天使たちとの能力戦線(十三章、ラスポの諜報術)
ラスポ「ようミィディア。」
ミィディア「・・・どなたでしょうか?」
ラスポ「初めましてだな。俺はラスポだ。よろしく。」
ミィディア「よ、よろしく。」
ラスポ「さて早速だがミィディア。諜報技術に興味はないか?」
ミィディア「・・・諜報技術って?」
ラスポ「間諜・・・つまりスパイ技術だ。」
ミィディア「無くはないけど・・・そういうのって普段使うの?」
ラスポ「まぁ普段効果を発揮することはないな。」
ミィディア「じゃあ別にいいかな。」
ラスポ「しかし有事の際にはとても有用な技術だ。」
ミィディア「有事って要するに戦争になった時とかってことだろ?」
ラスポ「ああ。」
ミィディア「戦争なんてもう起きないだろ。もし起きたとしても俺たちじゃどうしようもないだろ。」
ラスポ「ま、起きてもどうしようもないのは確かに一理あるがもう起きないというのは感心しないな。」
ミィディア「・・・何で?」
ラスポ「地上では生まれてから死ぬまでに必ず一度は疫病や戦争など世界規模の災いを経験すると言われている。」
ミィディア「それならもう経験してるよ。」
ラスポ「疫病の面でか。」
ミィディア「ああ。」
ラスポ「しかしそれがたった一度で済むと思うか?」
ミィディア「え・・・。」
ラスポ「お前なら十分と身に染みて分かっているはずだ。そうした災いが一度起きたからもう安心と考えることが如何に甘く油断した考えであることかを。」
ミィディア「まぁ俺たちより前の世代基準で考えれば恐慌、原爆、疫病と一回どころの騒ぎじゃないからな。」
ラスポ「お前はその世代よりも先の時代を生きていかねばならんのだろう?だったら俺が今から教えようとしている諜報術は役に立つはずだ。」
ミィディア「どういう技術なの?」
ラスポ「目的は単純。ある特定のものの情報の詳細を確かめる為の技術。有事の際の混沌とした状況の中でこそ役に立つ技術だ。」
ミィディア「・・・成程。」
ラスポ「生きている中で数回は訪れると予想出来る最悪な災厄に対抗する為の技術だ。」
ミィディア「なら必要か・・・。」
ラスポ「納得してもらえたか?」
ミィディア「ああ。」
ラスポ「良かった。なら早速教えていくぞ。まずこの諜報の基本は情報収集だ。」
ミィディア「・・・どんな情報を集めればいい?」
ラスポ「オフライン上の情報を時間をかけて集めるんだ。」
ミィディア「オフライン上?オンラインじゃなくてか?」
ラスポ「オフライン上だ。確かに今の時代情報収集と聞けばネットが主だろう。しかし有事の際に降りてくる情報に関しては普段以上に信用ならないということが第一だ。」
ミィディア「普段以上に?何で?」
ラスポ「ミィディア。今地上はどういう風に統制されている?」
ミィディア「・・・どういう風にって国ごとで・・・。」
ラスポ「つまり一部の人間がその他大勢の人間に情報を降ろすトップダウン方式で統制している土地が各地にあるという状況だよな?」
ミィディア「そうだな。」
ラスポ「ここで少し考えてほしいのだがもしミィディアが上の人間だとしたら不都合な情報は下の人間にどのように伝える?」
ミィディア「・・・伝えなくていいなら伝えないな。」
ラスポ「だよな?それか歪曲して都合の悪いことを隠し伝える。結局都合の悪い情報は降ろさないよな?」
ミィディア「ああ。だから普段以上に信用出来ないってことか。」
ラスポ「分かったか?今の話から分かることは下の人間に降りてくる情報は上の者の意図が混じった事実ではない情報が殆どということだ。事実だとしてもそれは知られても核心には何も迫れないその時においては役に立たない事実。だからこそオフライン上から得られる情報というのはとても価値がある。」
ミィディア「・・・成程。」
ラスポ「普段はオフライン上の情報をせっせと集めて世界全体の傾向を何となく把握することに努める。そして定期的にその情報を更新するというのが有事を迎えるにあたっての基本準備なんだ。」
ミィディア「結構時間かかるな。それ。」
ラスポ「時間はかかるがそれを行う中で色々な技術だったり情報のツテが出来てくる。時間がかかるのは最初だけで慣れてくれば情報を集めるのに対して時間は掛からない。」
ミィディア「そうか・・・。」
ラスポ「大切なのはあらゆる場所に実際に赴き自分の目で見ることだ。これは情報だけでなく考えを変えるという面でも大切だ。」
ミィディア「見識が広がるから?」
ラスポ「ああ。あと実際に現地に趣き情報を集める時のやり方だがまずは現地の人間の信用を得ることを第一としろ。」
ミィディア「何で?」
ラスポ「理由は色々とある。まず一つ。人は信用ならない相手に情報はくれない。」
ミィディア「まぁ信用ならない奴に核心的なことは話したいと思わないからな。」
ラスポ「そうだ。人間心理という面で一つ。もう一つが後々のことを考えた時にそこの現地の人間の中で定期的に情報を流してくれる者が現れる可能性があるからだ。」
ミィディア「そしたら信用されてた方が良いな。」
ラスポ「ああ。更にもう一つ。最悪の場合信用されていればいざという時味方になってくれる可能性が高い。」
ミィディア「どういうこと?」
ラスポ「例えばの話をしよう。ミィディア。お前は諜報中にその土地の主に目をつけられてしまった。さてどうする?」
ミィディア「・・・どうしようもなくね?だってそこの主ってことはそこでのルールはその人でしょ?」
ラスポ「まぁそうだがもし信用を得ていればそうでもない。土地によっては民意によってその土地の主を決めているところがある。そうしたところでその土地の民を味方に付けていれば幾分か状況の改善が見込める。」
ミィディア「でもそれで変わる可能性の方が低くね?」
ラスポ「低いのは現実問題としてあるがその土地から逃れるまでの時間稼ぎを行うことも味方に付けていれば可能となる。」
ミィディア「成程・・・。」
ラスポ「そしてその信用を得るやり方だがまずは何でもいいから自然と会話を重ねろ。」
ミィディア「その会話の中で得たい情報を探ればいいのか?」
ラスポ「それは絶対にやるな。」
ミィディア「え、何で?」
ラスポ「出会って間もないころというのは普段の会話と探りの会話の違いが良く出易い。どれくらい出易いのかと言うと素人でもほぼ確実に怪しいと感じる程に出易い。情報収集が下手な奴がやる代表的な失敗でもある。覚えておけ。」
ミィディア「わ、分かった。」
ラスポ「だから最初は得たい情報と関係しないどうでもいい内容を話せる間柄をその土地で増やすことを心がけろ。大丈夫だ。焦らずとも運が良ければこの間柄になる段階で欲しい情報を相手の方から出してくることがままある。」
ミィディア「それってどういうこと?」
ラスポ「“最近○○っていうのがあるらしいんだけど知ってる?”といった知り合い同士で適当に話す際の時事ネタを放り込む感覚で出てくる。こうなれば結構運がいい。」
ミィディア「でもいきなりそう聞かれたらどう切り返せばいいの?」
ラスポ「別に何も着飾らなくていい。こちらが探っている事実のみ伏せ普通に切り返しを行えばいい。しかし下の者に確認したい情報の噂が出てくるというのはその土地全体ではかなり広まっていると考えていい。またその中には下の者でも事実を知る者がちらほらはいる状況だと考えていい。こうなれば核心に迫るのはあと一歩と言う状況だ。」
ミィディア「でも核心に迫れば殺されたりとかしないの?」
ラスポ「下手に動かなければ余程のことが無い限り大丈夫だ。」
ミィディア「でも有事ってだけで余程のことだからその中でも余程かどうかの区別ってどうすればいいの?」
ラスポ「んー・・・例えば上の者の判断力が正常ではないと確認出来た場合だな。」
ミィディア「どうやって確認するの?」
ラスポ「事実から確認する。例えば現地の者も無差別に殺されているとかその現地一帯を焦土と化そうとしているとかもう論理性で動いていないと事実から確認出来る時だな。こういう時はお気持ちがどうだとか心が痛まないのかとか言葉で訴えかけてもどうにもならない。何故なら“お前ら気に入らない!だから殺す!”と決めているからだ。どう訴えかけようがこの決断が実行され尽くして達成されるまで上の者は止まらない。だからこうした時に取れる一番の安全策は現地から離れる・・・だ。」
ミィディア「でも現地の人たちはそれ出来ないじゃん。」
ラスポ「まあな・・・。」
ミィディア「もし現地の人の立場だったらどうすればいいの?」
ラスポ「・・・もし現地の人間だった場合は上の者を如何に騙せるかにかかっているな。」
ミィディア「如何に騙せるか?」
ラスポ「言い換えると如何に決断し実行したことが達成出来た!と思い込ませることが出来るか?ということだ。」
ミィディア「ラスポならどうやって思い込ませる?」
ラスポ「俺なら現地の人を他の土地に散らせてまずは生命の安全を確保させて現地を容赦なく明け渡すな。そしてその後散らした者たちを使って他の土地に助けを求めその他の土地の者たちの力を使って上の者を片付ける。それでその取り戻した現地を他の土地の領土として均等に分ける。」
ミィディア「え、現地無くしちゃうの?」
ラスポ「下手に残すと下界のように植民地になりかねないからな。だったら助けてくれた者の土地としてあげた方が報酬にもなるしウィンウィンだと考えた。」
ミィディア「まぁ属国に自由はないからな・・・。」
ラスポ「これが出来るのは文化という文化が出来ていない小さな土地だけだ。それなりに大きくなればこうは上手くいかない。」
ミィディア「成程。」
ラスポ「じゃ話を戻すぞ?先程まで話をしていたのがかなりスムーズに情報が手に入る場合だ。次だが自然と仲良くなる間柄になったのにも関わらず一切目的の情報が降りてこない場合がある。こうした場合は色々と気を引き締めた方が良い。」
ミィディア「何で?」
ラスポ「まず一つ。そこの土地は情報統制がしっかりとしている為単純に油断ならない。」
ミィディア「はぁ。」
ラスポ「次にそうした土地は下の者と上の者の繋がりが濃く部外者の監視が行き届いている場合が多い。故に少しでも探りを入れただけで上に状況が筒抜けになる場合があるということ。」
ミィディア「・・・それもう手詰まりなんじゃ。」
ラスポ「実際手詰まりだな。大体こうした場合は大人しくその土地を離れるのがセオリーだがどうしてもそうした土地で情報を集めなければいけない時もあるだろう。そうした時の打開策を一つ教えておく。」
ミィディア「・・・それは何?」
ラスポ「それは騒ぎを起こせ。なるべく自分が起こしたと思われないような騒ぎだ。」
ミィディア「・・・何で?」
ラスポ「人間というのは不測の事態に襤褸が出易い。“何か○○って情報を探している奴がいる。”といった情報を流してその後の反応を観察してみろ。それで怪しい行動を起こす奴がいれば後をつけて新たな情報を得るんだ。」
ミィディア「それでも何も変化が無かったら?」
ラスポ「そしたらそこでの諜報は一旦諦めた方が良いかも知れない。それに新たな可能性も出てくる。」
ミィディア「新たな可能性?」
ラスポ「情報がガセという可能性だ。そこまでして何の反応もないのであれば抑々本当に何もないのかもしれない。あったとしてもそれはもう現地で探るといった方法では得られない。だからどっちにしろその場所は後にした方が良い。」
ミィディア「成程な・・・。」
ラスポ「それにその情報は実はそこじゃなくてその隣の土地が発生源だよといったことが意外とよくあるんだ。だから今のような流れを色々な土地で行うのが基本的な流れだな。」
ミィディア「へぇ・・・。」
ラスポ「まぁ時間が無い場合は周辺を探って情報収集というより直接探って色々と工夫をしながらなるべく最短で辿り着くといったことも必要になるがな。」
ミィディア「それって多少のリスクは厭わないって感じ?」
ラスポ「ああ。あともし目的の土地に入る前に部外者の出入りを制限している場合はかなり気を引き締めた方が良い。」
ミィディア「・・・それは最初から目をつけられているから?」
ラスポ「そうだ。だから出入り制限をしている土地は入る前に入れそうかどうか様子を見ることが必要だ。何故なら入れそうだと思って向かいやっぱり入るのが危険だと感じた場合引き返すことが出来ない。」
ミィディア「・・・何で?」
ラスポ「入れなさそうだからやっぱやめるとなると変に印象づいて怪しまれる恐れがある。そして上の者に報告され探っていることを知られてしまう危険がある。」
ミィディア「成程ね・・・。」
ラスポ「最後に潜入する時の心得を幾つか話しておこう。」
ミィディア「頼む。」
ラスポ「まず一つ目。偽名を使うこと。」
ミィディア「偽名を?」
ラスポ「当たり前過ぎると思っただろう。」
ミィディア「まぁ・・・。」
ラスポ「しかしその偽名を使うことがどのように有用なのかは分かっているか?」
ミィディア「それが分かってないんだよな・・・。」
ラスポ「スパイ活動を行う人間が偽っているのをテレビなどで目にして何となくそう思う程度ということか?」
ミィディア「全くもってその通りです。」
ラスポ「ならしっかりと説明していこう。何故偽名を使うのが有用なのか。一つ目がミィディアも知っている通り身分詐称の観点。顔写真でも撮られていない限り名前を偽装するというのは単純ではあるが今でも効果的な痕跡を辿るのを阻害する役割を担っている。」
ミィディア「名前で探すとしても顔が違ったら引っかからないからな。」
ラスポ「そうだ。次に有用な点が一つ目と近いように感じるが自身又はその周辺に関する情報を相手方に探らせることを阻害する役割もある。諜報を行う上で常に気を付けておかなければならないことの一つとして自身の情報管理が挙げられる。普通に考えれば当然なのだが自分が相手の情報を探ることが出来るということは相手もまた自身の情報を探れるということ。下手を打つと相手の方が自身の情報を探れるということが起こりえてしまう。ミィディア。秘密の扱い方は知っているか?」
ミィディア「まぁある程度は知っているつもりだけど・・・。」
ラスポ「諜報ではその秘密の扱い方も重要となる。現代では如何に煌びやかな私生活を晒し注目を集めるかが重要になっているが諜報においてはその真逆のスタンスが重要になる。如何に慎ましく情報を持っていない一般人かのように振舞い人々の注目から逃れるか。人々の関心の盲点を突けるか。それが諜報には必要不可欠だ。」
ミィディア「・・・そしたら普通に考えて諜報員とかいう人たちって何処に潜んでいるのか分からないよね。」
ラスポ「ああ。まぁまず人がいるところには必ずその目線があるという風に考えておいた方が良いな。」
ミィディア「監視カメラより厳重じゃん・・・。」
ラスポ「そして重要人物は既に一通り調べ上げられ弱みを握られていると思った方が良いな。」
ミィディア「何で?」
ラスポ「考えてもみろ。彼ら彼女らは一般の人々が365日働いている中ずっと諜報に時間を割いているんだぞ?単純な労働量の違いだ。」
ミィディア「あ~~あ。可哀そうに。」
ラスポ「ま、ミィディアは気楽なもんか。」
ミィディア「ええ。何せ下級国民ですから。」
ラスポ「まぁ上の者でもその国自体に情報管理能力が無い場合や抑々その国に価値が無い場合は諜報などされないがな。」
ミィディア「でも何か諜報とか聞くと陰謀論とか語ってる人と同じくらいやばい目で見られるよな。」
ラスポ「そりゃ平和と思い込んでいる下の者にとっては別世界のお話だからな。」
ミィディア「そうだよな。それにそれが真実だと知ってもどうしようもないし自分の生活に関係ない人が殆どだからな。」
ラスポ「ま、そのままで天寿を全う出来るなら文字どおり幸せだと俺は思うがな。」
ミィディア「だな。」
ラスポ「次は諜報がばれた場合の心得だ。いいか。諜報がばれた場合は逃走を第一として行動しろ。」
ミィディア「でも逃げ切ることが出来なかったら?」
ラスポ「それでも逃走を第一に行動するんだ。」
ミィディア「でも捕まったりすることもあるじゃん。」
ラスポ「それでも逃走を第一に行動だ。一度や二度捕まったとしても隙を見て逃走しろ。手錠を解いてからとかそんなことは考えるな。手錠がかかったまま逃走しろ。」
ミィディア「でも殺されそうになったら?」
ラスポ「殺されるまで逃げることを考えろ。」
ミィディア「・・・。」
ラスポ「分かる。分かるよ。そんなの想像したくないことくらいはな。しかしこれがばれた時に必要になる考え方だ。何としても逃げ切ることだけ考える。これに尽きる。」
ミィディア「・・・成程。」
ラスポ「ここで少しでも逃走成功の確率を高める為の準備として二つ紹介しておくことがある。」
ミィディア「それは何?」
ラスポ「一つ目。逃走経路は最低三パターン用意しておくこと。何故なら一つだけだと相手に先回りして抑えられたり敵方が偶々運良くその経路に現れるといったことを避ける為だ。」
ミィディア「そんな敵の偶々で死んだら死んでも死にきれないな。」
ラスポ「しかし複数の経路があればそれは起こりえない。」
ミィディア「でもさ、その逃走経路ってどうやって考えればいいの?」
ラスポ「三パターンの内二パターンは簡単だ。まず一つ。最短ルート。」
ミィディア「でもそれは抑えられる可能性が高くない?」
ラスポ「ああ。」
ミィディア「じゃあ態々パターンに入れない方が良くない?」
ラスポ「いや入れる意味はあるぞ?」
ミィディア「何で?」
ラスポ「敵が何処を抑えてくるか予想出来る。」
ミィディア「あ、成程。」
ラスポ「最短ルートを予想し相手が何処を封じるか予想する。次がその最短ルートの次に最短で逃走出来るルート。」
ミィディア「それで逃げればいいの?」
ラスポ「違う。それも相手によっては封じる。よって逃走に使う本命ルートはその二パターンの中で一度も使わない最長ルートだ。」
ミィディア「え?早く逃げなきゃいけないのに?」
ラスポ「違うぞミィディア。ばれたとしても早く逃げる必要はないんだ。逃げるのに必要なのは確実性だ。如何に確実に逃げ切るか。相手は最短、準最短ルートに人員を割く。その隙に確実なルートで逃げることで安全に脱出が出来るのだ。」
ミィディア「でもさ、既に追われている場合は如何したらいいの?」
ラスポ「そしたら一旦身を隠して逃走が完了したと思わせる。それで相手がその場から離れた頃を見計らって反対方向に逃げ切ればいい。」
ミィディア「・・・確かにその方法なら逃げ切れるかも・・・。」
ラスポ「仮にこれらの作戦を読めたとしてもどのタイミングでどの作戦をこちらが実行しているかは特定出来ない。」
ミィディア「確かに。」
ラスポ「あと逃走先の安住地も複数用意しておくことをお勧めする。」
ミィディア「・・・それって一つばれてもあと二つあれば大した損害が無いから?」
ラスポ「それもあるが自身がいる以外の場所に襲撃されればその襲撃地に移動すれば探される心配がなくなるということもある。」
ミィディア「・・・何で?普通に危なくない?」
ラスポ「相手が超複数といった物量を生かせる軍であれば駐屯兵がいて無理だろうがそれ以外であれば一度襲撃された場所程安全な場所はない。何故なら一度いないと分かった場所を改めて探すといった行為を人間はまずしない。それをするなら探せる場所をある程度襲撃した後だ。まぁその時は一番新しく襲撃された場所に移動すれば事足りるだろうがな。」
ミィディア「成程な・・・。」
ラスポ「ま、更に備えるなら安住地にいる間は痕跡をなるべく消すことを意識することぐらいだな。」
ミィディア「・・・そこにいたと知られない為?」
ラスポ「そうだ。そこにいたと知られれば捜索は続行されてしまうだろう。まぁそんな用心深い相手は国といった組織ぐらいだろうがな。」
ミィディア「国と敵対なんて・・・それは流石にないかな笑。」
ラスポ「だろうな笑。じゃこれで俺の諜報術は終わりだ。最後に何かあるか?」
ミィディア「いや大丈夫だ。」
ラスポ「そうか。じゃ頑張れよ。」
そういうとラスポは消えていった。
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