「くそっ!」

トゥオ「ど、どうするの?」

オルゴ「ピオージャ!もっと水を出せ!」

ピオージャ「もう結構出してます!」

オルゴ「〝・・・〟じゃあ神力を貸す!」

ピオージャ「了解っす!」

オルゴ「ヴェン!大丈夫か⁉」

ヴェン「大丈夫です!」

オルゴ「待っていろ!今すぐに——。」

ピオージャ「オルゴ冷たいっす!」

オルゴ「こんな時に言ってる場合じゃ——。」

アッズ「オルゴ!その手から出てるやつなんだ⁉」

オルゴ「ん?」

レナ「ピオージャの背中が濡れてるやつだ!」

オルゴ「〝これは・・・〟ピオージャ!もういい!あとは俺に任せろ!」

ピオージャ「え、あ、りょ、了解っす!」

オルゴ「〝消えろ・・・!〟・・・ふぅ。」

ヴェン「・・・助かりました。」

オルゴ「ヴェン。体調は大丈夫か?」

ヴェン「・・・ええ。少し疲れましたけどね。」

オルゴ「なら良かった・・・。」

ヴェン「迷惑かけました。」

デーチ「それより・・・。」

レナ「発現したのか?」

オルゴ「みたいだな・・・。」

ピオージャ「結果オーライっすね。」

オルゴ「そうだな笑。」


~~~~~


ブッピラ「・・・フォール。」

フォール「ブッピラ。何だ?」

ブッピラ「いや。」

フォール「・・・そうか。」

ブッピラ「なぁ。」

フォール「何だ?」

ブッピラ「少し話さないか?」

フォール「構わねぇ。」

ブッピラ「ビランチ。星を作っていたんだってな。」

フォール「らしいな。」

ブッピラ「今はどうなってるんだろうな。」

フォール「さあな。だがそのまま放置されてはいねぇだろ。」

ブッピラ「だろうな。災厄という原因不明の災いが漂っているらしいからな。」

フォール「ああ。」

ブッピラ「・・・神炎なら対抗できるらしいな。」

フォール「みてぇだな。何だ?行って見てぇのか?」

ブッピラ「不謹慎かもしれないが見てみたい気持ちはある。」

フォール「・・・いいんじゃないか?行ってみれば。」

ブッピラ「!」

フォール「ビランチに言わずに行ってみればいいと俺は思うぞ〝・・・悪いなビランチ。〟」

ブッピラ「・・・まぁビランチに言ったら絶対に反対するだろうからな。」

フォール「ああ。だから言わずに行けばいい。〝あんたは止めるだろうがチクエなら許すだろう。悪いな。〟」

ブッピラ「うーん・・・。」

オッソ「あら珍しい組み合わせね。」

フォール「オッソ。お前こそ一人でいるとは珍しいな。」

オッソ「最近みんな忙しそうでね。暇なのよ。」

ブッピラ「そうか。」

オッソ「暇なのよ。」

フォール「お、おう・・・。」

オッソ「ねぇ暇なのよ。」

ブッピラ「そ、そうか・・・。」

オッソ「・・・。」

フォール「立ち合えってか?」

オッソ「そういう事!」

フォール「〝・・・何でいつも頑ななんだ・・・。〟」

オッソ「今回はブッピラも加わっていいから。」

フォール「何?」

ブッピラ「待ってくれ。俺は剣術が出来ないぞ?」

オッソ「別に平気よ。あなたの得意な戦い方で。」

ブッピラ「大丈夫なのか?」

フォール「本人がああ言ってんだ。大丈夫だ。」

オッソ「そうよ。」

ブッピラ「しかし・・・。」

フォール「熾天使様がああ言ってんだ。」

オッソ「そうそう。私としても剣術以外と戦えるのは良い刺激になるし。」

ブッピラ「なら・・・。」

オッソ「じゃ始め!」

オッソがそう言うとオッソはブッピラに切りかかった。

ブッピラ「なっ!」

しかしブッピラはオッソの攻撃を紙一重で躱した。

オッソ「〝へぇ・・・これを避けるのね。〟」

フォール「ブッピラ!慣れるまでは俺がサポートする!」

ブッピラ「頼む!」

そう言うとフォールは最初からオッソを全力で攻め立てた。

オッソ「あなたの場合はもろ短期決戦型だからすぐ終わりが来るのよね。」

フォール「まあな。けどその終わりまで無傷だったことはねぇだろ?」

オッソ「・・・そうだけど。」

ブッピラ「フォール!」

ブッピラがそう言うと四方からオッソに向けて暗器が飛んで行った。

フォール「・・・!」

オッソ「〝これは・・・無数の暗器で四方から・・・〟ちょっと面白くなってきた。」

そう言いながらオッソは全て暗器を撃ち落した。

ブッピラ「ならこれはどうだ!」

そう言うとブッピラはただの鎌をオッソに向けて投げた。

オッソ「〝ん?〟どこに暗器を飛ばしてるのかしら?」

オッソは鎌を簡単に躱した。

フォール「〝ありゃぁ・・・糸か?〟」

オッソが躱した瞬間ブッピラは何かを手前に引く仕草をした。

オッソ「え?〝これは・・・!〟」

そうしたところただの鎌は何故かオッソに向かって再び飛んで行った。

そうして鎌がオッソに後ろから向かうと同時にブッピラはオッソに向かって切りかかった。

フォール「〝・・・オッソみたいな剣じゃねぇか!〟」

オッソは先に背後の暗器を短剣を投げて吹き飛ばした後長剣でブッピラの攻撃を受けた。

ブッピラ「逃がさん!」

オッソ「うっ!」

ブッピラは鍔迫り合い状態に成った瞬間蹴りをオッソにかました。

フォール「・・・勝負あったな笑。」

オッソ「もう・・・嘘じゃない。剣術が使えないなんて。」

ブッピラ「い、いや。さっきまでは本当に使えなかったんだ汗。」

フォール「俺とオッソの戦いを見て使えるようになったと?」

ブッピラ「ああ。」

オッソ「にしてもさっきの暗器の動きは予想出来なかったわ。」

フォール「だな。まさかわざと暗器をオッソの後ろに投げて、落ちる前に手前におもいっきり引いてそれと同時に近づき挟み撃ちにするなんてな。」

オッソ「暗器の対処のお陰であなたから離れるのも遅れたし離れた後は体術で攻められるし・・・反則よ。」

フォール「別に反則じゃねぇだろ笑。」

オッソ「そうだけど・・・はぁ。また負けた。」

フォール「けど強かったぜ?」

オッソ「座天使に言われても嬉しくない。」

フォール「笑。」

ブッピラ「・・・フォール。」

フォール「ん?・・・あぁ。」

オッソ「どうしたの?」

フォール「いやブッピラは星を見たいらしいんだ。」

オッソ「そうなの。」

フォール「気にすんな。行って来いよ。」

ブッピラ「ああ。恩に着る。」


~~~~~


ドラーク「あらブッピラ。何処に行くの?」

ブッピラ「・・・いやちょっとな。〝ドラークはビランチに近い。何とかやり過ごさなければ・・・!〟」

ドラーク「〝・・・何か企んでる?〟ちょっと・・・何?」

ブッピラ「何でもない。」

ドラーク「何か企んでるなら言いなさい?」

ブッピラ「・・・良からぬことは企んでいない。」

ドラーク「じゃあ何で言えないの?」

ブッピラ「色々あってな。」

ドラーク「あ、待ちな!」


~~~~~


ブッピラ「〝・・・まずいな。思っていたより多くの天使たちに見られてしまった。もう振り切るのは無理か・・・。〟」

ドラーク「・・・諦めたわね。さぁ何処に何しに行こうとしてたのかしら?」

ブッピラ「星を・・・ちょっとな。」

ドラーク「星?」

ブッピラ「星を見に行こうとしていたんだ。」

ドラーク「あんた・・・正気⁉」

ブッピラ「正気だ。」

ドラーク「はぁ・・・いい?今星はネニアたちが封印したといえ危険な状態であることに変わりはないの!それを自分から飛び込むなんて・・・聞いたからには益々行かせられないわ。」

ブッピラ「そう言うと思っていた。」

ドラーク「じゃあどうする?」

ブッピラ「強行突破だ!」

ドン!

ドラーク「・・・これでも行く?」

ブッピラ「・・・ああ!」

ドラーク「じゃあ暫く大人しくしてな!」

そう言うとドラークは神雷をブッピラに放った。

ブッピラ「!」

しかしその雷はブッピラに当たる直前暗器で防がれた。

ドラーク「・・・なっ〝自分の手前に暗器を投げることで直撃を避けたのね!〟」

ブッピラ「〝・・・あと2・3回直撃を避けられれば・・・!〟」

ドラーク「そこ!〝・・・今度は刀か!〟」

ブッピラ「ドラーク!」

ドラーク「何!」

ブッピラ「俺は神炎が使える!それでも駄目なのか!」

ドラーク「駄目ね!あんたは神炎さえ使えれば何とかなると思ってるんだろうけどそれは楽観的過ぎるわ!災厄は神炎の使える熾天使でやっとのもの!というはそれより階級の低い座天使ならどうなるの?」

ブッピラ「座天使も上天使だろう!」

ドラーク「そうかもしれないけど!こと災厄に関しては試すにしてはリスクがでか過ぎる!」

ブッピラ「しかし・・・!」

ドラーク「なら暫く寝てなさい!」

そう言うとドラークは特大の神雷をブッピラに放った。

ブッピラ「俺は・・・星を見に行くんだ!」

しかしブッピラも神雷を放ちドラークの神雷は相殺された。

ドラーク「〝えっ・・・神雷⁉〟」

ブッピラ「〝よし!〟・・・成功だ。」

ドラーク「〝まさか・・・〟今ここで発現したの?」

ブッピラ「ああ。」

ドラーク「・・・目が良いみたいね。」

ブッピラ「フォールとオッソのお陰だ。」

ドラーク「?」

ブッピラ「それとさらばだ。」

ドラーク「あ、ちょっ・・・ったく。もう知らないわよ?」


~~~~~


イプノ「全く・・・資料集めを途中で抜けるなんてね。」

ビランチ「しょうがないわよ。彼女長く集中出来ないから。」

イプノ「にしても集中力が無さ過ぎるよ。」

ビランチ「だからこその気分転換なのよ。」

イプノ「・・・まぁあの調子でいられたら探すのにも一苦労か。」

ビランチ「そういうこと。」

イプノ「ん?その箱は何だい?」

ビランチ「災厄を閉じ込めた箱よ。」

イプノ「・・・どういうことだい?」

ビランチ「・・・ちょっと思うところがあってね。」

イプノ「せっかく封じたのに何で態々天界に持ち込んだんだ?」

ビランチ「それはね・・・閉じた世界をもう一度開く為よ。」

イプノ「?」

ビランチ「私はね、星を作ったからには最後まで完遂させないといけないと思っているの。完遂させるということは不完全な星も何れは完璧な形にしないといけない。だから解決不可能な災厄も何れは解決していかないと。閉じた世界をもう一度開く為にはこの不可能ともいえる問題を解決しなければならないの。天使として世界を閉じたままにしておけないから。」

イプノ「成程・・・そうだね。」

ビランチ「あ、これは・・・。」

イプノ「天界の仕組み・・・か。」

ビランチ「読んでみるわね?この天界は太陽と呼ばれる膨大なエネルギーを核として存在している。そしてこの天界はその他の星と違い特殊な構造をしている。通常世界の核は中心に定めるのだがこと天界に限っては遥か遠くからその膨大なエネルギーを引っ張ってくることで形を保っている。それは何故か。理由は災厄である。」

イプノ「?」

ビランチ「星の生成時に災厄が同時に生成されてしまうことがあるのは別記しているのだがその災厄を生まずに星を創造する方法がある。条件は二つの内のどちらかを満たすこと。一つ。この天界のように星の核を外部に据え置くこと。二つ。この天界と同等。またはそれ以上の大きさの世界を想定して作ること。この二つの条件のどちらかを満たせば災厄は発生しない・・・ですって。」

イプノ「・・・思わぬ収穫だね。」

ビランチ「ええ。」

イプノ「道理で僕たちは災厄を知らなかったわけだ。」

ビランチ「そうね。長い時間この仕組みで守られていたのね。」

イプノ「ああ。それに災厄を生まずに星を作る方法も見つかった。」

ビランチ「ええ。この天界と同等の大きさの星を作れば・・・災厄は生まれないみたい。」

イプノ「これで僕たちの模倣物を入れる星を作ることが出来るね。」

ビランチ「そうね。早速皆に声を掛けに行きましょう。」

イプノ「ビランチ。それは僕がやっておくから君は休んでおくんだ。」

ビランチ「え、でも・・・。」

イプノ「どうせ星の生成時に一番体力を使うんだ。休める時くらい休みな。」

ビランチ「・・・そういうなら分かったわ。じゃ頼むわね?」

イプノ「ああ。」

こうして様々な騒動の中人間の創造目的が無能な存在から天使と同じ存在へと切り替わっていき進み始めていくのだった。


~~~~~


ブッピラ「スパヴェンタ。オンブ。」

スパヴェンタ「ん?何ですか?」

ブッピラ「一緒に星を見に行かないか?」

オンブ「〝・・・星か。〟」

スパヴェンタ「俺は良いですよ。」

ブッピラ「オンブはどうだ?」

オンブ「〝確かブッピラは神炎を持っているんだったな・・・なら大丈夫か。〟俺も良いですよ。見に行きましょう。」

ブッピラ「よしそうと決まれば早速出発だ。」


~~~~~


スパヴェンタ「笑。成程。そんなことがあったんですね笑。」

ブッピラ「ああ。あの時は焦った。」

スパヴェンタ「着きましたね。」

オンブ「・・・あれがネニアの封じた星か。」

ブッピラ「〝・・・ん?〟あれは何だ?」

スパヴェンタ「え、どれです?」

ブッピラ「ほらあの欠けた部分だ。」

スパヴェンタ「・・・何も見えませんが?」

ブッピラ「そうか?目を凝らしてよく見てみろ。かなり細かいが力の塊が外殻の隙間から出ていないか?」

オンブ「・・・本当だ。何か出ていますね・・・。」

スパヴェンタ「・・・あ、見えましたよ・・・というかあれこっちに来てませんか?」

ブッピラ「〝やばいな・・・〟神炎!」

スパヴェンタ「助かった・・・。」

ブッピラ「いやまだだ!〝どういうことだ・・・一向に燃やし尽くせない!〟」

オンブ「ブッピラ!周りにも!」

ブッピラ「〝くっ!対処が間に合わない!〟」

スパヴェンタ「オンブ!どうす——。」

オンブ「・・・よし!」

スパヴェンタ「お前それ・・・。」

オンブ「神炎だ。今発現した。」

ブッピラ「運が良いな。」

スパヴェンタ「けど・・・。」

オンブ「ああ。危機的状況に変わりはない。」

スパヴェンタ「どうすれば・・・!」

シュパッ!

ネニア「三人とも何してるのかな?」

ブッピラ「・・・ネニア!」

ネニア「ドラークにあんたの話を聞いてね。気になって来てみた。」

ブッピラ「・・・。」

ネニア「お説教は後でするからまずは神力を貸してくれるかな?」

ブッピラ「・・・分かった。」

ネニア「・・・・・・ふぅ。完了だ。まさか構築が崩れかけてるなんてな。流石未知の災い。新たな対処をビランチと考えなきゃ・・・それでブッピラ。私が何を言いたいか分かるよね。」

ブッピラ「・・・済まない。」

ネニア「・・・ふぅ。今回はみんな無事だったから良かったけど次こんなことがあれば私もただじゃ済ませないよ。」

スパヴェンタ「・・・済みません。」

ネニア「災厄に脅かされた天使たちの末路はね、実に悲惨なものだった。これ以上そんな天使を増やさないようにくれぐれも気を付けてね。」

オンブ「・・・分かりました。」

ネニア「じゃ行こうか。」

スパヴェンタ「あ、待って下さい!」

ネニア「何?」

スパヴェンタ「あれは消さないんですか?」

ネニア「あれ?・・・どれのことかな?」

ブッピラ「あれだ。外に残っている細かい力の粒子。」

ネニア「〝・・・本当に何処だ?〟ってあんたたちその目はどうしたの?」

ブッピラ「目?あ、スパヴェンタ。それは何だ?」

スパヴェンタ「それを言ったらあなたもそうだ!」

オンブ「・・・どういうことだ?」

ネニア「〝もしかして気づいてなかったのか。〟とにかく星の何処にその粒子は見えるの?」

オンブ「あそこだ。」

ネニア「了解だ。〝一応破壊の神力を放っておこう。〟」

スパヴェンタ「もう大丈夫ですね。」

ネニア「そっか。じゃさっさと天界に戻るよ。」

オンブ「了解です。」


~~~~~


シェンス「ビランチ~~そろそろ星を作るって言うから来たわよ~~。」

ビランチ「シェンス。久しぶりね。」

シェンス「久しぶり~~ついに作るのね。」

ビランチ「ええ。同じ存在をね。」

シェンス「え?」

ビランチ「え?」

シェンス「・・・ビランチ。同じ存在じゃないわよ?同じ姿をした無能な存在。分かってる?」

ビランチ「あ、あぁ!そうだったわね!分かってるわ汗〝・・・そういえばそうだったわ汗。〟」

シェンス「〝大丈夫かなぁ・・・〟じゃお願いね!」

ビランチ「え、ええ!〝・・・さて何時みんなに伝えようかしら・・・。〟」

ネニア「(ビランチ。)」

ビランチ「(ネニア?どうしたの?)」

ネニア「(ちょっと星の封印が崩れかけてるんだ。だからまた封印を手伝ってくれないかな?)」

ビランチ「(わ、分かったわ汗。)」


~~~~~


イアス「さて今回集まったのは他でもない!このビランチから借りた神炎の説明書で神炎をマスターしようという事なんだが・・・。」

トレ「そんな・・・説明書読んでマスター出来たら今頃みんな使えてるんじゃねーですか?」

イアス「かもな・・・だがしかし!何事もやってみなければ分からない!」

トレ「〝・・・。〟」

ガンペーデ「じゃ早速やってみようぜ!」

トレ「やるっつったって何をどうすりゃいいんだ?」

イアス「・・・確かに。」

ガンペーデ「・・・炎だから燃えればいいんじゃねえか?」

トレ「だからよ、その燃える方法が分からねぇんじゃねぇか。」

ガンペーデ「燃えるのは何も物理的だけじゃねぇ・・・精神的にでも燃えれば神炎を使えるんじゃねぇか?」

トレ「・・・は?」

イアス「・・・成程。」

トレ「〝いや何が成程何だよ・・・。〟」

ガンペーデ「・・・ということで燃えろ!俺のコスモ!」

そう言いながら体を回転させるとガンペーデは神炎を足に纏い始めた。

トレ「そう簡単に出来たら・・・〝マジかよ・・・。〟」

イアス「やっぱそうなのか!なら俺たちも闘志を燃やしていくぞ!」

トレ「っ!ちょイアス何を・・・!」

イアス「心を燃やすにはこれが一番だろ!」

そう言ってイアスはトレに棒術で襲い掛かった。

トレ「〝チッ!このままじゃ武器が壊れちまう・・・!何とかしねぇと!)」

イアス「いけぇ!」

トレ「フッ!」

ガンペーデ「あっ!武器が・・・!」

トレが自分の刀に神力を注ぎ振り切るとイアスの棒が真っ二つに切れた。

イアス「・・・そうだな。だが・・・。」

トレ「燃えてる・・・。」

そしてイアスは神炎を出すことに成功した。

イアス「何だ。意外と簡単に出来たな。」

ガンペーデ「そうだな!」

トレ「〝こいつら・・・絶対おかしい。〟」


~~~~~


それから暫くの時が経った・・・。

イプノ「さて。熾天使での神力調整もそれなりに様になって来た。」

ノーヴェ「それじゃあそろそろ始めんのか?」

ビランチ「まぁそうね〝・・・ふう疲れるわね。天使長も。〟」

グラント「じゃ!行きましょ!無の空間へ!」

ビランチ「ええ。」

こうしてシェンス以外が本来の目的を忘れたまま地球創造と人間創造計画は開始されるのであった・・・!

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