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天使たちとの共同戦線(十二章、天使の剣術)



ヴェッキ「パンピー‼パンピはいるかー?」


パンピ「はーい!なんですか?」


ヴェッキ「今からミィディアに会ってこい。お前の剣術を教えてくるんだ。」


パンピ「・・・良いんですか?下界の者に天界の技術を教えるなんて。」


ウナ「まぁスレスレだが問題はないだろう。」


イアス「だな!ってか教えてすぐに使える技術じゃねーし。それでもし使えたとしてもそれはミィディア自身の秀でた部分として喜ばしいことだからな。」


ウナ「まぁ使い方を誤れば死んでもらうだけだからな。」


ヴェッキ「その心配も今のところは見られない。よってミィディアに剣術を教えてこい。いいな?」


パンピ「了解しました。」


〜〜〜〜〜






俺は天使の力を始めて使ってその凄さを実感した。


一割に満たないにも関わらず天使の力は並みの人間には出来ないことができるのだ。


プロイビーの力を使った際は超能力が使えた。


憑依させる天使を変えればサイコメトリー以外の力が使えるのではないか?


そんなことを考えていると新たな天使が俺の前に現れた・・・。


パンピ「よ!ミィディア‼調子はどうだ?」


ミィディア「調子はまあまあかな。それより誰?」


パンピ「俺はヴェッキに遣わされたパンピだ。よろしくな‼」


ミィディア「ヴェッキに?よろしくな。」


パンピ「今日は俺の剣を教えてくるように言われてきた。」


ミィディア「パンピの剣を?俺に?」


パンピ「そうだ。」


ミィディア「どんな剣なんだ?」


パンピ「どんな剣ってそうだな・・・一言で言うなら相手を制する剣だな。」


ミィディア「相手を制する剣?」


パンピ「そう。下界じゃ活人剣なんて言葉があるがそれがそうだな。剣道とも言うんだっけか?」


ミィディア「剣道なら昔やってたけどあれって強いのか?剣術の方が強い気がするんだけど・・・。」


パンピ「確かに派手さや表面的な魅力ではそう見えるかもしれないだろうな。だけど技術面だと剣術より剣道の方がずっと難しいんだ。」


ミィディア「・・・なんで?」


パンピ「まず一つめが剣を振るう時の目的の違いにあるな。剣術は相手を殺す為に剣を振るうだろ?」


ミィディア「それはそうだろ。自分の命を狙われてるわけだし。」


パンピ「まあな。殺すために剣を振るうってことは極端な話力加減ができなくても剣術はある程度使えるってわけだ。だが剣道は相手を制する為・・・つまり相手を行動不能にすることを目的として剣を振るう。ここが大きな違いだな。」


ミィディア「成程。相手を殺さないように剣を振るうから剣道は剣術より難しいんだな。」


パンピ「その通り。だから剣術と剣道では技のバリエーションもその目的によって異なる。剣術は殺すための技だからどこに剣を当てても良い。逆に言うと一太刀も浴びることはできない。だから剣術を習う時はまず相手の剣筋を全て読み避ける練習をさせられるんだ。」


ミィディア「剣道だと避けたら戦う意志がないってみなされるけどな。」


パンピ「そこもおかしいんだよな。まぁ人間界の剣道はスポーツになっちまったから仕方ないんだろうけど・・・本来攻撃は避けれるものは避けてどうしても避けれない攻撃だけ流しか相殺で受けるもんなんだ。」


ミィディア「流しと相殺って防御の為の技術なんだな。」


パンピ「そうだよ。でも守り方を先に教えるのは戦いの基本だ。そもそも戦いなんていうのはどちらかが仕掛けなければ起きないだろ?攻撃にうつるのはまず自分の身の安全を保証してからだ。」


ミィディア「おっしゃる通りです。」


パンピ「で、ここからが本題なんだが以前ミィディアはヴェッキから戦いの基本を教わっただろ?」


ミィディア「うん。」


パンピ「今回はさらに詳しく攻めの基本。制する為の基本を俺が教えにきた‼」


ミィディア「それは助かるよ!前回は戦いの立ち回り方だったから詳しい攻め方はイマイチ分からなかったから。」


パンピ「そうか。じゃ一つ目。相手の力加減を見極めろ。」


ミィディア「力加減?何で?」


パンピ「相手の剣の力を相殺する為さ。相殺のメリットは守りだけじゃない。上手くいけば相手の手を痺れさせて、剣をはじき飛ばすことができる。」


ミィディア「そうなのか!でも上手くいかなかったら?」


パンピ「その時の二つ目。剣に自分の体重をのせろ。」

ミィディア「どういうこと?」


パンピ「ミィディアは剣道をやっていた時どうやって剣を振ってた?」


ミィディア「・・・どうやって振ってたか・・・正直あんまり覚えてないな・・・でも剣道をやめた後漫画で剣は体で振るようにって書かれてたのを見たことあるけど・・・それもイマイチ分からなくて・・・。」


パンピ「まぁ一度でわかったら苦労はしないよな・・・二つ目はそれをもう少し分かり易く表現した言葉なんだ。」


ミィディア「分かりやすくって・・・まだ分かりにくいんだけど。」


パンピ「今から説明するよ。いいか?体重をのせろっていうのは戦う時の自身の移動スピードだったり落下力を剣の力に上乗せしろってことだ。これができれば剣に重みが増すから。」

ミィディア「あー成程。踏み込みのタイミングと剣を当てる時のタイミングを合わせろって剣道で教わったのにはそういう意味があったのね。」


パンピ「そうそう。まぁ完全に実現するのは難しいだろうがな。」


ミィディア「なんで?」


パンピ「皮肉な話なんだが剣道を極めるには剣術が必要不可欠なんだ。」


ミィディア「・・・?」


パンピ「今の剣道に足りない部分を剣術が持っているんだ。いきなり殺さないで相手を制する剣を身につけるなんて土台無理な話なんだ。一度は殺す気で剣を振るった者にしか分からない感覚が剣には必要だ。」


ミィディア「・・・確かにスポーツで竹刀を振ってるだけじゃ剣を持つ人の気持ちは分からないよな。」


パンピ「そうだ。戦国時代は生きるために殺してたんだ。だけど誰も好き好んで他人を殺したりしないよな。自分が死にたくないから・・・殺さないと殺されるから・・・。そんな葛藤を抱えて剣を振った経験を持つ者とスポーツで持ってる奴とじゃやっぱり重みが違うってことさ。」


ミィディア「意識の・・・差か・・・。」


パンピ「だな。戦いの時心は剣に現れる。心の強い者が最終的に戦いに勝つ。」


ミィディア「それは俺もそう思うよ。」


パンピ「その思い・・・忘れるなよ。」


ミィディア「ああ‼」


パンピ「さて俺の戦い方は全部教えたつもりだ。ここから先はミィディア自身が自分の剣を極めていけ。色々経験を積んでな。」


ミィディア「ああ・・・‼」


パンピ「良い技は使い慣れてからが真価を発揮する。俺はもう上に戻るけど何か聞き忘れたこととかはないか?」


ミィディア「いや無い!それと話せてよかったよ。」


パンピ「そうか。俺も話せて楽しかったぜ!」


そう言うとパンピは姿を消した。

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