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同等条件世界{序章、最高神の失態}



「・・・。」

「あらどうしたのですか?」

「あ、あぁ・・・フェア。」

「珍しくボーっとしていましたね。」

「いやちょっとね。」

「ちょっと?」

「ほら彼女たちのことを思い出していて。」

「あ、陰間たちのことですか。」

「そう。久々に顔を見たからちょっとねぇ・・・。」

「分かるわ。私もビュージュの姿をこの時代で見た時妙に感慨深かったもん。」

「彼女たちってあんな感じだったのね。」

「当時はなんて生意気なんだと思いましたが改めてみるとなんか可愛らしいですよね。」

「分かるわぁ。シュンとしてる姿とか見る度になんかそれ以上怒れない感じ。」

「私はなんか安心したな。」

「安心?」

「なんか落ち着くって言うか彼女ならなんとかなりそうな安心感。」

「ビュージュ使役者の中じゃ自立してたからねぇ。」

「やっぱりなんだかんだ言って好きだったんですかね。彼女たちのこと。」

「かもねぇ・・・〝なんか妙に恋しく感じるわぁ・・・。〟」

「おーい。ビランチ!」

「イプノ。どうしたの?」

「ちょっと報告。」

「何かあったの?」

「それがさ、さっき新野と話してたんだけど急に何処か消えちゃったんだよね。」

「何処かって?」

「それが分かんないんだよ。」

「イプノの様子からするに空間移動ではなさそうですね。」

「空間移動ならこの僕が地球内から見失うはずないって。」

「・・・ねぇビランチ。」

「何?」

「もしかしてさ・・・。」

「・・・そんなまさか。だって私力使ってないわよ?」

「今地球内をオルゴとフォールが探し回ってるけど・・・ビランチ。ちょっと視させて。」

「良いわよ。」

「じゃ・・・〝・・・やっぱり神力が変に揺らいでる。〟ビランチ。なんかさっき精神的に揺れることとかあった?」

「精神的に揺れること・・・彼女たちが来た時のことを思い出していたけど・・・。」

「じゃあそれだね。微かだけど神力が変に揺らいでいる。」

「でも力使ってないわよ?」

「無自覚の発動。グラントなら理解できるよね?」

「うん。私とイプノは神力を直接体外に放出するような使い方をするから分かるんだけど神力って実はかなり繊細なの。」

「?」

「例えばグラントが泣いた後は神力が無自覚に体外に放出され周囲の物質に影響を与える。」

「あ、気を抜いた時になるあの音?」

「地上じゃラップ音と言われるやつだ。まさしくそれだ。その理屈で神力が発動したんじゃないのかい?」

「そんな・・・。」

「だとしたら新野たちが飛ばされたのはビュージュたちの時代ってこと?」

「・・・そうなるわね。」

「それはまだ分からないかもよ?」

「何で?」

「だって無自覚の神力放出はかなり少ないじゃないか。もしかしたらそれより後かもしれない。」

「・・・じゃあどうやって探す?」

「・・・僕たちの記憶からアプリオリに探してもらおう。」

「はぁ・・・またなのね・・・。」

「・・・もし飛ばされた時間軸が地球誕生より前なら新野たちはもうお陀仏だ。」

「ちょっ怖いこと言わないでよ・・・。」

「でも陰間より強い使い手の君なら十分考えられる推論だ。」

「まぁそうだけど・・・。」

「とりあえず何人飛ばされたのか。何処に飛ばされたのか。これらを明らかにし早急に連れ戻しましょう。」

「そうだね♪」

「はぁ・・・違う意味でセンチメンタルだわぁ・・・。」


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