同等条件世界{一章、もう一度、知り会えるのならば}
「ともー!次はどこ行くのー!」
「そうだね・・・次は何処にいこうか。」
今、俺と晴天丸は如月復興の為、旅をしている。
・・・いや、逃げている。
旅をしていると言えば聞こえはいいが、俺はあの日からずっと逃げている。
あの終焉の日から色んな人に助けてもらい、状況は一応落ち着きはしたが気持ちの整理は全くできていなかった。
復興の為と各地を巡り、あの地に戻らない口実にしている。
現状、今自分が何処に向かっているのか、これから何をしていけばいいのか分からない。
晴天丸の為にも何か目指すべき道を見つけなければ・・・と考えれば考えるほど辛くなる。
そんな時、ある噂が人伝から聞こえてきた。
「おい、如月一族の生き残りがいるってマジかよ?」
「(・・・⁉)」
「マジらしいぜ?何でも若い男女が滅亡の地で食べ物を貰い歩いてるらしいからな。」
「(若い男女の如月・・・。)」
俺はこの話を聞いた時、口が勝手に動いていた。
「・・・帰ろうか。」
「かえる?」
「うん。家に帰ろう。」
~~~~~
「・・・何処ここ?」
「・・・分かんない。」
「何なんだよ・・・あともう少しで全クリ出来たのに。」
「千・・・あんたゲームやってたの?」
「そうだよ・・・早姉たちは?」
「帰ってたんだけど・・・ってかこれって、もしかしてあれ?」
「あれって?」
「タイムスリップ的なやつ?」
「・・・なんじゃない?」
「そんなことより、俺靴が欲しいよ。」
「そっか汗。あんた靴下だもんね。」
「うん。」
ということで私たちはまず千の履物を恵んでもらうことにした。
~~~~~
「あの~。」
「ん?何だい?あんたたち・・・その恰好は?」
「(・・・そっか、何時代かは知らないけど、ここの人たちってみんな着物だもんね。)」
「恰好とかはどうでもいいんで、くつもらえませんか?」
「くつ?」
「はきものです!」
「はきものなら・・・って、なんであんた足袋しかはいてないんだい?」
「えっと・・・それは・・・。」
「それに何者だい?あんたたち?」
「・・・。」
「名前だよ。何だい?名乗る名前もないのかい?」
「・・・如月千です。」
「如月⁉何だいあんたたち水天さんとこの子たちかい!あぁ・・・だから下駄も何もはいてなかったんだね・・・。いいよ、そういう事なら持ってきな!」
「え?あ、ありがとう御座います・・・。」
「にしても・・・良かったのか悪かったのか・・・まぁ、良く生きてたね。」
「(・・・?)」
「じゃ、水天さんによろしくね!」
「え・・・えぇ、あ、はい・・・。」
こうして千は履物をゲットした。
~~~~~
「・・・状況を整理しよう。まず、俺たちは過去にタイムスリップした・・・ってことでいいんだよね?」
「・・・うん。」
「・・・ここって、まず過去だよね?」
「だろうね。みんな着物着てるし、それに建物は全部木造だし。」
「教科書で見たことあるけど、これって全部長屋だよね。」
「長屋?」
「昔の住宅様式のことだよ。お姉ちゃん授業で聞いたことあるでしょ?」
「あ、ああ!そ、そうだね汗。(全然覚えてないや・・・汗。)」
「で、これからどうする?」
「どうするって言っても・・・。」
「水天さんを探さない?」
「?」
「ほら、さっき千のはきものくれたおばちゃんが言ってたじゃん。“水天さんとこの子たちかい”って。」
「そっか。私たちが如月って名乗って水天って名前が出るなら十中八九私たちの継承書を書いた水天さんだもんね。」
「でもどうやって探すの?」
「それは・・・三葉!」
「・・・私の空間知で?」
「お願い!」
「それは良いけど・・・お姉ちゃんと千も少しは手伝ってよ?」
「分かってる。」
こうして私たちは如月水天さんを探すこととなった。
~~~~~
「ともー?」
「(・・・水天様。知子さん・・・みんな・・・!)」
「・・・ともー?」
「・・・ん?あ、あぁ!ど、どうしたんだい?」
「こんどはどこにいくのー?」
「今度は、君の生まれた場所に帰るんだよ。」
「うまれたばしょ?」
「おとうさんとおかあさんがいる場所さ。」
「え!おかーさんにあえるの⁉」
「それは・・・うん。会えると思うよ。きっと。」
「やったー!」
「笑。(・・・もしうそだったら・・・でも・・・この目で確認するまでは・・・!)」
~~~~~
「・・・どう?三葉。」
「・・・あのさ、お姉ちゃん。」
「何?」
「ここにきて何だけどさ・・・私たちってそもそも水天さんの顔も性別も知らないよね。」
「そうだね。」
「だから、空間知使っても誰が水天さんなのかそもそも分からなくない?」
「・・・確かに。」
「・・・そっか。知の力って言ってもその力が効果を発揮するのはある程度事前情報が無いとだよね。」
「そうだよ。人なら誰か?性別は男か女か?場所だって一度見たことがあったり行ったことがあるとかじゃないと探せないよ。」
「・・・今思うと未知子さんたちが俺たちの時代で経験した苦労が良く分かるよ。」
「・・・どうしよっか?」
「・・・とりあえず、未知子さんたちと同じ手を使おうと思ったけど、この時代の地理なんて全然分かんないよな・・・。」
「・・・ねぇ。同じ手でふと思ったんだけど、この時代に来てるのって私たちだけなのかな?」
「・・・分かんない。それに、同じ手を使って仮に知り合いの家にたどり着けたとしても、私たちが未知子さんたちみたいに安心できるかは別問題じゃない?」
「どういうこと?」
「この時代って多分戦乱期だよね。そしたら、見ず知らずの人間が不用意に他人の家に行くのって結構リスクだと思うんだけど。」
「・・・確かに。」
「でもさ、今俺たちが出来ることって風太さんたちの家を探して向かうことしか出来なくない?」
「それも・・・そうなんだよね。」
「・・・とりあえず、この世界の地図を手に入れない?どうせ何をするにも今後しばらくは必要になるし。」
「そうだね。じゃ、まずは地図を——。」
「動かないで♪」
「・・・!」
「最近、この地で如月の名前を語る男女がうろついているって噂があってねぇ。」
「よりによってこの土地でそんな噂を立てるなんて、不謹慎にもほどがあるぜ。」
「私たちのお膝元でその名を語るなんて、どんな命知らずかと思ったけど、まだ若いわねぇ。」
「ってことで、一緒に来てもらおうか。お嬢ちゃんたち。」
私たちは、黒髪の女性と男性に脅されながら急遽連れていかれることになった。
~~~~~
「お前ら、その名前がどういう意味を持つか分かってんのか?」
「どういう意味・・・とは?」
「・・・ふぅ。やっぱ、名前の力に肖りたいだけの奴らか。」
「肖るって・・・肖るも何も如月という名前は私たちの名前の一部です。」
「それはありえないのよ。」
「何故そんなことが言えるんですか?」
「何故って・・・困ったおのぼりさんね。」
~~~~~
「じゃあ早速、何故如月の名前を騙ったのか教えてもらいましょうか。」
「ですから、私たちは本当に如月なんですよ!」
「だから、そんなはずはないと言っているはずよ。」
そういうと、黒髪の女性の周りに砂が漂い始めた。
「・・・その砂!」
「あら、私たちのことは知っているのね。」
「(・・・ってことはここは迦流美神社だ!)」
「どう?話す気になった?」
「・・・聞きたいことがあります。」
「何だ?」
「さっき、あなたは私たちが如月だということはありえないと言っていましたが、それはどういった理由からですか?」
「・・・その一族は少し前に滅亡してるからだよ。」
「え・・・(どういうこと?じゃあ、何で私たちは・・・。)」
「じゃ、じゃあ、水天さんも・・・?」
「水天さん?(何故、智之さんに聞くまで私たちですら知りえなかった如月一族の頭目の名をこの子たちが・・・。)」
「・・・よく調べてるじゃねぇか。」
「待ちな坦坑。・・・あなたたち。本当に如月一族なのかしら?」
「はい!そうです!」
「・・・そしたら、力の特徴を其々話して頂戴。自己紹介も兼ねてね。」
「分かりました。まず私は如月早苗と言います。」
「年は?」
「17歳です。そして私は接触知が使えます。」
「接触知・・・未来と過去が視える知ね。」
「はい。」
「(智之さんの説明と然程違いはないわね・・・)次、お願いできるかしら?」
「はい。私は如月三葉と言います。年は16歳です。」
「16・・・見たところお前たち三人兄弟か?」
「(・・・ピストアさんより見た目は若いけど、威圧感が凄い。)はい。そして、私は空間知と接触知が使えます。」
「・・・そう。じゃあ次、お願いできるかしら?」
「はい。俺は如月千。14歳です。」
「・・・で、力は?」
「感情知が使えます。」
「(力の呼称も一致している・・・。)なるほど。出自は分からないけど、どうやら如月一族なのは間違いないようね。」
「そしたら・・・!」
「信じてあげる。・・・全面的にではないけどね。」
「やった!」
「母さん本気か?」
「・・・正直これっぽっちも信じられないけど、あんたも聞いたでしょ?この子たちの説明。あれは何をどうしても繕えるものじゃないわ。」
「・・・まぁ、俺たちですら知りえなかった情報をペラペラ話してたしな。」
「そういうこと。こちらの認識がどうであれ、事実は事実よ。」
「・・・分かったよ。とりあえずは見逃してやる。」
「(見逃してやるって・・・)あ、ありがとう御座います汗。」
「あの!」
「ん?何?」
「今度はこちらから質問していいですか?」
「いいけど・・・答えられるかは質問次第よ?」
「分かっています。」
「・・・何が聞きたいんだ?」
「如月一族の滅亡についてです。」
「・・・滅亡の何が知りたいの?」
「・・・下手にごまかしても仕方がないので、率直に言います。如月一族が滅亡したって、嘘ですよね?」
「・・・何を根拠に?」
「私たちの存在です。」
「それは・・・頓智か何かかしら?」
「いえ、至って真面目な回答です。」
「それは・・・お前らも如月だから滅亡してないって理屈以外にちゃんとした理由があるってことか?」
「はい。」
「どんな理由かしら?」
「とても簡単な例え話ですが、貴方達城堂家は今存続していますか?滅亡していますか?」
「そんなの俺たちをみりゃ分かんだろ。」
「ですよね。私たちが如月一族滅亡を嘘だと思っている理由もそれと同じです。」
「(・・・どういうこと?私たちが存続しているから、如月一族も滅亡していないって・・・実は智之さん以外に本家から生き延びた人々が自分達ですってこと・・・?)」
「三姉。多分伝わってないよ。」
「え、嘘。」
「・・・ですよね?」
「・・・えぇ。とても凄んでいたけど、ちょっとピンとこなかったわ。」
「そんなぁ・・・。」
「笑。・・・で、結局三葉たちは何が言いたかったんだ?」
「俺たちは未来人だってことです。」
「ちょっ!千!」
「・・・未来人?」
「もっと正確に言うと俺たちはこの時代の人間ではないんです。」
「・・・は、はぁ・・・。」
「・・・あれ?」
「・・・つまり、あなたたちは未来の時代の如月一族ってこと?」
「そう!そうです!」
「・・・なるほど。自分たちの存在が滅亡していない証拠ってのはそういう事か。」
「あぁ、なるほど。やっと分かったわ。確かにそれはこれ以上ない証拠よね。子孫が生きているのに、血が途絶えているなんて矛盾が過ぎるものね笑。」
「ええ。もし本当に如月一族が滅亡しているなら俺たちは生まれていないんです。だから、嘘だと・・・。」
「・・・ま、生きているわよ。」
「やっぱり・・・。」
「どこにいるかは、分からないけどね・・・。」
「・・・そうなんですか。」
「それより、あなたたちのことを聞いてもいいですか?」
「良いわよ。坦坑あなたは?」
「俺もいいぜ。思ったより悪い奴らじゃなさそうだ。」
「じゃあ早速。私たちは未来から来たのでこの時代のことは分かりません。なのでそのあたりも含めて色々と話して頂きたいです。」
「色々・・・ねぇ。」
「どっから話すか?」
「まずは・・・私たちのことからにしましょうか。とりあえず紹介が遅れたけど私は城堂塵鳳。そしてこの子が私の息子の坦坑よ。まぁ、私たちの力を見て反応したのを見るに、城堂家は未来にもあるのかしら?」
「ありますよ。五神家として世界に知られています。」
「そう。なら話が早いわ。私たちはその一角を担う城堂家。その他にも建侯家、毘之家、檜河家、須羽家があるのだけれどその五つの家はつい最近まで殺し合いをしていたわ。」
「え・・・殺し合い?」
「ええ。けど、あることがあってね。最近ようやくそれを辞めたところなの。」
「ま、城堂家にしても建侯家にしても俺たちだけじゃねーからそのうちの一家が辞めたからって何が変わるんだって話だが、辞めねーと始まらねぇからな。とりあえず辞めたってとこよ。」
「でも、私たちは其々の一族の筆頭家族だから、他家族に示すには十分とは言えなくても徐々に効果は出てくると思うわ。」
「(・・・来た時から気になってたけど、坦坑さんの父親がいないのはそういう・・・。)」
「ま、そういうわけでその五つの一族は最近まで血で血を洗うような殺し合いをしていたわ。」
「次が、早苗たちの如月一族だが、この一族は表の世界では一般の料亭兼旅館屋で知られていた。」
「そして裏では“如月に知らぬものなし”と呼ばれるほど堅牢な城塞と情報の機密性を誇る預言者集団として知られていたわ。」
「ま、俺たちも表だと神社の神主一族として猫被ってるからそこは大差ないな。」
「詳細な人数までは分からなかったけど、恐らく200人は超えるほど大規模な集団だったわ。」
「200人も・・・。」
「大凡だけどね。あなたたちの時代は何人いるのか知らないけど。ま、そんな感じで圧倒的な権威を誇ってた如月だけど、ある出来事を理由に壊滅的被害を被ってしまってね。」
「・・・その出来事ってなんですか?」
「宙に浮く女の破壊騒動。」
「如月一族は一人の女の手によって壊滅的被害を被ったんだ。」
「・・・何でそんな目に。」
「理由は単純。・・・邪魔だったから。」
「・・・?」
「・・・子孫のあなたたちに話すのはとても心苦しいのだけれどこの時代はそういったことで簡単に人を殺すの。如月一族は時の権力者たちに予言を与えていた集団だった。これがどういうことか分かる?」
「・・・分からないです。」
「時代の敗者と勝者を作るってことだ。そしてそれはとても危険なことだ。それは何故か。勝者にとって如月一族は様々な恩恵を与える神様のような存在に見えるだろう。しかし、敗者から見れば邪魔者に与する祟り神のような存在にしか見えないだろう。ということは敵対視されるのは必定。」
「そういった敗者からの闇討ちをお得意の予知の力で今までは排除してきたみたいだったけど、敗者は遂に切ってはいけない手札を切ってしまったの。」
「それが・・・宙に浮く女ですか?」
「そう。後から調べて分かったけど、その女の名前はツィオ・ボンディーレ。人間爆撃機と呼ばれる超能力者。西の大陸では世界で五本の指に入る程の実力者の一人。」
「(超能力者って・・・)それって、念力とかですか?」
「ねんりき?」
「あ、えっと・・・。」
「ねんりきってのは知らねえが、目に見えない空気の塊を手で押し出して建物を破壊するらしい。」
「(やっぱり!)・・・そうなんですね。」
「とにかく、如月一族はついていない出来事が重なっていたわ。壊滅的被害の直前には同じ一族内で裏切者が出ていたし。」
「裏切者ですか?」
「ええ。どうやら、本家を裏切って敵対勢力に与していたみたい。」
「ま、そいつは因果応報というのか他の敵対勢力に本家と勘違いされて、敵対勢力と一緒に殺されちまったみてーだがな。」
「そうなんですか・・・。」
「ちなみに、その裏切者の勢力を潰したのも一人の人間よ。」
「え、また宙に浮く女ですか?」
「違うわ。けどその人物も五本の指に入る程の実力者の一人で、名前はスパード・ヴィータ。22という若さで剣帝と呼ばれているわ。」
「そいつは一晩で100人あまりを刺殺したらしい。」
「・・・物騒過ぎる。」
「笑。ごめんねぇ。過去が物騒で。」
「ま、早苗たちの身は安全だから心配すんな!」
「なんたって私たちが近くにいるんだもの♪」
「は、はい・・・汗。」
「じゃあ、続きね。あとは・・・何があるかしらねぇ?」
「あとはあれじゃねえか?指名手配の・・・。」
「あぁ、クルデーレね。」
「?」
「この世界に生きている人ならね、表も裏も関係なく誰でも知っている名前があるの。その名前がクルデーレ。」
「今よりも20年以上昔。今より争いが激しかった時代からの唯一の生き残りで表では革命の英雄。裏では忌むべき平和の象徴として各国から指名手配されている人がいるんだ。」
「この時代より争いが激しいって・・・どういうことですか?」
「今でこそ一族単位の争いに収まってはいるけど、私が子供の頃は国が連合を組み合って争っていたのよ。まぁ、実際収まったというより組めるほどの国が残っていないのが現状なのだけれど。」
「その国同士の争いで決って駆り出される実力者たちがいたらしいんだ。」
「それが彼女たちの一族。目に見えない力によって1000以上の兵士と互角に渡り合えるほどの力を一人一人備えている一族で、中でも彼女は齢10歳前後で戦場を支配していたと聞くわ。」
「幼少の頃から戦場に身を置き、しかも五体満足でこの時代まで生きている。これだけで圧倒的だ。」
「確か、目に見えない力を使うのは彼女の一族の他に二つくらいあったはずなのだけれど・・・いつの間にか見なくなったのよね。」
「昔は俺たちの一族も駆り出されたんだろ?」
「ええ。東代表として幾度となくね。私のおじいさまもよく怪我をして帰って来ていたし。」
「そうなのか。」
「・・・ま、こんなところかしらね。」
「どうだ?参考になったか?」
「はい!とても!」
「そりゃ、良かった。」
「じゃあ、時間も良いしそろそろ夕食にしましょうかね。」
こうして私たちは塵鳳さんたちの家で夕食を食べ一晩を共にした。
~~~~~
「じゃあ、お留守番お願いね♪」
「はい!」
塵鳳さんたちは昼食の買い出しへと向かった。
「にしても、凄い時代だね・・・。」
「・・・だね。」
「風太さんたちの五神家はつい最近まで殺し合いをしていて、俺たちの一族は約200人の大所帯。」
「それが、ツィオ・ボンディーレとかいう超能力者に壊滅させられていたなんてね・・・。」
「道理で、俺に履き物をくれたおばさんが嬉しそうに涙目だったわけだ。」
「そりゃ嬉しいでしょ。死んだと思っていた知り合いが生きているって分かったら。」
「・・・なんか悪いことしちゃったな。」
「そうだね・・・。」
「・・・坦坑さんの父親の姿が見えないのも、そういう事なんだよね。」
「・・・そうなんじゃない?殺し合いをしていたって言ってたから。」
「あれだけ凄そうな人たちが死んじゃうような戦いってどんな戦いなんだろうね。」
「それは分かんないよ。塵鳳さんは勿論、その子供の坦坑さんですら佇まいが尋常じゃなかったもん。」
「多分、ピストアさんより若いよね。あの人。」
「うん。でもあたしたちの時代にあんな威圧感のある人いなかったよ。」
「・・・それよりさ、ツィオ・ボンディーレとかクルデーレって何者なんだろうね?」
「・・・多分だけど、俺たちの能力者仲間のご先祖様か何かなんじゃない?」
「となると・・・龍一とかニーレイのご先祖様かな?」
「そうなんじゃない?私は龍一さんたちの力あまり詳しく知らないから分からないけど。」
「・・・とりあえず、これから俺たちはもっと情報を集めないといけないってことなんじゃない?」
「かもね・・・それじゃ——。」
「塵鳳殿!」
~~~~~
「塵鳳殿!」
「あ、えっと・・・。」
「あ、す、済まない汗。急に開けて驚かせてしまって汗。」
「い、いえ汗。」
「失礼だが、君たちは塵鳳殿の知り合いか?」
「いえ、知り合いって程じゃ・・・。」
「つい最近会って・・・。」
「そ、そうか汗。」
「あの、それで・・・あなたは誰ですか?」
「あ、私か?私は智之という。君たちは?」
「私は如月早苗です。」
「如月・・・⁉」
「・・・え?」
「・・・君たち。それは一体どういう事だい?」
「(え・・・なんか怒っている?)どういう事って・・・。」
「その・・・その名前は・・・。」
「智之さん?」
「・・・塵鳳殿⁉」
~~~~~
「塵鳳殿。これは一体どういう事なんですか⁉」
「落ち着いて智之さん。彼女たちは間違いなく如月一族なのよ。」
「そんなはずはありません!如月一族は・・・水天様は・・・みんなは確かにこの地で・・・!」
「・・・けど、本当なのよ。」
「いくら塵鳳殿の言う事でも、信じられません!私は水天様の側近!一族の皆の顔は忘れません!ですが、彼女たちは見たことが無い!」
「それはそうだわ。・・・何故なら、彼女たちはこれから先の時代で生まれる如月なのだから。」
「これから先の時代で生まれる如月・・・⁉何を訳のわからないことを・・・。」
「・・・智之さん。嘘みてーな話だがここは信じてくれねーか?」
「坦坑君まで・・・!」
「最初は俺たちだって胡散臭いと思ったさ。けどよ、色々と尋問していくうちに嘘じゃ取り繕えねぇ事実を早苗たちが話し始めたんだ。」
「・・・それは何かな?」
「力の詳細よ。彼女たちは私たちが話す前に自分から空間知や接触知について語り始めたの。」
「この如月一族の力の詳細は俺と母さん。それと如月一族の智之さんしか知らねえはずだよな?」
「・・・確かに。如月一族の予知の力は裏の世界では知られ過ぎている。しかしその詳細は一族の者でしか知りえない。」
「じゃあ・・・!」
「待ちたまえ。確かに君たちが如月一族のことを良く知っていることは認めよう。だが、本当に如月一族かどうかはまだ確信が持てない。」
「・・・ではどうすれば信じて頂けますか?」
「・・・君たちが本当に如月一族というならば、三人もいれば一人は力が使えるだろう?例え今より血が薄くなっていようとも。」
「智之さん。それは・・・。」
「・・・自分でも意地の悪いことをしていることは重々分かっています。ですが、私は彼女たちの力を確認しなければどうしても気持ちの収まりがつきそうにないのです。あの日から私の時間は止まってしまった。そこに遠くの地まで届く如月の名を持つ男女の噂。私はもう一度会えると思ってしまった。しかし、今その気持ちが故意ではないとはいえ踏みにじられた。」
「智之さん・・・。」
「(・・・なんだろう。この気持ち。今私たちはとても理不尽なことを言われているけれど、そんなものがどうでもいいと思えるほどにこの人の置かれた状況に何とか出来ないかと感じる自分がいる。)」
「如月一族は全員が全員発現出来ないことは分かっている。だから一人でもいい。知の力を見せてくれ。」
「・・・分かりました。」
「三葉・・・!」
「お姉ちゃん。ここは私に任せて。」
「でも三姉、どうやって証明するの?」
「千。ここは何処?」
「どこって、迦流美神・・・そうか!」
「そういうこと。智之さん。突然なんですけどここで力を使おうとしたことはありますか?」
「(・・・力を使ったことがあるか?ではなく、使おうとしたことがあるか?か・・・。)あるけど、それが?」
「ここで力は使えない・・・ですよね?」
「・・・君は、空間知持ちかい?」
「はい。」
「・・・ふぅ笑。」
「・・・智之さん?」
「本物だね笑。」
「それじゃあ!」
「ああ。今度こそ認めよう。君たちが如月一族だと。それと同時にお詫びしよう。先程までの無礼と高圧的な態度。申し訳ない。見苦しいところをお見せした。」
「い、いえ・・・!」
「後ろの二人は其々何持ちかな?」
「私は、接触知です。」
「俺は、感情知です。」
「(未覚醒は居ないのか・・・)うん、優秀だね。」
「ともー?」
「あ、ごめんごめん汗。ほったらかしだったね汗。」
「このひとたちだれ?」
「きみのお姉さんとお兄さんだよ。」
「!」
「そうなの?」
「ああ。仲良くするんだよ?晴天丸。」
「わかった!」
「よしよし・・・とみての通り、今如月一族は私とこの晴天丸の二人しかいない。」
「そうなんですね。」
「ああ。では改めて。私は如月智之。空間知と接触知を使う如月に御座います。」
「わ、私は如月早苗。接触知を使う如月です汗。よろしくお願いします!」
「私は如月三葉。私も空間知と接触知を使う如月です。よろしくお願いします。」
「俺は如月千。感情知を使う如月です。よろしくお願いします。」
「よろしくね。そしてこの子は如月晴天丸。今はまだ何の知も使えないがれっきとした如月だ。」
「・・・誰の子なんですか?」
「我が頭目。如月水天の子だ。」
「水天さんの・・・!」
「ん?三葉ちゃん、水天様のこと知っているのかい?」
「はい。と言っても一族内で名前だけですが。」
「?」
「・・・ここで、私たちが未来から来たことも証明できると思います。“如月の探知法”。この題名に心当たりはありますか?」
「それは、確か水天様の書いた・・・!」
「(懐に・・・そうか。昔からの書物がたった一枚だったのって・・・そういう・・・)そうです。その智之さんの持っている紙。私たちの時代では如月一族の力の秘伝書兼継承書として大切に保管されています。」
「そっか・・・。」
「・・・良かったわね。まとまって。」
「あ、塵鳳殿。それに坦坑君。・・・さっきは済まなかった。」
「いいんだよ。俺たちがこの千たちにあった時も似たようなもんだったからよ。」
「それで、これからどうするの?」
「・・・とりあえず、先守様にご紹介しておかないとと考えております。」
「それがいいかもね。彼も生前の如月頭目の関係者なんでしょ?」
「はい。ですので、知られる前に紹介しておかねば、彼女たちの身が危険です。」
「じゃあ、また寂しくなるな。」
「・・・申し訳ないです。こんな厚手がましく。」
「何言ってるのよ笑。私たちの仲じゃない。」
「そう言って頂けると助かります汗。」
「じゃ、早速行く感じ?」
「ええ。早苗ちゃん、三葉ちゃん、千くん。これから水天様のご友人の結野先守という人の所へ行こうと思うのだけれど、一緒に来てもらうことは出来るかな?」
「はい。構いません!」
「では、そういう事ですので、塵鳳殿、坦坑君。これにて失礼させていただきます。」
「ええ。三人とも元気でねぇ。」
「はい!短い間でしたが、お世話になりました!」
こうして私たちは智之さんたちと、結野先守という人の所へ行くこととなった。
~~~~~
「うわぁ・・・でかい!」
「ここが先守様の居る本殿だ。」
私たちは智之さんの知り合いの結野先守という人がいる神社並みに大きい木造の建物へとたどり着いた。
「あなた様は・・・。」
「如月智之です。急な訪問で申しわけありませんが、今頭目様はいらっしゃいますでしょうか?」
「しょ、少々お待ちください汗。」
「(ここ・・・龍一の知り合いの生命さんって人の家に少し似ている気がする。)」
「・・・いるかな。」
「あの!」
「何だい?」
「その、これから会う結野先守って人はどんな方なんですか?」
「んー・・・何ていうのかな・・・一言でいえば、最強かな?」
「最強?」
「彼はこの世界で誰もが知っている人の弟子の一人なんだ。」
「それは・・・もしかして、クルデーレって人ですか?」
「知っているのかい?」
「え、ええ。智之さんに会う前に塵鳳さんたちにこの世界のことをおおざっぱですが聞きました。」
「成程・・・なら話が早いね。彼はそのクルデーレの弟子のひとり。この時代では間違いなく名実ともに最強の一人だ。それに如月水天の友人だ。」
「そうなんですね・・・。」
「うちの一族が滅亡から逃れられたのは今から会う先守様のお力添えが大きい。」
「智之君!」
「あ、いらしたんですね!」
「ああ。・・・っと、その子供たちは?」
「今回はその旨をお話ししたく、参上しました。」
「・・・成程。じゃ、とりあえず上がってくれ。」
そう言うと、私たちは和風シロガネーゼの中に案内された。
~~~~~
「ふむ・・・如月一族・・・ねぇ。」
「突飛な話かとは思いますが、塵鳳殿が力の詳細を確認しています。」
「・・・彼女が言うなら、まずそれは間違いないな。」
「ええ。それに彼女たちはあそこが探知法の及ばぬ地であることを知っていました。」
「それは力が無いと知りえないことだな。」
「はい・・・。」
「・・・そういえば、生前の水天から、如月一族は君たちの居た地以外に居るかもしれないってのを聞いたことがある。」
「え?本当ですか?」
「ああ。時折西の土地で触れただけでものの詳細が分かる人間の存在が確認されていたらしい。」
「そ、そうなんですね汗。(思わぬところで、助け船だ・・・。)」
私たちと智之さんは私たちが未来人だということは伏せて私たちを紹介していた。
理由は簡単。説明がとてもややこしくなるからだ。
そんなわけで、如月一族ということだけ説明して何とかその場を切り抜けようとしていた。
「とりあえず、そういったことですので彼女たちは私たちの血の者であることを知っておいていただきたいのです。」
「ふむ。了解した。」
「ありがとう御座います。」
「では、其々名前を教えてくれ。」
「如月早苗です。」
「同じく三葉です。」
「千です。」
「うん。よろしくね。お三方。」
「よろしくお願いします!」
「あの!」
「ん?何だい?」
「先守さんはクルデーレって人のお弟子さんだと聞きました!」
「まぁ・・・あれが師匠というのかはなはだ疑問だけど、事実ではあるね。」
「・・・そのクルデーレって人はどんな人なんですか?」
「うーん・・・なんていうのかな・・・一言で言ったら子供みたいな人だね。」
「子供みたいな人?」
「わがままで欲望に忠実。気に入らないことは絶対に白黒つけないと気が済まなくて、自分の思い通りにならないと駄々をこねる。」
「・・・。」
「けど、やると言ったら必ずやる人だ。世間では血も涙もない世界の敵かのような言われようだが、実際会ったら悪いようにはならないから怖がらないでほしいかな。」
「そうなんですね・・・!」
「ま、悪いことをしていたら別だけどね笑。」
「笑。」
「で、これからはどうする?」
「申し訳ないんですが、暫くお世話になりたいのです。」
「成程。(・・・少し、雰囲気が柔らかくなったな。)いいよ。飽きるまでいるといい。」
「ありがとう御座います!」
こうして私たちは当面の間、先守さんの家で過ごすこととなった。
~~~~~
「(ジオーネ。)」
「おや、貴方から話しかけてくるとは珍しい。どうしました?」
「(率直に言うよ。この世界に僕たちの感知し得ない人間が出現している。)」
「・・・どういうことです?」
「(この世界に出自不明の人間が突然、次々と出現し始めているんだ。)」
「・・・確か、神々はこの世界を箱庭として人間を生み出したのですよね?」
「(ああ。従って、僕たちが知りえない人間など居るはずがない。)」
「・・・どのような経緯でそうなったのですか?」
「(経緯と呼べるほど立派な物じゃない。本当に突然だ。君の空間移動かのようにいきなり地球上に現れた。)」
「・・・他の神の仕業ということはないのですか?」
「(それは分からない。けどあり得ないと思う。)」
「それは何故?」
「(“人間が”出現しているからだ。人間は僕たちの長が創造したもの。他の世界でも人間に近い生物は居るが人間そのものは僕たちしか作ってない。)」
「・・・成程。」
「(限りある君の生を邪魔して悪いが、その出自不明の人間に探りを入れてほしい。)」
「分かりました。私もその出自不明の人間というのには興味がある。少し動いてみましょう。」
「(助かるよ。)」
~~~~~
「・・・そうなのかい。」
「ええ。申し訳ありません。」
「何謝ってんだい!確かに、少し寂しいけどあんたとこの子たちがいるじゃないかい!私たちはそれだけで救われるってもんだい!」
「そう言って頂けるだけで嬉しいです。」
今私たちは智之さんや水天さんの思い出の地を巡り歩いている。
「ここの土地の人たちとは古くからの付き合いでね。ここら一帯が一蓮托生なんだよ。」
「そうさね!この智之もこんなちっこい頃から知ってるのさ!」
「いやぁ、ほんと、頭が上がらないな汗。」
「・・・。」
「じゃ、おばさん。またね!」
「ああ!水天の分までしっかりやるんだよ!」
「・・・いい人たちですね。」
「ああ。次は少し遠いんだけど——。」
俺は自分の子孫たちとかつての地を巡り歩く度に何故か心が落ち着いていった。
自分の大切なものが沢山なくなって、沢山壊された嫌な場所なはずなのに、それよりも、自分たちの子孫とまだ俺たちを知ってくれている人たちの顔を見る度にこの先も何とかなるような気持ちになっていった。
しかし、そんな安寧も束の間——。
「ここは少し人通りが少ないんだ。だから——。」
「・・・え⁉体が宙に!」
「(なっ、これは⁉)」
「見つけましたよ!如月一族の唯一の生き残り!」
「(如月の名を・・・裏の人間か!)」
「騒がれては面倒ですから、このまま口も動かないようにしておきましょう。」
「(クッ!こんなピンポイントで狙ってくるとは・・・。)」
「それと、出自不明のお三方も一緒に来てもらいましょうか。」
「(・・・何で、この時代の人が私たちのことを・・・。)」
「(“これで、如月の滅亡とこの不明な人間たちのことが分かりますね・・・。”)」
~~~~~
「さぁ、これで宿願の一つである如月の滅亡が叶いますが、その前に一つ面倒ごとを片付けてしまいましょう。」
「ともー!こわいよ!」
「大丈夫だ。晴天丸。(と言っても、俺に出来るのは簡単な暗器術と剣術くらい。こいつはさっきの力を見るに明らかに能力者だ。一体どうすれば・・・!)」
「残り僅かな生をよくかみしめておくことですね。さて、率直に聞きましょう。あなたたちは何者ですか?」
「・・・。」
「あ、済みません。口の縛りを解くのを忘れていました笑。」
「ぷはっ!・・・何者ってどういうことですか?」
「あなたたちはこの世界の者ではないでしょう。」
「(・・・どうしてそのことを知っているの?そのことは塵鳳さんと智之さん以外には——。)」
「話していないのに。」
「!」
「ほう。ではそこにいる智之という者には話をしているのですね?」
「(こいつ、思考を読んだの⁉)」
「では、今度はその者に聞くとしましょ——。」
ドン!
「(なっ、何だ⁉)」
「雷⁉」
「(馬鹿な!空には雲一つない!それに五神家の加勢を警戒し、予め所在確認はしている!建侯家に限らず今加勢に来れる五神家はいないはず・・・!)」
「さぁて。何時になったら分かるかな?攻印{飛雷}。」
クルデーレは強硬印の上に座り、頬杖をつきながらはるか上空で印紋を繰り出した。
ドン!
「クッ!」
「また落ちた!」
「(いる・・・確実に何者かが空にいる・・・!)」
「(・・・誰だ?)」
「・・・これで分からなければ雑魚もいいところだぞ?クソガキ♪攻印{穿}。」
「グッ!(これは・・・)まさか!」
「(謎の雷の連続で能力者少年の意識がそれている・・・今なら!)」
「クッ!(これは・・・石か!)」
「早苗ちゃん!晴天丸を!そしてみんな私の後ろに!」
「はい!」
「(・・・クルデーレがいる。これは・・・。)」
「(ん?何だ?急に相手の戦意が・・・。)」
「・・・全く、ついてないですね。そして、ついていましたね。・・・如月はこの先も続く定めかのような態度が気に入りませんが、今は退かざる負えませんね。」
そう言うと、謎の少年は姿を消した。
~~~~~
「・・・ふぅ。何とか助かったね汗。」
「そうですね汗。」
「一時はどうなることかと・・・。」
「本当だね汗。」
「にしても、さっきの千と同じくらいの男の子は何で急に退いたんですかね?」
「それは・・・多分さっきの雷が理由だと思うよ?」
「?」
「早苗ちゃん。君たちの時代に雷の力を扱う一族は居る?」
「あ、います!」
「そういう事か!」
「多分ね。何故助けてくれたのかは分からないけどきっと僕たちの知らないところで繋がっているんだろう。」
「だとしたら、凄いですね。五神家って。」
「・・・だね。」
~~~~~
「も~~おばさんどこ行ってたのさ!」
「女性が黙って消えた時は察しろ。変態。お前が村にいるだけでは退屈だと言うからこうして、暇つぶしがてら観光をしているんだ。VIPな護衛付きでな。」
「でもその護衛が消えちゃ意味ないじゃん!」
「そこは安心しろ。ここは稀に見る安全な土地だ。」
「それはここが先守お兄さんの故郷だから?」
「・・・他にも色々だ。」
「ふ~ん。ま、いいや。次は何食べる?」
「何食べるじゃない。誰の金だと思ってるんだ。全く・・・。」
「お花を摘みに行ったおばさんのおか——。」
「食べている時に汚い話をするな!」
「ふぎゃっ!」
「全く。」
「(自分は容赦なくするくせに・・・不公平だよ・・・おばさん泣。)」
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