天使たちとの共同戦線(七章、もう一人の堕天使)
フォルテ「ビランチ戻ったよ。」
ビランチ「ご苦労様です。ではヌーラと代わってください。」
フォルテ「ヌーラ。長いこと代わってもらって悪いね。」
ヌーラ「いえ、非常時でしたから。お互いに助け合わなければ。では私は戻ります。」
フォルテ「苦労を掛けるね。」
ビランチ「ありがとうございます。」
ヌーラ「いえいえ。」
?「で、次は誰がいくの?」
ビランチ「いえ、暫くは様子をみましょう。ここのところ様々な天使が行ってミィディアの方も少し時間が必要でしょう。なので一度ウナとグラントも持ち場に戻ってもらって構いません。次に行くオルゴには私から声をかけておきます。」
ウナ「了解だ。」
グラント「了解したわ‼(ちょっと抜け駆けして遊びに行っちゃお〜♪)」
〜〜〜〜〜
ミィディア「天使の力か・・・‼」
俺はついに誰も太刀打ち出来ない力を手に入れた。
天使の力があれば誰にも負けない。
そう思った。
誰もまだ知らない誰も太刀打ち出来ない力。
誰もまだ知らないということは手の内がバレていないという点でこちらに優位に働く。
もしこれが有名な技術や能力ならば対策を立てられてしまうからだ。
某人気漫画の主人公が容易に手の内をひけらかすな!と言われていたがその意味がよく分かる。
手の内を明かすということは次はこの技で攻めるよ‼と言っているようなものなのである。
同時に次に戦う時に更に不利になる。
誰にも負けたことがない剣豪が誰にも負けたことがないのは立ち会った相手を全て倒してきたからだ。
昔はネットもない時代で立ち会った相手さえ倒してしまえば自身が披露した技の全容がバレることはなかった。
しかし今の時代誰が何処で見ているか分からない。
“示現流なう”。なんてSNSに動画付きで挙げられてしまえば次に戦う者は容易に対策を打ててしまう。
更には大抵の場合一度立ち会った相手をその一度目で仕留められることはまず無い。
その殆どは引き分けか痛み分けで終わる。
その場合手の内をひけらかした戦いをすればこれまた対策を打ててしまう。
しかし天使の力は未だ誰も知られていないという点においてクリアしていた。
正確にはみんなが天使の力には宗教で〝そういう力があること〟については広まっている。
だが天使の〝力〟が具体的にはどうやって使えるのか。
力の出所は何処からでどうすれば封じられるのか。これについては知られていない。
当然だ。
大概の人は天使という言葉を耳にした時点で真面目に聞く気などない。
しかしそこに強みがある。
知らないくせにまともに聞きもしない奴らに対して今まではイライラしていたが今はそのバカさ加減に感謝した。
また仮に力の出所を探ろうにも天使の力で防ぐことが出来る。
なんせどんな達人たちでも天使の力の前では赤子同然なのだ。
封じられる心配がない最強の力・・・。
ミィディア「フフフッ・・・何でも出来そうな気がする・・・‼」
そんな妄想に浸っていると新たな天使が・・・いや、堕天使が現れた・・・。
?「やぁミィディア。随分と楽しそうじゃないか‼」
ミィディア「⁉、初めて見るな。誰だ?」
イプノ「僕はイプノさ。セイと同じ堕天使だ。よろしく。」
ミィディア「・・・堕天使って名乗って大丈夫なのか?堕天使って悪魔だろ?天使たちに追われてるんだろ?」
イプノ「普通は怖がって毛嫌いするのに僕の方を心配するなんて・・・だいぶ変わってるね。君。心配ないよ。僕を捕まえることが出来る天使は限られてるから笑。」
ミィディア「で、イプノは何しに来たんだ?」
イプノ「最近は堕天使も暇でね。なんせ堕とさなくても勝手に堕ちていく人間が多いから。だからこうして暇つぶしの散歩ついでに君に会いに来たんだ。ちょっとした自己紹介も兼ねてね。」
ミィディア「・・・そっか。そしたら・・そんな暇してるイプノにちょうど聞きたいことが——。」
グラント「はーい!ミィディア‼初めましてよね?グラントよ〜〜♪よろしく‼」
イプノ「グ、グラント⁉」
グラント「?。・・・イプノ⁉あんたが何で此処にいるのよ‼」
イプノ「汗。じ、じゃ‼ミィディア!話はまた今度ね笑。」
グラント「あ!待ちなさい‼(ちょっと‼ブッピラ、フォール‼近くにいる⁉いたら返事なさい‼)」
フォール「(何だ急に。ブッピラは今はいねぇ。何があった?)」
グラント「(今ミィディアのところにイプノがいたわ。逃げられたから周辺を捜索なさい‼)」
フォール「(了解だ。・・・それより天使は今ミィディアとの接触を控えることになってるんじゃなかったか?)」
グラント「(・・・汗。い、今それは後でいいでしょ‼それより周辺を捜索して‼)」
フォール「(・・・ったく。とりあえず了解だ。)」
グラント「(・・・ごめんね?)」
フォール「(全くだ。後でビランチからお叱りだな。)」
グラント「(はい・・・。)ふぅ・・・あ、ミィディア。いきなりごめんね?汗。色々バタついちゃって。」
ミィディア「まぁ・・びっくりしたけど俺は大丈夫だよ。」
グラント「そう・・・良かったわ。」
ミィディア「それより追わなくていいのか?イプノ。」
グラント「・・え?あぁ他の天使に追ってもらってるから大丈夫よ。それに今から追ってもどうせ捕まらないだろうし。」
ミィディア「・・・イプノのことよく知ってるの?」
グラント「まぁ昔は仲良かったからね。」
ミィディア「そっか・・・なんか堕天使って根っから悪い奴には見えないよね・・・。」
グラント「ミィディアは素直ね。好きになっちゃいそ〜♪・・・冗談はさておきあいつらは元々天使だったからね・・・。」
ミィディア「・・・ねぇ。イプノと仲良かったんでしょ?イプノってどんな奴なの?」
グラント「・・・あいつがどんな奴か?」
ミィディア「そう!」
グラント「んー・・・そうねぇ・・・あいつは一言で言うならガキよ!」
ミィディア「ガキ?」
グラント「そうガキなの。最初はあいつも私たちと同じで天使の役目を果たしてたんだけど殆どの人間は天使の忠告とかなんて聞こえないのよ。当たり前なんだけどねー。でもあいつは人間が何度も同じ過ちを犯すのを見てイライラしてきてねー。終いには〝そんなに不幸になりたいなら望み通り不幸になればいい‼〟なんて言って力使って人間の精神を病みやすいように不安を抱え易いような心にしてしまったの。それで堕天使になっちゃったのよ。」
ミィディア「・・・まぁ気持ちは分からなくはないかな。」
グラント「・・あたしも分からなくはない部分は正直あるけどそれを実行しちゃダメなのよ。天使的に。」
ミィディア「まぁそうだろうな。」
グラント「あ。話変わるけど契約の話フォルテから聞いたわよ!基本一度会った天使は心の中で呼べば聞こえるようになってるから覚えておいてね♪(まぁ・・・来るかどうかは天使の気分次第だけど・・・笑。)」
ミィディア「え?あぁ手際が良いな。」
グラント「まあねん。じゃ、あたしは帰るわ・・・。」
ミィディア「もう帰るの?」
グラント「ちょっと怒られにね・・・。」
ミィディア「・・・バックれちゃえば?笑。」
グラント「一応位が高いから筋は通しておかないと下の階級の天使に示しがつかないのよ・・・。」
ミィディア「成程ねぇ・・・。」
グラント「・・・またね。」
そう言うとグラントは消えていった。
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