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天使たちとの共同戦線(八章、堕天使狩りと熾天使)

ビランチ「あら、グラントお帰りなさい。何処に行っていたのかしら?」

グラント「・・・下界に行ってました。(小声)」

ビランチ「・・・何て?」

グラント「下界に行ってしまいました・・・泣。」

ビランチ「様子を見ると言ったわよね?」

グラント「はい。済みません。」

ビランチ「まったく・・・暫くあなたには監視をつけます。少し反省なさい。」

グラント「はい・・・分かりました・・・泣。」

フォール「全くだ。少しは熾天使の自覚を持って欲しいもんだ。フォルテからも何とか言ってくれ。」

フォルテ「最近少しお転婆が過ぎるよ。次は・・・分かるね?」

グラント「分かってる分かってる!あんたと戦うのはごめんよ‼」

ビランチ「それよりフォール。もうすぐブッピラが来るようですが下界は平気なのですか?」

フォール「大丈夫だ。今ドゥエに指揮を取らせてる。それに今探しても見つからねぇだろ。」

ビランチ「それもそうですね。」

ブッピラ「悪い。遅くなった。」

?「久しぶりだな!みんな‼」

ビランチ「いえ、忙しい中ご苦労様です。」

フォルテ「ノーヴェは何しに来たんだい?」

ブッピラ「俺が必要と判断し呼んだ。突然で悪いが今から俺とフォールが考えたミィディア堕天使対策の体制を話す。異論があれば話した後に言ってくれ。まず俺たち〝堕天使狩り〟だが基本はドゥエに指揮を取らせ俺たちは動かない。そしてミィディアに堕天使が接触した場合。この時に俺たちが直接動く。異論はあるか?」

ビランチ「いえ、ないです。」

ブッピラ「助かる。」

ビランチ「私たち〝判断〟は基本様子見で行きますからよろしくお願いします。」

ブッピラ「了解した。」

フォール「まぁそう言うことだ。何かあれば呼んでくれ。力になる。」

ビランチ「助かります。」

ブッピラ「後もう一つ。俺はこれからノーヴェを連れてミィディアに会いに行く。ミィディアに天使との関係について話しておきたい。本来なら内々でやるのが通例だが皆も知っての通りあいつはもう普通の人間じゃない。これまでの歴史を見てもミィディア以上に天使である俺たちと関りを持った人間はいない。このまま中途半端に放っておいて静観するよりは寧ろ積極的に関係性を作った方がいい。そうしなければイプノたちにまた先を越される。それだけは避けたい。」

ビランチ「同感です。ミィディアの主導権はこちらで守らなくては。」

ノーヴェ「・・・話がまとまったようだな。じゃ、行ってくるぜ。」

ビランチ「よろしく頼みます。」


〜〜〜〜〜


最後に来たグラントという天使が消えてから三ヶ月程経ったある日。

今度は新たな天使が二人俺の前に現れた。

ブッピラ「お前が・・・ミィディアか?」

ミィディア「そうだけどあんた達は誰?」

ノーヴェ「俺はノーヴェだ。で、コイツがブッピラだ。ちと愛想が悪いがよろしくな‼」

ミィディア「お、おう。よろしく。」

ブッピラ「・・・唐突で悪いがお前に幾つか説明しておかなければならないことがある。聞いてくれ。」

ミィディア「あ、ああ。」

ブッピラ「今天界では嘗てない事態が起きている。ミィディア。お前の存在だ。俺たち天使の声が聞こえ話が出来るお前は天界では無視出来ない存在だ。」

ミィディア「・・・何故?」

ブッピラ「俺たちと会話が出来るからだ。今まで俺たちの存在が見えたり声が聞こえる人間はちらほらだがいた。だが存在が見えてもこちらの声が聞こえるわけでもなく逆に声が聞こえるからといって会話が出来たりこちらの存在を認識したりする者はいなかった。」

ミィディア「でもソロモンって人は話が出来たんでしょ?」

ノーヴェ「ソロモンだって話が出来る天使は限られてたぜ?プロイビーとヴェッキくらいだ。こんなに多くの天使と会話が出来るのはお前くらいだ。」

ブッピラ「その通りだ。ソロモンの場合は話が出来る天使がかなり限定的だった。それに実際姿が見えるだけや声が聞こえるだけでは全て想像の産物として扱われてきた。俺たちは多くの人間に知られてはならない。」

ミィディア「・・・つまり他の人間には天使の存在を悟らせるなってこと?」

ブッピラ「その通りだ。それともう一つ。堕天使達についてだ。アイツらの力を使うのは構わないが決して多用するな。お前の魂を持っていかれる。」

ミィディア「悪魔だから・・・?」

ブッピラ「そうだ。お前がどれだけ心を強く保とうとアイツらの力を使えば使うほど考え方が悪魔に近づく。それは俺たち天使たちとしても避けたい。天使である意味がなくなってしまうからな。」

ノーヴェ「天使の俺たちの影響でお前が悪魔になったら本末転倒だからな。」

ミィディア「まぁ確かにそうだけど・・・。」

ブッピラ「それと最後にもう一つ。これは俺たちとお前の関係性を表すことだが俺たちの存在は最終的に完全に忘れてもらって構わない。いや、むしろ忘れてもらわないと困る。俺たちはお前に天使と関わらなくても生きていけるようになることを望んでいる。」

ミィディア「それって・・・俺がめんどくさい存在ってこと?」

ノーヴェ「ちげーよ。俺たちありきの幸せはお前の本当の幸せじゃねーだろ?俺たちはお前が本当の意味で幸せだ‼って感じて生きてもらいてーんだよ!俺たちのことを忘れるくらいにな‼」

ミィディア「・・・そっか。ありがとうな。なんか感謝してもしきれないよ。」

ブッピラ「フッ。感謝なら教会にでも行ってするんだな笑。」

ミィディア「天使ジョークだな。」

ノーヴェ「人間とこんな話をする時が来るなんてわからねぇもんだな笑。」

ブッピラ「・・感傷に浸るのはそれくらいにして俺たちは天界に戻るぞ。」

ノーヴェ「そーだな。じゃ、ミィディア。あんまり思いつめんなよー‼」

ミィディア「おう。ありがとな!ノーヴェ、ブッピラ!」

俺がそう言うとブッピラとノーヴェは消えていった。

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