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天使たちとの共同戦線(十一章、天使憑きの実力)





ヴェッキ「戻った。」


ビランチ「お帰りなさい。どうでした?ミィディアは。」


ヴェッキ「まだ分からん。次行った時に判断だな。」


ビランチ「相変わらず手厳しいですね笑。」


プロイビー「お帰りなさいヴェッキ。」


ヴェッキ「プロイビー。来ていたのか。」


プロイビー「次は私が行くからね。それとさっきビランチが全天使に通達を出したんだけど、これからはビランチを通さずにミィディアに会っていいらしいわよ?」


ヴェッキ「そうか。報告すまんな。」


プロイビー「いえいえ。」


ビランチ「プロイビーが言った通りこれからは各部門の判断でミィディアに会いに行って構いません。」


ヴェッキ「了解した。じゃ、俺はしばらく休む。用があれば意識を送ってくれ。」


ビランチ「分かりました。」


プロイビー「じゃ、私は行くわね。」


ビランチ「はい、いってらっしゃい。」





〜〜〜〜〜





俺は天使の力をどうやって使うか考えていた。


フォルテに会った時に〝イタコみたいに使っていい?〟なんて言ったけど、どうやってイタコみたいに使うかはまだ分かっていない。


それに天使の力を使うのは〝鉄の容器にマグマを注ぐようなもの〟らしい。


この例えを具体的に解説すると普通に考えれば分かると思うが、鉄の容器にマグマを注げばたしかに容器の中にマグマは入れることができるだろう。

一旦は。


しかし次第にマグマを入れた容器はマグマの熱さで溶け形を保てなくなる。


つまり人間の体で天使の力を使うのはそうなることと同義らしい。


天使の力をマグマに人間の体を鉄の容器に置き換えて考えると分かりやすいだろう。


なんと恐ろしい力だろう、天使の力とは・・・。


そんなことを考えていると新たな天使が俺の前に姿を現した・・・。


プロイビー「あなたがミィディア?なんか思ったより平凡そうな顔してるわね笑。私はプロイビーよ。よろしくー。」


ミィディア「(平凡そうって・・・)・・・プロイビーか。よろしく。」


プロイビー「なんかあんまり驚かないじゃない。つまんないの。」


ミィディア「そりゃこれだけ色々な天使がくれば新鮮味も無くなるよ。それに今ちょっと考え事しててな。」


プロイビー「何?考え事って?」


ミィディア「・・・プロイビーの前で言うべきことじゃないかもしれないけど天使の力をどうやって使おうか考えてたんだよ。」


プロイビー「あれ?イタコみたいに使うって言ってたじゃん。」


ミィディア「まぁそうなんだけど・・・ってなんでプロイビーがそれ知ってるの?フォルテ以外誰にも話してないはずなんだけど?」


プロイビー「あーそれはね、私、知天使だから。」


ミィディア「智天使?結構位高いんだね。ってかそれが関係あるの?」


プロイビー「あー違くないけど違うわ。確かに私の階級は智天使だけど私の言う〝知〟は位の〝智〟じゃないのよ。」


ミィディア「どういうこと?」


プロイビー「私は知ることが得意な智天使なの。」


ミィディア「あー‼知天使で智天使ってことか!」


プロイビー「そう言うこと笑。で、天使の力の使い方を考えてたの?」


ミィディア「そうそう。前にフォルテから天使の力を使ってもいいって言われたからどう使おうかと考えてるんだけど・・・イタコみたいに天使を憑依させて使うことってかなり負担が大きいらしいんだ。だからどうすればいいのかなぁって。」


プロイビー「・・・シェンスを呼んで考えてみようよ‼」


ミィディア「え?シェンス呼べるの?」


プロイビー「多分。今なら呼べばすぐ来るんじゃない?」


シェンス「呼ばれてないけどジャジャジャジャーン♪」


プロイビー「・・・近くにいたでしょ?シェンス。」


シェンス「だって退屈なんだもん。話も聞いてたわよ〜?天使の力の使い方に困ってるんだって?一緒に考えたげるわよ〜?」


ミィディア「(ウキウキだな・・・)た、頼むよ。シェンス。」


シェンス「あいよ‼じゃまず、イタコみたいな方法で天使の力を使うってことなら、そのイタコがどういう仕組みで成立してるのかおさらいしないとね。」


ミィディア「(結構真面目に考えてくれるんだ・・・)う、うん。そうだね。」


シェンス「イタコは人間の体で神仏を下ろして成り立つって言う降霊術。これをするのに必要になるのが人間の体。神仏。この二つの存在。この仕組みを借りてあたしたち天使の力を使うならその神仏の部分を私たち天使に置き換えればいいんじゃない?」


ミィディア「そうなんだけど・・・一つ問題があるんだよ。」


プロイビー「天使の力と人間の体のパワーバランスの問題ね。」


ミィディア「そう。天使の力を人間の体で使うのはリスクが高すぎるんだ。」


シェンス「あーはいはい。つまり天使の力をなるべく低リスクで人間の体で使う方法が有れば良いわけね。」


ミィディア「そう、それだよ‼」


シェンス「なら二パターンはあるわよ?」


ミィディア「二パターンも浮かんでるのか‼」


プロイビー「流石、発想の智天使なだけあるわね‼」


シェンス「でしょ〜?もっと褒めて褒めて〜♪」


ミィディア「で、その二パターンとはなんですか?」


シェンス「一つ目が私たちの力をあなたが主導的に使う方法。憑依ね。この方法はあなたが自分の意思で私たち天使の力の割合を決められるから使いすぎてヤバいと思ったらすぐに止めることもできるし、天使の力を最大限使う時もこの憑依だと出来るわ。」


ミィディア「でも憑依したら体にエネルギーが入っちゃって負担がやばいんじゃない?」


プロイビー「それは私たち天使が無闇にあなたにエネルギーを流さなければ良い話よ。元々私たちの意思で使ってるエネルギーだからね。」


ミィディア「そうか・・・!」


シェンス「そう。この方法は積極的に天使の力を使う場合の方法ね。次が最低限、本当に使わなきゃいけない時だけ使うための方法。これが俯瞰。この方法は私たち天使があなたの主導権をある程度縛って使う方法。いつ使うのかとかどれくらいの力加減で使うのかを私たちが指示する方法ね。まずは俯瞰で天使の力の使い方を覚えて貰って慣れてきたら憑依を使い始めるくらいが良いかもね。」


ミィディア「憑依と俯瞰か・・・。」


プロイビー「ねぇ・・・今実際にやってみた方が良くない?」


シェンス「そうね。天界の天使たちにも今後必要になるだろうし。」


ミィディア「で、どうやってやれば良いの?」


シェンス「プロイビー。シェンスの後ろに着いて。」


プロイビー「着いたわよ。」


シェンス「その状態が俯瞰の基本スタンスよ。その状態でプロイビー。力を使ってみてちょ。」


俯瞰プロイビー「じゃあそこにある教科書触って見て?」


ミィディア「・・・こうか?」


教科書を触ると教科書を開かなくても物語の構成や物語を書いたであろう作者の心情が俺の心の中に入ってきた。


ミィディア「・・・‼」


俯瞰プロイビー「どう?これが私が力を使った時の感覚よ?」


ミィディア「これって・・・超能力みたいじゃん!」


俯瞰プロイビー「どうやら成功したみたいね♪」


ミィディア「これってサイコメトリーみたいだな。」


俯瞰プロイビー「それはそうよ。下界にサイコメトリー広めたの私だし。」


ミィディア「そんな凄いことさらっと言うなよ・・・笑。」


シェンス「どう?でけた?」


ミィディア「出来た!出来たよ‼シェンス‼」


シェンス「良かったわね笑。じゃ、次に憑依をやりましょっか。プロイビー。ミィディアの中に入って〜。」


ミィディア(憑依プロイビー)
「入ったわよー。で、ミィディア。さっきみたいに何か触って見てー。」


シェンス「(・・・多分プロイビーが喋ってるんだろうけど傍目から見てると多重人格者みたいで違和感アリアリね・・・笑)プロイビー。憑依してる時は意識チャンネルに切り替えましょうか。これじゃミィディアがヤバいやつに見えるわ笑。」


(憑依プロイビー)「(りょーかーい。)」


シェンス「あと俯瞰の時も意識チャンネルで会話してね。ミィディアが一人で喋るヤバいやつに見られて目立つから笑。」


(憑依プロイビー)「(それもそうだわ笑笑。りょーかーい。)」


シェンス「そしたらミィディアなんか触って見て♪」


ミィディア「分かった。」


俯瞰でやった時みたいに今度は自分が住んでいたマンションの壁を触って見た。


そしたらマンションの中にいる人たちが何をしているのかが頭の中に情景がイメージとして入ってきた。


更に意識する方向や意志の強さを変えると見え方が鮮明になったり見える範囲が広がったりした。


ミィディア「これはすごいな・・・‼」


(憑依プロイビー)「(今ので0.5割だけど疲労度はどう?)」


ミィディア「(ちょっと疲れるけど大丈夫。)」


(憑依プロイビー)「(そうなら良かった笑)もう抜けても良い?」


シェンス「良いわよー笑。で、ミィディアどうだった?今後も出来そう?」


ミィディア「あんまり多用しなければ・・・いけそう!」


シェンス「ならオッケーね♪」


ミィディア「いや〜シェンス、プロイビー本当にありがとう!助かるよ‼」


シェンス「この程度ならお安い御用よ!」


プロイビー「天使を呼ぶなら意識の中で読んでくれればいいから。そろそろ私たちは戻るけど他に何か聞きたいことはある?」


ミィディア「いや今は俯瞰と憑依でいっぱいいっぱいだから大丈夫。」


プロイビー「そう、なら私たちは行くわね。」


そう言うとプロイビーたちは消えていった。



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