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「ささやかな」

「ささやかな」ってくると
その後に続く言葉は
概して「しあわせ」であることが多い。

【ささやかな】
小さくて取るに足らないさま。形容動詞ささやか」の連体形

『実用日本語表現辞典』より一部抜粋

「小さくて、取るに足らない」
そんなものこそ、
もしかすると自分は
好きなのかもしれないなあ。

「大きくて、有り余る」ものよりも。

フツーの、
さりげない、
淡々と、
でも続いている、
そんな事が。

振り返った時に、
でも一番、
なんだか懐かしかったりもまたする。

――「懐かしさ」って、
これもまた一つの幸せの形なのかもしれない。

私は
「懐かしさ」を
愛している。

そして、
そんな「懐かしさ」を
愛おしむことができなくなったら、
自分は自分でなくなる気すらする。



「ささやかな」ものにこそある、
そんな「懐かしさ」、
あるいは、
「せつなさ」「愛おしさ」など、
それらを自ら抽出できなくなるのは、
多分、
自分のものを見る・感じる「目」が、
そのレンズが、
汚れて曇ってきているからだと思う。


その汚れや曇りは、
どうして付くのだろうか。

――忙しすぎたり、
こだわりすぎたり、
そんなことでもそれはまた
付着する気もする。


そうなっちゃうくらいなら、いっそ、
何に対してもピントが合ってない
何をも焦点に合わせない、
そんな、ぼやけた視点で、
ぼんやりした世界を見ているくらいのほうが、
まだマシなのかもなあ、と思う。

――そのほうが、たとえば、
「今日、空気が違う」
「今また、季節の匂いが変わった」
そんな「ささやかな」、
だけど「ありのまま」のことにもまた
逃さず気づける気もする。


振り返った時、
懐かしいと思える「日常」を。

――「ささやかさ」が
でも「あふれている」、
そんな毎日を。

重ねながら、集めながら、
生きていきたいものである。