天使たちの天界戦線(三章、創造への疑念)
フェア「ん~~・・・暇ですね。」
オルゴ「まあ、しばらくはやることがないからな。」
プロイビー「やれることと言えば、下界の人間観察くらいしかないしね~~。」
フォール「オルゴ。そろそろ交代だ。代われ。」
オルゴ「いや、俺はまだ・・・。」
フォール「いいから代われ。熾天使は開闢からずっと働きづめだ。だから休め。」
オルゴ「・・・なら休ませてもらうが、その前に一つ伝言だ。」
フォール「・・・なんだ?」
オルゴ「イプノの動きに少し注意しておけ。」
フォール「・・・何かあるのか?」
オルゴ「いや、何かあるわけじゃないが、人間を生み出したことに対するイプノの反応が少し気になってな。妙にビランチに食って掛かっていた。ただの俺の勘だ。」
フォール「・・・ただの勘じゃねえだろ。あんたの場合。外したことねえだろ。その勘。」
オルゴ「・・・まあな。だが、俺としてはたまには外したい。・・・とりあえず忠告はした。俺は休む。」
フォール「まて、周知はどうする?」
オルゴ「・・・上天使のみに留めておけ。」
フォール「了解だ。あんたたちの不在は任せろ。いざとなればブッピラもいる。」
オルゴ「それは助かるな。じゃあ、頼んだぞ。」
フォール「ああ。」
フェア「・・・確かに、イプノはいつになく反抗的でしたね。」
フォール「フェア。お前その場にいたのか?」
フェア「いえ、意識だけ集中させていたんですよ。そしたらイプノがビランチに皮肉を結構言ってまして。」
プロイビー「そうそう。しかも今回は結構、真に迫る感じだったわよ?」
ウナ「真に迫る感じ?どんな感じだ?それは。」
プロイビー「なんか“冗談じゃないね。”みたいな、そんな感じ。」
ウナ「イプノにしては珍しいな。いつも飄々としているが。」
プロイビー「そうよねー。それと、これは私の主観と思って聞いてほしいんだけど、いい?」
ブッピラ「なんだ?もったいぶらずに言ってみろ。」
プロイビー「オルゴの伝言の追加する形になるんだけど、私としては、セイも少し気になるのよね。主観が拭えないけど、少しイプノに同調しているように感じた。」
フォール「・・・それはビランチには伝えたか?」
プロイビー「伝えてないけど、察してはいたわ。」
フォール「・・・了解だ。そろそろ仕事に戻ろう。」
フェア「そうですね。これ以上はビランチの判断に任せましょう。」
プロイビー「ま、仕事と言っても、しばらくは静観しているしかないんだけどね~~。」
ヴォルティ「プロイビー。グラントに呼ばれてきたんだけどー。」
プロイビー「あ、ヴォルティ来たわね。」
ヴォルティ「で、お願いって何?」
プロイビー「人間界を栄えさせてきてほしいんだって。」
ヴォルティ「栄えさせるって・・・どんな感じに?」
プロイビー「んー、グラントは“パーっと明るく、優しさも厳しさも共存させる感じで♪”って言っていたけど、分かる?」
ヴォルティ「・・・大丈夫。なんとか伝わるわ・・・。」
プロイビー「心中お察しするわ・・・。まあ、そんな感じだからお願いね。」
ヴォルティ「分かりました。」
フェア「笑笑。グラントらしい伝言でしたね。」
プロイビー「まあ、いつものことよ。」
ウナ「それにしても、今のでよく指示が通るよな。お前たち。」
プロイビー「まあ、グラントのことはほかの天使たちもよく知っているし、第一、大枠がずれなきゃなんでもOK出すからね。」
ブッピラ「そのようだな。なんせ指示出す本人が一番適当ときている。」
プロイビー「けど、その適当さが下位の天使たちには結構居心地がいいみたいよ?」
ブッピラ「だろうな。あいつの指示を受けた天使は基本、自由にしている。」
フェア「・・・案外、上の立場として適切なのかもしれませんね。」
ウナ「俺は勘弁だがな笑。振り回されるのは。」
プロイビー「ま、天使それぞれよね笑。そこは。」
ウナ「そうだな。」
ヴォルティ「戻りましたよ~~。」
プロイビー「あ、お帰り~~。どう?出来た?」
ヴォルティ「グラントがどんなイメージをしていたかは分からないから、お願い通りかは知らないけど・・・一応ね。」
プロイビー「で、何をしたの?」
ヴォルティ「下界の環境が自動的に変化するように少し、大地をいじったり、空間をいじったりしたわ。そうすることで、人間が生きていくのに辛い環境と易い環境がランダムで来るようにしたの。」
プロイビー「なるほど・・・で、パーっと明るくの部分は?」
ヴォルティ「・・・あれじゃ、ダメ?」
プロイビー「・・・いっか‼あれで!」
ヴォルティ「だよね‼じゃ、そういうことだから。じゃあね~~。」
プロイビー「ありがとね~~。」
ブッピラ「・・・おい、いいのか?あれで。」
プロイビー「・・・大丈夫でしょ。多分。」
グラント「戻ったわよ~~♪」
フェア「グラント‼もう大丈夫なんですか?」
グラント「まあ、全快‼ってわけじゃないけど、気がかりなこともあるし、あとはここで、ゆっくり休むわ。」
プロイビー「それって・・・イプノ?」
グラント「まあね。もしもの時に熾天使がいないんじゃ、まずいでしょ?」
プロイビー「・・・まあね。」
グラント「ということで、ビランチたちが戻るまで私がやるから、フェアは休んでいいわよ。」
フェア「分かりました。」
グラント「で、状況はどんな感じ?」
ブッピラ「ヴォルティがあんたの言いつけに従って、下界を栄えさせたこと以外には特に変わりない。」
グラント「具体的には何したとか言ってた?」
ウナ「下界の環境が自動的に変化するように大地や空間をいじったといっていた。そうすることで、人間が生きるのに辛い環境と易い環境がランダムにくるようにしたんだと。」
グラント「あたしの言った通り、優しさと厳しさを共存させてくれたのね♪で、パーっと明るくの部分は?」
プロイビー「・・・あれよ。」
グラント「あれって・・・太陽(天界の核)じゃない⁉」
プロイビー「・・・あれじゃダメ?」
グラント「・・・まあ、条件は満たしてるけど・・・。」
フォール「どうやら、ご納得いただけてないようだな。」
グラント「まあ、いっかぁ・・・。」
プロイビー「・・・ごめんちゃい。」
ウナ「やっぱり通らなかったか。指示。」
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